令和3年4月の改正で、特定事業所加算を算定する事業所が注意すべき、ポイントの一つ。
インフォーマルサービスを意識したケアプラン作り。
必要に応じて多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービスを含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していることを新たに求める。
とされています。
以前より、介護サービスだけでなく社会資源・インフォーマルサービスについても盛り込むことは言われてきたものですから、既に導入しているケアマネージャーさんは多いと思います。
そうは言っても、慣れていないと『何を書いたら良いの?』と感じる方もいるのではないでしょうか?
社会資源とされるインフォーマルサービスにどのような物が挙がってくるのか、ざっとまとめてみました。
社会資源を含むサービス内容の例
高齢者事業
- 配食サービス
- 寝具乾燥
- 訪問理美容
- 緊急通報システム
- オムツ支給
- IH購入費補助
- 家族会(介護者同士の交流会)
- 介護予防等の運動教室
- 傾聴ボランティア
- 認知症カフェ
自治体が高齢者等に対し行う事業として実施されているものたち。
自治体や地域包括支援センター等が開催する運動教室や家族会、配食サービスやオムツ支給などはプランに記載せずとも利用している方は多いと思います。
配食や理美容などは、費用面でも補助を受けることができるため、一般の民間サービスと異なり、経済的負担の軽減といった意味も含めることができます。
自治体によって、実施されている内容が異なるため、まずは地域で行われている事業を確認しましょう。
民間サービス
- 配食サービス
- 生活支援サービス(自費ヘルパー等)
- 訪問マッサージ
- 訪問理美容
- 緊急通報装置
- GPS居場所確認
- 一般貸与(通称:自費ベッド・自費車いす等)
- シルバー人材
- 認知症カフェ
- 移動販売
- 通信販売
介護保険等に頼らず、民間(自費)サービスの利用により行うもの。
同様のサービスを高齢者事業として行っているものもあると思いますが、一番の違いは費用。お金はかかるものの細かな制約が少なく、使い勝手は良いサービス達です。
『介護保険の利用を減らして、こっちで出来ることは活用してくれ』という期待がされているのでしょうね。
地域・友人
- 高齢者サロン
- 趣味サークル
- 家族会
- 民生委員による見守り・声掛け
- ゴミ(ゴミ出し・分別・スケジュール管理)
- 友人と〇〇する
- グランドゴルフ
- 防犯活動(見回り等)
- 交通安全活動(旗振り等)
居住する地域、自治会単位で行われるサロン活動や趣味サークル、民生委員による見守り等の支援。
趣味サークル・高齢者サロン、グランドゴルフなどは、自立支援に組み込みやすい内容ですね。
ゴミ出しや家事支援(生活支援)を友人や隣人等が担ってくれるケースも多くあると思います。
社会資源としては、友人等も貴重な役割です。
ですが個人的には、『友人』などをケアプランに記載してしまうと、友人への支援義務を課しているような印象がもててしまうので、書きたくありません。
双方の関係性にもよるのでしょうが、実際に義務という訳ではないので、ケアプランに記載せずに、口頭によるお願い・依頼程度で済ませておくことが良いと思います。
家族
- 受診同行、支援
- 外出同行、支援
- 買い物同行、支援
- 健康チェック
- 運動量チェック
- 血圧手帳記入
- 送り出し
- 持ち物準備(通所系利用時)
- 孫と会う、遊ぶ
上記の『友人』による記載とは逆に、家族に役割を与える(自覚してもらう)ために、あえて記載することが多くあります。
よく見る例としては、受診や外出の同行・支援ですが『これはご家族さんやってくださいね!』というのはどんどん記載していった方が良いと思います。
趣味・生活
- 散歩
- 犬の散歩
- 以前の趣味
- 庭木の手入れ
- 畑作業
- 防犯活動(見回り)
- 交通安全活動(旗振り)
この辺を上手くプランに入れることができると、前向きな支援内容に近づきます。
今の状況だけに目を向けるわけではなく、『以前、何をしていたか』『元気なころの趣味』など生活歴を鍵にひも解いていくことが大切です。
機関・建物
- 地域包括支援センター
- 保健センター
- 保健所
- 老人福祉センター
- 公民館
- コミュニティーセンター
- 自治会館
- 学校
社会資源と言っても、『公民館へ行く』などと行き先として示すだけではケアプランへの記載は難しいです。
これらの場所で『何を行うのか』『何を受けることができるのか』を踏まえて記載する必要があります。
厚生労働省からの例示では?
介護保険最新情報vol.952にて掲載されたO&Aにより、特定事業所加算算定に伴う、多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービスとして例に挙げられているものは
- 市町村保健師等が居宅を訪問して行う指導等の保険サービス
- 老人介護支援センターにおける相談援助及び市町村が一般施策として行う配食サービス、寝具乾燥サービス
- 当該地域の住民による見守り、配食、会食などの自発的な活動によるサービス
- 精神科訪問看護等の医療サービス
- はり師・きゅう師による施術
- 保健師・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練
とされています。
自治体の行う『通称:横出しサービス』といったものや、訪問マッサージ、地域の会食会(ふれあい会食)などが対象といったところでしょうか。
また、これらが地域に不足している場合には、関係機関(行政や地域包括?)に働きかけていくことが望ましいとされています。
- 受診の同行、外出支援【家族】
- 友人と散歩に行く【友人】
上記の様に、家族や友人との関りをケアプランに落とし込んでいる方も多いと思いますが、例には挙げられていませんね。
これらが対象になるかは、自治体の判断になるかもしれません。
最後に
無理やり社会資源を落とし込む必要があるわけではありません。
ただし、特定事業所加算を取得している事業所では、インフォーマルサービスの導入に際し『検討の結果位置づけなかった場合、当該理由を説明できるようにしておくこと』とされています。
『説明できるようにしておくこと』ですから、記載の義務はなく、もちろん記載箇所の指定も特に書かれていませんが、支援経過や担当者会議の議事録等で触れておいた方が良いと思います。