初対面の相手や慣れない相手と会話を、長い時間続けることは難しいですよね。良く知らない相手こそ、話題を見つけることに悩んでしまうもの。
そんな場面での話題作りに役立つ言葉で『木戸に立ちかけし衣食住』という言葉があります。
この言葉の意味から、話題作りのポイントをお伝えします。
またケアマネージャーは、担当になると定期的に訪問し、情報収集や状況確認を行うことが必要ですが、形式的な質問ばかりでは、本人にも家族にも、信頼されて気を許す間柄となることは難しいです。
無駄だと思われがちですが、『どうでも良い雑談』と言うのも大切です。
雑談の中で、アセスメントの際に聞き出せなかった、思わぬ情報が出てくることもありますからね。無駄話も捨てたもんじゃありません。
目次(もくじ)
木戸に立ちかけし衣食住とは?
実用日本語表現辞典では、このように書かれています。
初対面の人やあまり親しくない人と会話する際の話題づくりに役立つとされ、記憶される「おまじない」の一種。「気象」「道楽(趣味)」「ニュース」「旅」「知人」「家庭」「健康」「仕事」の頭文字を並べ、「衣食住」を付け加えた言葉である。「性・セックス」を表す「せ」を足して「木戸に立ちかけせし衣食住」として記憶されることもある。(引用:実用日本語表現辞典)
- き・・・気象・季節
- ど・・・道楽(趣味)
- に・・・ニュース
- た・・・旅
- ち・・・知人
- か・・・家庭
- け・・・健康
- し・・・仕事
- 衣食住
慣れない相手にも、こんな話題なら無難に会話できるのでは?といった話題の頭文字を集めたものです。
これを活かして、高齢者や家族との会話で詰まった時の逃げ道として利用していくわけですね。
木戸に立ちかけせし衣食住:実際の使い方
き:気象・季節
- 「今日は、暑いですね。」
- 「最近は、日が暮れるのも早くなってきましたね。」
手紙や挨拶でも最初に触れる、時候のあいさつ。とりあえずの会話としては、定番ですね。
気候は皆さん感じていて、日々変化するものです。その日の気候に触れるだけで、ひとつ会話が生まれます。
ど:道楽・趣味
- 「日中は、どんなこと過ごしてますか」
- 「最近グランドゴルフは行けてますか?」
一般的には、「休日は、どんなことしてますか?」といったものが、会話の振り方です。ケアマネージャーの多くの相手は高齢者です。その場合、休日も平日もありませんよね。
すでにアセスメント等で趣味の情報が情報が入っている場合には、その趣味の取り組み具合についてになりますが、雑談と言うより、普段のモニタリング・情報収集になっていきますね。
部屋の飾り物や、額に入れられた賞状や資格証などにも、視点を向けると話題は広がります。
手作りの小物などを趣味にして、飾っている人も多いですし、華道・茶道の看板、若いころに貰った賞状・感謝状など、人に見てもらいたくて飾っている場合も多いですから、それについて触れてみるのは良いと思います。
に:ニュース
- 「藤井君、2冠になりましたね」
- 「コロナの感染者が100人超えてしまいましたね」
訪問時も、テレビつけっぱなしの高齢者は多いです(それも大音量で)そんなテレビで流れている話題や、その時々の話題に触れて行きます。
ニュースといっても、万人に関心のある内容だけでなく、相手の関心に合わせて触れて行くと良いです。
高齢の芸能人が、病気で亡くなった話など、自身の死と合わせて連想してしまうこともあるので、避けた方が良いポイントです。
た:旅
- 「どんなところに旅行しましたか?」
- 「どこに行ってみたいですか?」
過去の思い出話に花を咲かせるのも良いですし、行ってみたいところから、目標選定に活かしていくこともできます。
『行きたいところが浮かぶ』というのは、前向きな方向に向けていくきっかけに利用しやすいです。
ち:知人
- 「〇〇さんちの息子さん、東大に入ったんですって」
- 「この前、駅前で〇〇さんと会ってね・・・」
井戸端会議で何時間もお話しできる女性の話題の多くは、他人の情報や噂話です。プライベートの会話の中で、共通の友人・知人の話を行う分には、十分間が持つ話題です。
ですが、これをケアマネージャーが行うと、個人情報に触れる恐れがあるので、自身の担当する他の利用者情報などを迂闊に話すことは控えましょう。
デイサービス等の他利用者の話を延々としてくる方は多いです。共感や同意をしてしまうと後々トラブルになることもあるので、うまく聞き流せると良いです。
か:家庭
- 「お孫さん何歳になりました?」
- 「うちの子が、小学生になったんですよ」
ケアマネ自身の家族のことを話して、話題の一つとして利用することもできます。
利用者自身の家族について触れて行くと、本人側から『孫が、最近乱暴で機嫌が悪いと叩かれたりするのよね』などと虐待を匂わせる情報を手に入れることができたりします。
