独立して、事業所の新規開設を考えた際に、まず戸惑うのがそもそも立ち上げまでにいくら掛かるのか。
運営後ではなく、開設前にかかる準備費用についてですね。これがはっきりしてこないと、今の自己資金で足りるかどうかもわかりません。
私の事業所で開設準備にかかった費用、およそ150万円です。
結構かかりました。切り詰めれば100万円くらいまで落とせるかなといった所ですね。
開設前には、色々調べてみましたが、費用についてまとめられているサイトが見つからなかったので、この150万円の内訳について載せてみます。
一つの例として、ご参考まで。
目次(もくじ)
当事業所の概要
準備に伴う費用は、人員や、事業場所(自宅運営か、事務所を借りるか)で変わってきますので、うちの事業所の開設当時の規模を載せておきます。
- 事務所あり
- 新規単独居宅(開設令和2年4月)
- 介護支援専門員人数3名(うち主マネ1名)
- 社用車1台あり(リース)
- 訪問の際、自家用車の利用なし
立地は、埼玉県内都心よりのところに、アパートの1室に事務所を構えただけの、単独居宅です。別店舗などでも他の介護保険事業の運営はしていません。
事業所の強みとしては、長年地域包括で働いてきて、自身が担当していた圏域内に事業所を構えたため、包括や近隣事業所との関係性は確保されている中での立ち上げです。
車はリースで1台用意し、交代で使っています。件数増加に伴い、増やすかどうかを検討していこうと思っています。
そんな中立ち上げた、開設までにかかった費用をざっくり見てみましょう。
法人設立費用
法人登記
登録免許税含めて、30万。
司法書士に依頼し、電子申請で行っています。依頼せずに、自身で書類を作って法務局に持参する場合も大きく費用は変わりません。
電子申請で浮いた分が、司法書士への手数料に置き換わった感覚ですかね。
法人印
法人代表印(丸印)・法人銀行印・法人角印:セット3万円
3点セットを購入しましたが、居宅運営の場面では、居宅名の角印を使うことが多いです。
法人名と居宅名を分ける場合には、法人角印いらないかも?と思っています。
不動産契約
アパート
契約時:25万円(1ヶ月賃料:6万8千円+共益費3千円+駐車場5千円)
居宅にの運営であれば、広いテナント店舗を用意する必要はありません。アパートで十分です。『事務所利用可』となっているアパートを探す必要がありますが、数は少ないというのが欠点ですね。
※自治体によっては、入り口の広さや段差、トイレ等の設備にも制限がある場合もあります。アパートでかいせつを考える際には事前に確認すると良いと思います。
地域包括と違い、事業所に直接相談に来るケースはほとんどありませんが、相談室が事務室と別に必要。
うちの会社では、私の娘やスタッフのお子さんが、学校や保育園を欠席した場合の託児スペースも確保したく、一部屋余分に広いところを借りています。(コロナで登園自粛となった際、とても助かりました。)
通常であれば、事務室と相談室の2部屋ある間取りであれば問題ありません。
駐車場
1台あたり月6000円、契約手数料3000円
アパート敷地内に社用車分は確保されていますが、職員分3台を離れたところに借りました。社用車の台数、スタッフの通勤者の台数によって変化しますね。
自家用車を業務使用として使ってもらえると、駐車場代は節約できます。
指定申請に必要な設備・備品
パソコン
1台あたり11万円。3台購入。
コストは掛かりますが、介護支援専門員には、一人1台が必須だと思います。今回はノートパソコンを購入したため、安めですがデスクトップをお勧めします。
コロナウイルス影響でデスクトップの入荷時期未定が続き、仕方なくノートになりました。
選択肢としてはリースもあるかもしれません。
事務デスク及びイス
デスク:1万円、椅子3千円、デスク下引き出し7千円
一般的な事務用デスクでなく、ニトリのパソコンデスクと引き出しを合わせて購入。椅子もニトリの事務用イスです。
