福祉用具・介護用品、さまざま種類がありますが、一番身近で、使用頻度の高い福祉用具は『杖』なのではないでしょうか?
年寄りくさいから杖はもたない!と言う人もいれば、おしゃれアイテムの1つとして至高の一本を探す人もいます。
歩けなくなったから、杖に頼るのではなく、転倒の予防のためにも、周囲からの気づきのためにも、身体に合った杖を選びましょう。
家族の「誕生日」や「敬老の日」など、ちょっとしたプレゼントにも考えてみてもいいかもしれません。
杖の種類
T字杖(1点杖)
T字型が最も普及しており、一般的な杖です。
杖先が1点のため、1点杖・1本杖などと呼ばれますが、水戸黄門が使っているような、本当に木の棒1本で、出来ているような杖は、日常生活ではあまり見かけません。
材質により、重さは変化しますが、200g~500g程度です。
高さ調整できる可変式から、杖の柄模様も様々売られております。
自分に合った色を見つけることも、使用する機会・意欲を高めます。
使用の依存度が低い方には、2つおり・3つ折りなど、折り畳めるタイプもありますので、携帯に便利となります。
T字杖のおすすめの人は、意外かもしれませんが杖がなくても歩ける人。です。
T字杖は歩行時に体重全体を支えるものではなく、サポート程度に使用するための物です。
4点杖(多点杖)
4点と限らず、3点の物もあります。
一本杖よりも、地面との接地点が多いため、安定性が増します。ただし、平面のみ。
ここが、4点杖のメリットとデメリットです。
安定性は増しますが、これは4点の足全てが地面に接した場合です。
砂利道や階段など杖を突く面積が小さい場所では、安定性が極端に減少し、ふらつきの原因となります。
脳梗塞の後遺症により片麻痺となった方の歩行訓練や、歩行状態が特に不安定であり、1点杖での支持が難しい方など、安定性はT字杖(1点杖)より増しますのでおすすめですが、使用場面に注意しましょう。
ロフストランドクラッチ
杖先は1本(1点)ですが、杖中部に、体重を支える握り(グリップ)と、杖上部に腕を支える部分を備えた杖です。
手のグリップだけで支える、T字杖(1本杖)より腕全体で支えることができるため、握力が弱い方、手首に力の入りにくい方にお勧めです。
松葉杖
骨折した際など、若い方でも使う場面の多い杖です。
脇あてとグリップが付いており、杖先は1本。1本でも使うこともできますし、2本セットで使うことで、下半身への負担を大幅に軽減することができます。
使用方法に慣れが必要であり、身体状態に合わせて使用方法も変わってくるため。
自身で購入して自己流とならないように、医療機関やリハビリ施設等で身体に合った使用方法を学んだうえで使いましょう。
杖の選び方(高さ
一般的な目安としては、身長の半分。150cmであれば、75cm程度の杖。
個人差はあるので、実際に手に取って、直接試してみることがおススメ。
最近は、高さの調整をできる物も多くあります。
買った後に、高さが合わないという失敗を防ぐためにも、プレゼントや遠方の家族に贈る際にも、高さ調整ができる物を選び、自身で調整してもらうことが良いと思います。
杖を使った歩き方
杖にも一応の使い方があります(松葉杖は一部異なります)
T字杖や4点杖(多点杖)、ロフストランドクラッチ杖は同様。
3点歩行
右手で持つ場合・・・
①杖を出す。②左の足を出す。③右の足を出す。の繰り返し。
不自由の足がある場合・・・健康な足側の手で杖を持ち、
①杖を出す。②不自由の足を出す③健康な足を出す。の繰り返し。
一般的にはこの歩行方法が安全と言われています。誤った使用方法で使うことで、十分に力が入らず支えにくくなったり、転倒に繋がると言われておりますが、既に杖に慣れてしまっている場合、切り替えることの戸惑いもあるかと思います。
無理に上記に切り替えさせる必要はないようにも感じます。
杖の使用を便利にするアイテム
足先が1本の杖って、自立しません(立ちません)
飲食店に食事に行って、テーブルに立てかけて、何度も倒れてしまって・・・
杖って邪魔だな・・・と思わないようにするアイテム。
杖となじむシンプルな杖ホルダーもあれば・・・
かわいらしいぬいぐるみバージョンの杖ホルダーも。
こんなアイテムで、「杖は邪魔だから使わない」と言う事を予防しましょう。
最期に
一言に、『杖』と言っても、さまざまな種類があります。
今の身体の状態から、どの種類の杖があっているのか、また杖ではなくシルバーカーや歩行器の方が安定するのか。見直しをすることで、転倒を予防していきましょう。
まだまだ、杖に頼る状態ではないと感じている方も多くいると思いますが、
一度の転倒で、歩行状態はガラリと変わることが多くあります。
突然歩けなくなった時に、
慌てて杖を探したり、杖の代用として傘などを使用し、再度転倒してしまったり、
そんな危険を予防するために、使うほどではない。と、感じていても、予備の1本を家に置いておくことが良いと思います。