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【介護技術】認知症高齢者とのコミュニケーションをとる際の注意するポイント

介護業界に働く方はもちろん、在宅介護場面に接する方、高齢者とのコミュニケーションは上手に行えていますか?

認知症の方とのコミュニケーションには、特に難しいと言われます。

ちょっとした一言が、機嫌を損ねる事態になってしまい、修復に苦労された経験もあるのではないでしょうか?

人とお話しすることが得意でない筆者でも、認知症抱える方とも上手に話せるようになったポイントをお話しします。

会話はキャッチボール

会話をキャッチボールと例えることが、たびたび見られます。

ただ、言葉のやり取りをボールに例えて、往復する場面を表しているだけではありません。

キャッチボールには、相手への気配りが必要です。

キャッチボールのポイント
  • 相手が、ボールを受け取る準備できているか
  • 投げ出す時、「投げるよ~」「いくよ~」の合図
  • 相手の力に合わせた、速度や距離の選定
  • 相手の手元に届ける、コントロール

会話とキャッチボールを結びつけるのは、これが会話と似ているからです。

相手が何かに集中していて、受け止める準備ができていなかったり、相手が聞き取れる速さでなかったり、理解・認識できる内容でなかったり、

そんな時には、あなたの言葉は相手の元に届きません。

情報処理のスピードが低下してきている認知症の方には、特に届きにくいので、コミュニケーションも丁寧に行う必要があります。

コミュニケーションの基本と準備

コミュニケーションの機能は、情報の【相互理解】・【共有】・【伝達

それでも、伝達だけでは、機械と話しているのと変わりませんね。

一番の基礎は、やっぱり挨拶

相互の理解・交流を目的とするコミュニケーションは、あいさつ。

社会のマナーでも、学校でも言われる言葉です。明るい挨拶は、社会一般のマナーとして言われ、もちろん大事です。ただ、明るさも日によって変化があるのも良くありません。

友人・家族であれば、体調の悪い日・気分の落ち込んでいる時、変化があるのも良いでしょう。

施設に通ってくる、施設に入所している、そういった高齢者の方と接する場面などでは、いつも同じ明るさで。相手は、あなたと会えることを楽しみに通っているのかもしれません。

空元気でも良いので、笑顔で接する。

それも、ただ言えば良いってものでもありません。

言われたら、返す。それもベストではありません。

相手よりも先に。自分から。

朝の挨拶だけでなく、施設内ですれ違う際、などにもちょっとした一言や会釈。

これをするだけで、相手は、自分の存在に気付いている・気にしてくれてる感じてもらえるため、印象も良くなるはずです。

ちょっとの一言を上手に活用

介助に必要な声掛けのみであると、丁寧に伝えても、

「介護を受ける人」・「介護を行う人」との壁はなくならず、距離は縮まりません。

介護現場で業務を行う、一定の距離感は必要です。

ただし、介護を行うための機械的な声掛けばかりでなく、

天気のこと、服装のこと、その日の食事のこと、そういった「ちょっとの話題」を挟むことで、コミュニケーションをとることができ、距離が一歩縮まります。

「今日は寒いですね~」「今日は雨ですね~」

天気の話題は、皆が同じように感じているはずです。共感が持ちやすい話なので、そういった話を間に交ぜてみましょう。

相手との距離

コミュニケーションをとる際、2人の距離はどの位置が適切か。

  • 2m以上・・・見ず知らず人同士の距離
  • 1m程度・・・認識している人の距離
  • 50cm・・・家族の距離
  • 30cm・・・恋人の距離

酒呑み坊主

30cmで、目が合えば恋人でなくともドキドキ

相手との関係性にもよりますが、必要以外の1m以内の接近は、過剰な接近です。

それでも、介護職員などには、排せつや着替えの介助などで近づくことも多いと思います。

そんな時、無言で介助をすれば、不安をあおってしまうので、もちろん声掛けをしながら行い、本人の意識・理解を高めます。

ただし、その際には、目線を合わせない事がポイント。

必要な介助を行う時には、目線を合わせず、口頭での指示や確認。一連の動作が終わって、1歩離れてから、目を合わせての一言。

近距離で目線を合わせることは、好き嫌いの関係性に関わらず、過剰な負担を感じさせてしまうため、一定の距離での関わりを意識しましょう。

コミュニケーションの言語的・非言語的

言語的コミュニケーション

話し言葉・文字によるもの

非言語的コミュニケーション

語調・抑揚・速さ・表情・態度・服装・化粧

コミュニケーションによる印象の8割は非言語的コミュニケーションです。

同じことを伝える際にも、服装や態度・表情で受け取る側の態度も変わってきますし、

言葉の語調・速さ・抑揚などでも、伝わりにくさに変化がでます。

身だしなみや表情にも気を配り、相手に合わせた話し方で伝えることが、良好なコミュニケーション形成の一歩です。

高齢者への話し方(特に認知症の方)

注意力・集中力が弱っています。

名前をはっきり呼び、1:1での会話場面を作る。

静かな場所で、一言ずつ、ゆっくりと。ジェスチャーや絵を使った表現も理解度アップ。

質問をする際

「何を食べますか?」は、選択肢が多く迷ってしまい、答えが難しくなります。

「肉と魚どちらにしますか?」「豚と牛」「焼く・煮る」など、質問を分けて導く。

選択肢も、5種類の中から選ぶ質問であっても、分かりにくいと言われます。2種~3種から導きましょう。

毎回初対面のつもりで

あいさつに合わせて自己紹介も。

「おはようございます。●●です。」

うっすらと顔を覚えていても、名前などがあやふやだと理解・認識の妨げになります。

自己紹介をし、記憶の整理をしてもらってから、要件を伝える。大事なことは何度も伝える。

急かさない

静かに待つ。

さぁ、立ってあちらに行きますよ~」と言って手を引っ張ると、言葉の認識ができておらず、立つ前に引っ張られて、転倒にもつながります。

「立ちましょう」で、立つことをサポート。「では、あちらに移動しますよ~」で、誘導。

認知症の方とのコミュニケーションまとめ

認知症の方と、上手く話せる方はコミュニケーション力が高いわけでは、ありません。

認知症の方と話すことが下手な方は、一般の方と話す時でもコミュニケーション力が低いはずです。

認知症の方は、感じたことを素直に伝えてくれます。嫌なことは嫌! 嫌いな人には嫌い!と。

 

コミュニケーション能力が低い人が、一般の人とも失敗なく話せているのは、相手の方が、社会的に配慮ができる方であるから。

ぽち太

嫌だと思っても、直接口に出して言うわけにもいかないしね・・・

相手が、上手に接してくれているからです。

書かせていただいたことは、基本的なことばかり。

会話のキャッチボールをする上での相手への配慮を見直し、みなさん自身に合った、接し方・話し方を考えてみてください。