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成年後見制度解説『任意後見制度の特徴と、その分類』

桜餅

こんにちわ!酒坊主たろく(@taroku56)です!

たまには、社会福祉士らしい記事も書いてみました。成年後見制度のなかでも、任意後見の分類についてまとめてみます。

成年後見制度の利用促進が広まっていますが、まだまだ一般の方には浸透していない難しい制度。地域包括への相談件数も、それほど多くないと実感しているところです。

ですが、地域包括支援センターに『社会福祉士』として配属されている方は特に、いざ相談が来た時に、『あまり経験がないのでわかりません!』とならないように、制度の仕組みは理解してると良いと思います。

成年後見制度

成年後見制度の分類

成年後見制度は、法定後見制度任意後見制度の二つから構成されています。

この二つ成年後見。どちらを利用するのかは、ご本人の判断能力に左右されます。

法定後見制度は、『後見・保佐・補助』の3分類にわかれており、すでに判断能力が低下している方に対し、判断能力の低下具合で家庭裁判所より分類されます。

一方で、任意後見制度では、判断能力が保たれているうちに、いざ低下した時に誰にどんな後見業務を担ってもらうのかを、あらかじめ決めておき、その時に備え、いざというときに実行に移すという制度です。

任意後見制度とは?

判断能力があるうちに、要するに元気でしっかりしているうちに、自分が選んだ候補者を選定しておきます。

さらに、自身の判断能力が低下した際に、支援してもらいたい後見事務(何を手伝ってもらいたいのか)を選ぶことができます。

誰に、何をを頼むか。それが決まったら、その旨を公正証書で公式に残しておきます。

任意後見制度の分類

任意後見の利用形態として、大きく分けて3つに分類できます。

移行型

シンプルに任意後見制度を利用するとこの型になると思います。

いつか訪れるであろう『判断力の低下』を待ち将来に備えて任意後見の候補者は決めておくものの、その時が来るまでは、後見事務の支援は受けないパターン。

『もしもの時』に備えた保険の意味合いで契約する方が多いのがこのパターンですね。

デメリット
定期的に判断力を確認する方などが周囲にいれば良いのですが、本人の判断能力低下をどのように把握するのかが課題です。

一人暮らしで、周囲との関りが薄い方の場合には、『もしもの時』を判断する人がいないことが多くあります。

任意後見の候補者は決めたものの、いつまでも後見開始にならずに判断力の低下の進行し、金銭管理が困難になっても、『もしもの時』に備えたはずが実行されないまま、時が過ぎてしまうことが懸念されます。

伴走型

上記の移行型の欠点であった、判断能力の低下を気づく機会の見逃しをしないためのパターン。

候補人と財産管理契約などの任意代理の委任契約により、普段から支援を行いながら、『判断能力の低下』という時が来たら、任意後見の開始に移っていくパターンです。

判断能力の低下が起きる前から財産管理等でかかわっているため、信頼関係も向上しますし、スムーズに移行できることができますね。

ですが、やはりデメリットもあります。

デメリット
判断能力が低下しても、任意後見に移行せず、任意代理状態が継続される場合があります。

さて、これがなぜデメリットになるのでしょう。

財産管理などしてくれてるのなら、無理に任意後見でなくても良いじゃないかと思いがちですよね。

任意後見に移行すると同時に、任意後見監督人が家庭裁判所から選任されます。任意後見監督人は、後見業務が適切に行われているかチェックをしていく業務があります。

逆に、任意後見にならず、財産管理を行いながらも、任意代理状態であると、チェックする機関がありません。

悪意のある後見人候補者が担当されていた場合には、不適切な事務が行われる可能性があるため、任意後見に相応しい時期に切り替えてくれる正当な後見人候補を見つける必要があるということですね。

実際に事件にもなったこともあり、一応の対策は考えられています。

例えば、

  • 任意代理の時期を限定的にする
  • 任意代理の時期であっても、監督的な立場で報告を受ける者を本人以外で指定する。

などです。それでも、伴走型とは諸刃の剣という契約でもあるわけですね。

即効型

最期は即効型と呼ばれるものです。これは、任意後見契約の締結直後に契約の効力を発生させるものです。

すこし矛盾もあると感じませんか?

通常の成年後見制度は、判断力が低下した方に対して実行するもの。一方任意後見は、判断力があるうちに契約を行い、低下したら実行という仕組みでした。

それを任意後見契約と同時に実行に移すというのが、この即効型です。

デメリット
そもそも契約時の能力について、判断能力ががあったかどうかが疑問視される

契約時点の意思能力・契約能力を有する限り任意後見契約を締結することが可能ですが、状況によっては、法定後見制度である保佐・補助類型を提案する必要もあるかもしれません。

契約締結から監督人の選任までの流れ

  • STEP.1
    候補者選び
    判断力が低下した後、後見事務を頼みたい、任意後見人候補者の決定します
  • STEP.2
    契約内容の決定
    自身で選んだ、任意後見人候補者との契約内容を決定します
  • STEP.3
    公正証書
    決定した候補者・契約内容を公正証書で残します。
  • STEP.4
    その間に・・・
     本人に判断能力の低下がみられ、任意後見の開始が必要になった際
  • STEP.5
    実行
     家庭裁判所へ任意後見監督人選任を申し立て
  • STEP.6
    選任
     家庭裁判所へ任意後見監督人が選任されます。
  • STEP.7
    開始
     監督人が選任されることにより、任意後見の開始

任意後見相談のポイント

現時点の判断力に左右されます。

法定後見制度にはない、任意後見のメリットもありますが、すでに判断能力の低下がみられる方については、法定後見制度の利用を進める必要があるかもしれません。

相談を受ける際には、その判断力とその方の環境を見誤らないように注意してくださいね。