介護を受ける当事者だけでなく、介護をする側(=介護者家族)に向けての支援・ケアにも力を入れていきましょう!
が、最近の厚生労働省から県・市への動きです。
介護者家族の集いの場、交流の場として、
『介護者のつどい』や『介護者サロン』など名前はさまざまですが、
こういった、家族支援の事業に関する運営・立ち上げが、みなさんの自治体でも地域包括支援センターの業務として、割り振られてはいませんか?
立ち上げ方法に頭を抱える地域包括の方、立ち上げたものの集客がなく、運営に苦戦している方、
少しでも参考になればと思います。
「介護者のつどい」立ち上げ・開催に向けて
まずは、これから開催を検討している方に向けてです。
介護者サロンって何をすれば良いのでしょう?
・負担軽減につながる情報提供。
・同じ環境同士の交流の場。
この辺でしょうか。それを満たす環境作りを準備します。
開催場所
一番は、公的な施設。公民館や、老人福祉センター内
参加に向けての交通の便が重要。
親の介護をしている世代であれば、車での移動による方も多くいるかと思いますが、夫・妻を介護している方は、高齢の方も多いです。駐車場がある場所や、バスなどの交通の便も考慮しましょう。
委託による地域包括支援センターであれば、母体の施設等の部屋を使用することもあるかと思いますが、一般の方が知らない施設に入る事には、敷居が高くなってしまいます。
公民館や、老人福祉センターの様な一般の地域の方が入りやすい公共施設での開催を検討することが良いと思います。
開催時間
満足して帰ってもらうには、90分程度が必要
私が所属していた包括では、11時~12時半の90分で開催していました。
主催者側からすると90分は長く感じる方もいるかと思いますが、参加者の多くは、話をしたくて・聞きたくて参加します。
参加者が多い会では、60分では短く感じます。
ただし、立ち上げ当初であったり、参加者が少ない会では、90分は、間が持たなくなってしまい、長く感じることも考えられます。
開催状況や参加者に合わせて、開催時間は調整していきましょう。
特に、後に詳しく触れますが、研修・講義等の時間を設ける場合、講義時間を除いて、60分程度は開催時間があると良いと思います。
午前午後は、どちらでも良いと思いますが、
一般的なデイサービスの送迎が、迎え、9~10時、帰りが16~17時だと思います。
介護者の方の自由時間の多くは、この時間帯です。
送り出しや、迎えに、支障の無い時間選定を心がけましょう。
年間の開催頻度は、月1回~2カ月に1回程度の開催が維持できると良いです。
定期開催を行うことで、徐々に定着していきます。
参加者
基本的には、現在進行形で介護をしている人・介護を終了した人が望ましいと思います。
ケアマネージャーや施設等の介護職員の参加希望があった際には、参加者としてでなく、見学者や、オブザーバーとして、参加者の外の輪に座ってもらい、必要な際に意見を求める程度にしておくことが良いと思います。
内容
基本的には、参加者(介護者)同士での自由な会話のやりとりがメインです。
開催したばかりの会では、なかなか話も出ないでしょう。
話題提供や話の振りを司会者・進行者が提示しましょう。
「最近、困ったことがありましたか?」「楽しいことはありましたか?」
「お母さん(お父さん)のご様子、最近どうですか?」等
開催時間をすべて、懇談時間にすることも良いですが、
集客に戸惑っている場合は、90分開催のうち、30分を外部の講師や、地域包括職員による講義形式をとり、その後に懇談会時間を設ける構成であると、ある程度の集客を見込めるようになります。
外部講師を有償で行うと、長期継続が負担になります。
地域包括職員や、法人内・または地域内の施設等に協力してもらい、
介護職員による「おむつ交換や入浴介助の介護方法」
リハビリ職による「腰痛にならない介護方法・身体機能改善の運動」
近隣薬局薬剤師による「お薬の飲み方・飲み合わせ講座」
など、協力依頼ができる環境が作れれば良いと思います。
地域包括支援センターの立ち位置
地域包括主催で、介護者の集いを開催する場合の難しい点がココです。
会のテーマは、当事者同士の交流です。
包括職員に、介護業務ではない、実際の介護経験者等がいれば別ですが、一般の職員が「大変ですよね~。」「わかります~。」なんて言ってもうわべだけの返答です。
介護者同士の交流場面に極力口を挟まず、進行や、タイムキーパーの役割に徹します。
専門的な意見を求められた場合にも、主催者側(包括職員)が講義のように熱弁してしまうと、皆様の発言時間を縮小してしまいます。
会の中で挙がった苦労・大変・困ったことは、会議の中の参加者同士で解決してもらい、
専門的な意見等を聞く際には、会の終了後や別に日に個別の相談を設けることがよいでしょう。
そういった、個別相談に繋げる案内も、あらかじめしておくこと、それに伴うアポ取りシートなどの準備があるとスムーズですし、会進行に置いて、そういった相談は改めて。の流れづくりに活かせます。
集客方法
チラシの配布
地域包括で関わっている方だけでなく、地域のケアマネージャーや、介護施設、病院等に配布を依頼しましょう。
介護負担が大きい家族は、地域包括で主にかかわる予防支援よりも、居宅介護支援事業所のケアマネージャーの方が多く抱えています。
地域内のネットワークを活かし、自治会の回覧板等の活用も有効です。
ポスター掲示
チラシと重なりますが、開催場所や地域の自治会掲示板、介護施設、病院等への掲載を依頼しましょう。
広報紙等
行政が発行する、市報などの広報紙や、地域包括でも定期的に発行する広報紙などがあれば、イベント・行事として掲載します。
電話掛け
ケアマネージャーだけでなくとも、地域包括で関わっている中で、気になる家族はいるはずです。直接案内をすることが、直結しやすいと思います。
介護者のつどい活性化に向けて
立ち上げ間際や、マンネリ化して集客率の低い地域包括についてです。
前述もしましたが、介護経験のない、地域包括支援センターが主体として、介護者家族のつどいを開催することは良いと思いません。
既存の家族会・介護者家族支援団体が地域の中にあれば、そういった会との共催や、後方支援に回るような関わり方が良いと思います。
自治体からの、委託業務として、介護者のつどい開催が下りてきている場合には、
30分の講義・研修と、60分の懇談会の組み合わせが良いと思います。
懇談会の際には、「サクラ」と言うわけではありませんが、介護経験者を混ぜておくと、少数の参加者であった場合にも、参加者が求める交流機会が確保できます。
介護経験がない包括職員と、1:1になってしまうと、介護者のつどいが成り立たなくなってしまいますからね。