アパートを事務所とする場合、事務用デスクだと、入らない可能性もあるので、サイズを注意。自身で組み立てるニトリのパソコンデスクはその心配がありませんでした。
引き出しは鍵付きの物を選定。ケースファイル等の個人情報を入れる可能性もあったため、選びました。現状、ケースファイルは鍵付き書庫に入れているので、引き出しは私物のみです。
相談室用机・椅子
机:1万5千円、イス:2千円×4脚
こちらも事務用品としての物でなく、ニトリのダイニングテーブルで代用しています。
単独居宅に、直接の来所相談はほとんど来ません。一応のセットがあれば十分であり、お金をかける必要はありません。
職員がお昼ご飯を食べる休憩スペースとしても活用はできます。
相談者が来所する場面は少ないのですが、高齢者がくる可能性もあります。キャスター付きの椅子は控えた方が良いです。
書庫
1台2万円
指定申請には、鍵付きが必須ですね。カウネットの通販を利用して購入。
担当プラン件数が増えていくに伴い、書庫も増やさなければなりません。個人情報が入ったケースファイルは書庫に入れ、その他書類(介護サービスパンフレット、福祉用具カタログ)については一般の棚に入れています。
スタート時は1台でしたが、現在は4台です。余裕があれば、まとめて買ってしまうと良いと思います。
電話機
購入すれば、1万円程度。
各スタッフに携帯電話を支給しているので、固定電話は1台のみ。自宅に余っていた、家庭用電話を利用しているため新品の購入はしていません。
小規模の居宅であれば、複数台の配置などは不要だと思います。内線で他部署に回すこともないので、家庭用電話機+子機で十分。
家庭用電話機のデメリットとしては、電話番号登録の件数や検索方法が不便。
プリンター・複合機
1台10万円弱:EW-M5071FT
小規模居宅なので、家電量販店に売っている複合機を購入しました。まだまだ紙社会なので、ファックスも十分に使います。印刷枚数と相談しながら機種は選定してください。
複合機についてもリースという選択肢もありだと思います。
[追伸]家電量販店で売っているタイプよりも、購入にせよリースにせよ、事業用の複合機を導入すべきだったと、若干の後悔があります。
事業運営に必要な備品
シュレッダー
2万円
使用頻度が多いので、家庭用の物でなく、業務用を購入するのが良いでしょう。家電量販店では主に小型の物しか売っていないので、楽天を利用して購入しました。
事務用品全般
ファイルやノートといった文房具です。
1つ1つは高いものでありませんが、数か多くなるので、大目に予算を確保しておいたほうが良いと思います。
使いやすいサイズの違いもあるので、ある最低限を揃えておき、事業開始後に徐々に揃えていくのが吉。
『カウネット』など事務用品の通販サイトでまとめ買いすると若干費用が抑えられます。
名刺
100枚500円×3名分
用紙を買ってきて、自身で印刷することもできますが、どうしても質が下がります。また、文字だけで作成したシンプルな名刺は味気ない。
名刺は宣伝アイテムとして必須。丁寧に作成するべきです。
それでも費用をおさえるなら、コレ。100枚500円程度で作成できるので、ラクスルに依頼。紙質も良くオリジナルが作れるのでおすすめです。
自転車
買った場合1~2万円
社用車が複数確保できない場合や、近場の訪問の際に活用。スタッフのお古が頂けたので、自身では購入していません。
車が停めにくかったり、駐禁に厳しい場所もあります。1台程度は必須になるかと思います。
必須じゃないけど買った物
住宅地図
ゼンリン住宅地図:6万円(2地区分)
2つの市町村を営業圏域としているため、2市分買っています。グーグルマップやヤフー地図で十分と思われる方もいるでしょう。
長年のスタイルと、住宅ごとに名前も入っているので、私は地図を購入。ゼンリン地図は意外と高いので予算と相談してください。
ゴム印
ゴム印・角印、合計:1万円程度。