直接の質問だと表に出にくい、雑談ならではの情報収集です。
け:健康
- 「インフルエンザの予防接種済ませました?」
- 「最近太っちゃって・・・この時期太りません?」
- 「私はこの時期、花粉症がひどくてどうですか?」
健康ネタの話題は、雑談としても使えますが、ケアマネージャーが行うと情報収集の範囲です。
質問の手段として、単調なものにならないよう、ケアマネ自身の状態も交えながら、雑談の延長で聞き出していくと相手も話しやすくなります。。
し:仕事
- 「若いころのお仕事は?」
- 「〇〇してる時、どんなことが大変でした?」
仕事の話は、業種や立場が違えど、参考になる話も多いです。
すでに生活歴の確認等で、情報がある場合には、そのころの昔話として話を振ってみるのも良いと思いますが、昔話が長くなりすぎる人は多いので、時間に注意してください。
自分の仕事の話をするときには、個人情報に触れないように気を付ける必要がありますね。
衣食住
- 衣(着る物)
- 食(食べ物)
- 住(住まいのこと)
代り映えのない洋服を着ている高齢者は多いですが、普段と違うものを着ていたり、季節が変わり着る物に変化がみられた際には、そこに触れていくと『小さなことにも気づいてもらえた』と、印象が上がります。
食の話は、『おいしいもの』『その季節の食べ物』など触れる要素が多いですが、なかなか旅行や外出が難しい人も多いですから、日ごろの食生活の話になってしまうので雑談というよりアセスメントですね。
住まいの話は、今住んでいる住居に関しての話題だけでなく、出身地や当時の様子などを聞くことも含まれます。
住居の困りごとなどは、アセスメントの一環になってしまいますが、故郷の話に遡り触れていくのも良いです。仕事の話同様に、昔話が大好きな方は多いですから、雑談だけで時間が過ぎてしまいがち。時間配分に注意が必要ですね。
その他:裏(裏の話)せ(性・セックス)
『木戸に立てかけし衣食住』に『裏』と『せ』を足して『裏木戸に立てかけせし衣食住』と表すこともあります。
- 裏・・・裏の話
- せ・・・性、セックス
どちらも興味を引きやすいものですが、ケアマネ業務の中では触れる場面は少ないと思います。
プライベートで会話に詰まったら使ってみるのも良いのでしょう。
酒の席で気の合う相手と話す分には良いと思いますが、本来想定されている、慣れない相手、初対面の相手にこの話題を出すのは間違いのような気もしますが・・・
触れてはいけない:タブーな話題
政治
ニュースや時事ネタとして話題に上がりやすい内容ですが、支持する政党・政策などで揉める場合もあります。
政治分野に詳しくないにもかかわらず、適当に話題を振ると、しっぺ返しをくらうことも。
宗教
政治分野の話以上に、触れにくい話題です。
相手がどんな宗教かわからないうちは、ニュースで取り上げているような場合でも、否定的な意見を言うのは控えた方が良いです。
ケアマネ業していると、利用者から誘われることもあります。上手にかわす技術も必要になりますね。
悪口
どんな場面でも悪口はいけません。相手の悪口に対しても共感なども控える方が望ましいです。
相手がどこと繋がりがあるかもわかりません。いつのまにか、悪口の発信源が自分ということになって広まってしまう恐れもあります。
事業所の汚点や、デイサービスの他利用者についてなど、悪口のおしゃべりが大好きな利用者さんも多いです。
事業所の汚点については、苦情や指導として伝える必要についての判断も必要になります。
利用者・利用者家族会話のポイント
熱心にアセスメントをしようとしたり、状況の確認をしようとすればするほど、質問ばかりの会話になり、相手からしたら尋問のように思われてしまうかもしれません。
慣れないうちには、相手も同様に緊張していますからね。
- 聞きたいこと質問
- 確認したい内容
こういったことを聞きたい気持ちは一旦おいておくと良いです。
挨拶を兼ねた雑談で気持ちをほぐしてから、本題に入っていけるように、会話が詰まった時の話題としてだけでなく、『木戸に立ちかけし衣食住』を利用することで、話やすい状況を作る際にも役立ちます。
アイスブレイクとして、雑談を利用するわけですね。
慣れてくると『質問』として聞くのでなく、雑談の中に混ぜての情報収集ができるようになってくると思います。
そのような聞き方ができれば、受け手の精神負担を抑えながら、ケアマネの情報収集もすすめることができますよ。
先輩に、教えてもらえない。
こういったテクニックは、事業所の先輩に聞いたり、同行しながら技(テクニック)を盗むというのも大切です。
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