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自立支援型の地域ケア会議とは?概要を解説。実際に行った感想も【背景と目的】

今回のテーマは、自立支援型の地域ケア会議についてです。

桜餅

地域ケア会議と担当者会議の違いに関する記事』をはじめ、ケア会議関連の記事が、このサイト内でも良く読まれているようです。

地域ケア会議への関心が高まってきたのか、地域ケア会議に関する情報があまり出回っていないためなのか。

なんにしても、私の所属する地域包括支援センターでも、『自立支援型』の開催回数も積まれてきたので、ここでまとめてみます。

地域ケア会議は地域の状況に合わせて開催される会議です。地域によって進行方法や内容にばらつきがあると思います。

ここでは埼玉県の状況を元にお話ししますね

参考 高齢者のための自立支援マニュアル埼玉県ホームページ内

自立支援型地域ケア会議の背景

そもそも自立支援とは

自立支援とは
高齢者自身が、住み慣れた地域で、自身の能力に合わせ自立した生活をできるよう支援すること。

足が悪くなり、買い物に行けない。だから訪問介護ヘルパーに買い物代行を頼む。これでずっと安心。

ではなく、

訪問介護での支援と平行しながらも、足が悪くなった原因や歩行レベルを取り戻す手段を検討し、後々は自分で買い物に行ける状態を取り戻す。

後者の考え方が自立支援。

これまでの介護サービスに多く見られた、不自由な箇所にサービスを充てる支援方法のような、サービスに永続的に依存する生活ではなく、自身で行える身体を取り戻し、自ら行えることを目指すわけですね。

なぜ自立支援が必要か

少子高齢化』といわれる昨今。高齢者を支える担い手が不足しています。

介護を受ける側の高齢者を増やしていくのでなく、改善し元気になった高齢者には、支援を必要とする高齢者を支える側に回ってもらおうという訳です。

直接支える側に回るわけでなくても、余分な介護サービスを受けなくなるだけでも、行政の負担する費用を抑えることができますからね。

自立支援型ケース会議で、想定される対象者

要支援~要介護1の軽度認定者と呼ばれる方々のおよそ半数は『廃用性症候群関連』によるものと言われています。

廃用性症候群関連

高齢による衰弱や骨折・関節疾患等によるものたちで、放っておけばみるみる重度化するケース。適切なサポート(自立支援)において改善の可能性が期待できる状態。

この改善の可能性があるケースに対し、積極的に改善に向けた検討をしていこうというもの。

認知症や悪性腫瘍など、進行が予想される疾患においては、自立支援型のケア会議としては、積極的な想定はされていません。

もちろん病状の程度にも左右されるので、全く対象者としてなり得ないわけではありません。一部市町村では、認定結果が下りた際に全員に実施するところもありますね。

慢性的な疾患や脳梗塞等の後遺症に伴う麻痺など、現状で症状が固定されつつあるものも、生活場面の範囲を広げるといった目的、改善よりも更なる向上を目的としても対象者選定になりえると思います。

自立支援型地域ケア会議のめざすところ

誤解されがちなところは、サービスを取り上げること・サービス抑制が目的でないこと。

桜餅

あくまで私のいる市町村では。と言ったところですが。他はどうなのでしょう

自立支援として『自立』を目指すところではありますが、介護認定の『自立=非該当』が最終目標に限るわけではありません。

介護サービスは継続しつつも、より自立した生活を送るため、生活範囲を向上させるための検討。

自立支援型の対象になりつつも、介護サービスが生活を送るうえで必要な方も、もちろんいます。

適切に使いながらも、現状からもう一歩上を目指すための手段にたいして、参加者からの助言を得て、より良いケアプランに見直していくためですね。

自立支援型会議開催前に必要な事

地域包括支援センターの職員だけでなく、参加する専門職やサービス事業所に『自立支援』の視点を理解してもらうこと。

『自立支援』に関する指摘は、日々強まっておりますが、サービス事業所にはお世話型の介護であったり、目標とズレたサービス提供を実施しているところも、まだまだあります。