法人印を作った印鑑通販サイト『ハンコヤドットコム』で購入しています。
- 法人名
- 事業所名
- 住所
- 電話番号
- 各職員の氏名。
この辺は揃っていると便利です。綺麗に押せる親子印で作成すると良いですね。
事業所名の角印も合わせて作成しました。
冷蔵庫・電子レンジ
冷蔵庫2万円、電子レンジ5千円
無くても困らないのかもしれませんが、働いてもらう職員への配慮です。お昼のお弁当屋、夏場の訪問から帰った後のアイスのためには必須です。
購入時期が、新生活フェアなどと重なったので安く変えました。特にニトリの冷蔵庫はおすすめです。
中古品でも良いかもしれませんね。
エアコン
購入する場合は、5万~10万
今回事務所として借りたアパートにはすでに設置されていましたが、ない場合は購入しないと夏は地獄ですよね・・・命に関わります。
相談室には未設置なのですが、来所相談はほとんど来ないし、設置検討中です。
細かな消耗品
- 食器洗剤
- トイレ清掃用品
- トイレットペーパー
- ペーパータオル
- ティッシュ
- ゴミ袋etc
事務所といは、一般的な生活日用品は必要です。
従業員の家で余ってるものを寄付してもらうのも良いと思います。
運営後に継続して掛かるである費用
介護請求ソフト
1ヶ月:5000円
過去に、『ほのぼの』『ワイズマン』『絆』などを見てきましたが、今回は開設に合わせて『カイポケ』を初選定。
『カイポケ』利用前提であれば、無料で開業支援を受けることができ、車のリースや業務用スマホの貸与なども、カイポケを通して手配できるので、新規開設には、費用面でもサポートでも大変メリットの大きい介護ソフトです。
居宅介護支援の独立におすすめな介護ソフトはカイポケ:コスパも機能も充実
光熱費
水道・電気等、事務所として利用するだけなのでそれほどかかりません。
開設当初は、ガスの契約は行いませんでしたが、冬場に水道の水が冷たいと従業員からの要望があり、後々契約。
使用量は、どれも微々たるものです。
通信費
アパート全体で加入していたので半ば必須でしたが、ジェイコムを利用しています。
インターネット、固定電話、ファックスすべてジェイコムです。
※固定電話とファックスの番号を別々に契約する必要があるので、それぞれの電話番号に対して契約が必要。家庭用ファクシミリで電話と兼用とし、1回線で行うことも可能ですが、居宅運営としては不便です。
携帯
月2500円(かけ放題、通信7G)機種:DINGO(BX)
カイポケを通してレンタルしており、各スタッフに支給しています。かけ放題もあるので、利用者にも番号を伝え、スマホでのやり取りで行っています。
そのため事務所内の固定電話は、受信専用になってます。
車リース
月28000円
自動車保険、点検、車検すべて込みのプランにしているので若干割高です。管理は楽なんですけどね。
開設時に余力があるのなら、中古を購入してしまうことを断然お勧めします。スタッフの自家用車を活用するのも手ですかね。
まとめ
細かなものは上記に記載していませんが、これで開設準備としてざっくり掛かった総額が150万くらいですね。
大きいのは、事務所の物件契約と、法人登記に関する費用です。なかなかこれを削ることはできませんが、設備等は上手く商品を選んでいけば、抑えられると思います。
最低限、この準備資金程度は、自己資金で用意し、融資を受けるのであれば運転資金として借りるという準備が良いのではないでしょうか。
プラン代の入金が2ヶ月先になることと、当面多くの担当件数は見込めないことから、準備資金はなるべく切り詰めていくことが大切。
なるべく、自分の家に余っている物で代用できるものは、購入する必要はないと思います。事務用品専門のリサイクルショップなどもあるので、活用してみるのも良いでしょう。
今回は、私の事業所では日本政策金融公庫の融資を活用しているため、幅広く揃えてみましたが、最低限の物をそろえて徐々に追加していくのも良いですね。