地域包括支援センターで働く身としては、設立から10年以上たったにもかかわらず、まだまだ知られていないな・・・と、実感しています。
今でも、直接センターに電話がくるのではなく、市役所に相談の電話をした際に介護・福祉の相談は、地域包括支援センターへ連絡してみてください。と、他の機関を経由して届くことが、まだまだ多いです。
そこで初めて、みなさんは、『地域包括支援センター』なんてものがあったんだ! と、知るのでしょう。
おそらく、私も働いていなければ知らなかったです。
少しでも、中身がわかるように、地域包括支援センターがどんな機関かをご紹介します。
目次(もくじ)
地域包括支援センターは、高齢者のよろず相談窓口
平成18年の介護保険法改正に伴い、設立された公の機関。もう10年以上前に作られています。
市役所に相談に行った際に・・・
それはA課で、聞いてみてください。と言われ
A課に行くと、これが終わったらB課に行って下さい と言われ
B課では、それでしたら、C課で話を聞いてみてください。 と・・・
市役所内を、ぐるぐるぐるぐる、たらい回しにあった経験はないでしょうか?
若い方なら問題なくとも、足・腰不自由な高齢者が、それを行うことは身体的にも大変ですが、それに加えて、さまざまな課に行き、手続きをしたり、いろいろ説明されたり、それも大変。
そんな事を、解決するため、高齢者の相談窓口を1本化しよう!
手続きも市役所に行かなくとも、近所の地域包括支援センターで行えるようにしよう!と、言ったところから出来上がった機関です。
中学校圏域につき、センター1箇所。を目安に設置されており、一般の方が自転車で回れる範囲として、市内各箇所に設置されていますが、実際は、来所されての相談よりも、自宅での訪問相談を主に行っています。
そもそも、対象者を高齢者や身体の不自由な人としているため、来所を促すことは難しいです。タクシーも安くないですからね。(訪問主体で相談を行うのは、私のセンターだけではないはずです・・・)
実際、自宅で相談を受けた方が、高齢者の住む生活環境を見ながら話ができるため、改善提案が行いやすいというメリットもあります。
公の機関にはなりますが、実際の稼働については、市役所・区役所等の中にあり、市の職員が直接運営している所もあれば、市内の社会福祉法人などに、委託されて運営しているものもあります。
地域包括、3職種の精鋭部隊
地域包括支援センターには、専門職3職種の配置が求められています。
そのため、多くは1つのセンターにつき3名以上の配置となっており、その地区に住む高齢者の人口により、配置人数が3名を超えるセンターもあります。
基本的な総合相談については、どの職種も受け付けますが、ケースに応じて、専門分野を担う職員が直接かかわったり、協力することで、チームとして対応していきます。
主任介護支援専門員 = 主任ケアマネージャー
ケアマネージャーの上位資格です
介護サービスを利用する際の支援計画=プランニングを長く行ってきた、介護サービス調整のベテラン職員です。
介護サービスの相談はもちろん、地域のケアマネージャーの育成・後方支援や、関係機関へのネットワーク作りにも力を発揮します
保健師・看護師
医療・保険分野の職種として、医療関連の相談から、介護予防に向けたアプローチに取り組みます。
社会福祉士
福祉全般の総合資格である、社会福祉士。
高齢者の財産を守る権利擁護の分野であったり、虐待事案の対応、成年後見制度の利用、啓発に力を発揮しています。
地域包括支援センターの業務内容
総合相談
よろず相談所と言われる所以です。介護・福祉の相談が主にはなりますが、さまざまな相談が来ます。
対象者は主に65歳以上の高齢者としていますが、そこから派生する家族等の支援であったり、特定の病気により、介護保険制度の利用対象となる若年層にも対象は広がります。
介護保険制度だけではなく、さまざまな制度・地域の資源を連携させ、縦割りと言われがちな、行政業務を、制度を横断して支援を行います。
②介護予防ケアマネジメント
「要支援1・2」と言う、介護認定や 「事業対象者」と言う認定を受けた方が介護サービスを利用する際の、支援計画作成(ケアプラン作り)を行います。
作成後についても、適宜評価を行い、支援計画が遂行されているか、サービスの効果がでているか、新しい課題はでていないかなどを、確認していきます。
③権利擁護
高齢者の財産を守るための、詐欺被害の防止
虐待から高齢者を守るための啓発活動から実際の虐待ケース対応。
認知症などにより、判断力が減少してきた方への金銭管理の支援や、成年後見制度の活用促進
④包括的・継続的マネジメント
介護サービス事業所や病院、その他高齢者を支援する機関や、実際に住む地域の協力団体、地域住民などとのネットワークを深め、高齢者の住みよい街づくりを目指します。
地域包括支援センターの活用:相談場面
相談は、もちろん無料です。
前半にも書きましたが、直接センターに相談に来所される方は少ないです。まずは、電話で相談し、直接家に来てもらって詳しい話を行いましょう。
それでは、実際にどんな時に、相談が入ってくるのでしょう?
ご本人から・・・
- 独り暮らしをしてきたが、身体も弱り、足腰がつらくて家事もできない。手伝ってくれる人を頼めないか?
- 長く元気な足腰で生活したい。今からできる体操の教室や、運動できる場所に通いたい。
ご家族から・・・
- 入院していた夫が、急に退院と言われてしまった。家にはベッドもない。この先の介護生活をどうしたら良いか?
- 離れて住む母の様子がおかしい。認知症かもしれない。1人で住めるようにするにはどうしたらよいか? 良い施設が合ったら教えてほしい。
地域住民から
- 近所の○○さん、最近見かけなくなり、郵便物が溜まっている。大丈夫?
- 隣の△△さん家で、よくお母さんを怒鳴ってる声が聞こえる。お母さんの腕にアザが見えたけど大丈夫かしら?
地域包括支援センターの活用:講座の依頼・開催
地域内のサロン活動や、公民館等の集会室などを使い、介護予防講座や認知症サポーター養成講座を定期的に開催しているセンターもあります。
また、出前講座のようなスタイルで、地域の団体(自治会や婦人会、保護者会)からの依頼を受けて、講座開催に伺うことも行っています。
老後の心配や、家族の介護の心配など、将来を見据えて情報を集めておくことは大切ですよ。
担当の地域包括支援センターを調べよう
地域包括が、市町村内に複数設置する場合、住所地で担当センターが割り振られています。
すぐの相談が必要ない状態であっても、いざ、という時に困ることの無いよう、
自身の地区の担当センターがどこにあるのか、その連絡先はどこかを調べておきましょう。
インターネットなどの検索でも調べることができます。
行政機関の1つであるため、市役所に連絡し、自治体により担当課の名称はは異なりますが、介護保険課や高齢福祉課など、高齢者や介護を扱う担当課で教えてもらうことができます。