自立支援型のケア会議として実施していく以上、関係機関に『自立支援』趣旨や目的を伝える研修等を実施していくことが必要です。

参加する専門職等にも、その意識・視点が伝わっていないと、助言が求めても『自立支援』とズレた意見がでることもあります。

自治体や地域包括が主催することが主になるかと思いますが、開催を先走る前に、関係機関への理解を得ることが前提ですね。

会議を実際に行ってみて。

会議の様子

一度、他市の地域包括を移ったため、2つの市町村での会議をみてきました。

どちらも直接本人に関わっていない、専門職の方々に参加していただきます。

主に参加する専門職
  • 医師
  • 歯科医師
  • リハビリ職
  • 薬剤師
  • 看護師 などなど

1ケースに充てる時間は、30分程度。

前半は、担当ケアマネージャーの概要説明とサービス事業所の利用状況の報告を行い、後半で各専門機関からの助言を得て、司会の方が総評をし方針を決めていきます。

参加される専門職には、あらかじめ検討事例を渡しておき、読み込んでもらったうえで参加してもらいます。

専門職においても、参加者の温度差はさまざま。熱心に読み込み質問をしてくる方もいれば、取り合えず参加し当たり障りのない発言をする方もいますね。

事例を事前に目を通すにしても、直接会ったこともない方のケースですから、助言内容も一般的な提案となることが多いです。

それでも、多くの方が集まると、視点がさまざま。全く、気づかなかった意見・考え方も出てきますね。

そのケースを担当していない人間でも、その助言内容や・視点は自身のケースにも活用できるものもあると思います。

司会の質

何度か会議に参加してきて、その会議が有意義なもので終わるかどうかは、事例選定でも、その方のケアプランでもなく、

司会を行う方の質』に左右されるかと思います。

もちろん事前に司会の方にも検討事例は渡されます、それを読み込んで疑問や課題を挙げ、専門職に質問を投げかけながら、完成まで運ぶ方もいれば、

事例概要の説明を担当者が行った後、出席者に順番に意見を聞いていき、それをまとめて終了といったケースもあります。

後者は、そもそも会議でもありません。

桜餅

事例渡した後に、書面で意見貰えば済むだろうに・・・

なんて思いますね。時間も勿体ない。

司会側の考えがまとまらないまま、取り合えず『何かご意見ありますか?』と投げかけても当たり障りのない返答しかもらうことはできません。

相手任せの司会進行ではなく、課題に切り込む質問を整理し、それを適切な専門職に投げかけるスキルが必要。

会議の質と司会の質は比例します。

良い意見を参加する専門職から引き出すためには、その動線となる指摘を専門職に投げかけることができる司会の腕の見せ所です。

個人的な意見(まとめ)

自立支援会議を行ったからと言って、すでに動いているケアプランに対し、急な方向転換も難しいのが実状ですよね。会議での事例提供も行いましたが、そこでの指摘を早々に切り替えを行うことはできていません。

それでも事例提供に挙げたケースは、自身の中では指摘のされようもないプランを挙げたつもりです自画自賛

ですが、やはり見落としている視点はあるものです。参加者の専門職の方から挙がった意見に、『なるほどな』と思うものもありました。

挙げたケースに対し、直接動くことができずとも、その視点を知ることで、今後のケアプラン作成において、当初からその視点も踏まえた取り組みに活かせると思います。

地域包括をはじめ、自立支援を行う支援者に対し、プランニング能力の底上げに活きる会議なんじゃないかな。と感じています。

実際、自立支援会議の開催については、地域包括によっては開催回数がノルマのように設定されている自治体もあるかと思います。

どうせノルマとしてでも行う必要があるのであれば、少しでも有意義に有益な結果が残る会議を行いたいものですね。