介護保険による福祉用具購入の際に、必要な福祉用具購入の理由書。
記載するべき欄は小さいのですが、どのように記載したら良いか悩む場面もありますよね?その方にとってその品目が必要であるのであれば、それをしっかりと伝え、支援していきましょう。
記載のポイントを押さえつつ、迷ってしまうことが無いように、本人の状態と品目別に記載例をまとめました。細かな部分は適宜修正・加筆をし活用してください。
目次(もくじ)
福祉用具購入
対象となる品目は、以下の通り。
- 腰掛便座(ポータブルトイレ、補高便座等)
- 特殊尿器(自動排泄処理装置の交換可能部分)
- 入浴補助用具(シャワーチェアー、浴槽用手すり、浴槽内いす等)
- 簡易浴槽移動用リフトのつり具の部分
これらは貸与としては利用できませんね。貸与可能品との違いは、直接肌に触れる衛生品が該当するというところです。
年間10万円を上限として、介護保険を利用した支給が受けられるサービスです。
申請を受けるために必要なものは、『申請書』と『理由書』の2点。
多くの場合、福祉用具事業所の担当者の方が手続きや申請書の作成を行っているケースになるかと思います。ケアマネージャーとして行うのは主に『理由書』の作成部分ですね。
自治体により、指定の申請書用紙及び理由書書式があるかと思いますので、そちらの書式を準備してください。ここでは、その購入理由の部分について記載します。
福祉用具購入理由書の記入例
住宅改修の理由書のように複雑な内容ではなく、『なぜ必要か』が書かれていれば問題ありません。
記入する際の構成としては、
- 原因となる既往、疾患
- 現在の状況
- どのようにしたいか
この辺りが書かれていれば問題ないと思いますが、細かい自治体では家族状況や介護力、入退院の状況等求められる場合があります。
腰掛便座:ポータブルトイレ
・骨折後寝たきりとなり常時オムツ使用であったが、短時間の立位が行えるようになってきている。介助が要するものの、移乗が可能となってきているため、ご本人のオムツによる不快感の改善、交換時の介護者負担を軽減するため、ポータブルトイレの導入が必要と思われる。
・歩行状態が不安定であり、特に夜間帯トイレに間に合わないことが増えてきている。急ぐことで転倒してしまう危険も高いが、オムツはなるべく使いたくないという希望。自室のベッドサイドにポータブルトイレを設置することで、夜間帯であっても安全に排泄行為が行える環境となる。
腰掛便座:和式から洋式への変換
・変形性膝関節症の影響で深くしゃがむことが困難。既存のトイレが和式であるため、使用の際に痛みがあり負担が大きい。洋式トイレへの変換を行い、安全で身体負担の軽減した環境に整えることで、自立した排泄状況を作ることができる。
・脳梗塞を発症。軽度ではあるが左麻痺が残り、立ち座りに支障がある。既存のトイレが和式であるため、使用が困難。洋式トイレへの変換を行い、安全で身体負担の軽減した環境に整えることで、自立した排泄状況を作ることができる。
腰掛便座:補高便座
・人工骨頭置換術後であり、深くじゃがむ動作が困難。既存のトイレでは高さが低いため負担もあり、無理な姿勢が脱臼の恐れもある。便座の高さを上げることで、身体負担を軽減した排泄環境を作ることができる。
・〇〇癌の療養中。体重減少が著しく筋肉量も減少したことから、既存のトイレ便座では、便座開口部が広くしっかりと座ることができない。座面開口部の狭い補高便座を充てることで、正しい姿勢での排泄行為が行えるようになる。
入浴補助用具:シャワーチェアー
・大腿骨骨折に伴う人工骨頭置換術済。深くしゃがむ等の禁忌動作があり、既存の風呂イスでは対応できない。自宅での入浴が可能となる浴室環境にするため、シャワーチェアーの利用が必要。
・脳梗塞の既往。屋内は伝い歩きで移動するが左下肢の脱力感が強く立ち上がりに支障がある。既存の風呂イスでは、立ち上がりの際に負担も強く、滑りやすいため転倒の危険も高い。住宅改修による手すりと合わせ、シャワーチェアーの利用により安全な入浴環境を整えたい。
・脳梗塞後遺症による左片麻痺。介助があれば立ち座りや歩行も可能であるが、片麻痺の影響で椅子に手すり等の支えがないとずり落ちてしまう危険がある。ひじ掛け付のシャワーチェアーを利用することにより、立ち座りの動作の安定と洗身を行う際の姿勢を保持することができる。
入浴補助用具:浴槽用手すり
・(疾患問わず)浴槽への跨ぎの際に掴まる場所が無く、転倒のリスクが高いが賃貸住宅のため手すり設置等の住宅改修が行えない。安全な跨ぎ動作獲得のため、浴槽手すりの使用が望ましい。
入浴補助用具:浴槽台
・(疾患問わず)洗い場床と浴槽底との高低差が大きく、跨ぎ動作の際にバランスを崩しやすく転倒の危険が高い。浴槽台を鎮めることにより高低差がなくなり、安全な入浴動作を行うことができる。
入浴補助用具:バスボード
・脳梗塞後の片麻痺があり、片足での立位及び跨ぎ動作が困難。自宅での入浴の際には家族が支援するが、転倒の危険も高い。本人・家族の負担を軽減し、安全に浴槽に入るためバスボードの利用が望ましいと考える。
その他
- 特殊尿器(自動排泄処理装置の交換可能部分)
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
これらにおいては、直接手配に携わったことは無いのですが、
[①原因となる既往、疾患②現状3どうしたいか]これらがまとまっていれば良いのだと思います。
最期に
使う頻度は、ダントツでシャワーチェアー、続いてポータブルトイレですかね。その他の用具については、購入場面が結構限られています。
シャワーチェアーにしても要支援の頃に地域包括支援センターなどで導入していて、居宅介護になった時点では既に利用済みといったケースも多いですね。
どのような場面で会っても、基本的な書き方は[既往・現状・見通し]です。
住宅改修と異なり、自治体から状況確認の電話などが入ることは無いかと思いますが、念には念を入れて不備なく仕上げておきましょう。