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【自立支援型ケアプランの作り方】入浴を例にした課題分析の考え方

皆さんの下に届く相談で、入浴に関する相談は多くあると思います。

  • 1人暮らしで、入浴を手伝ってくれる人がいない。
  • 寝たきり状態であり、家族が頑張っても、自宅のお風呂に入ることができない。

本人では入浴できず、家族でも支援が困難なケースは、当然ありますよね。

今は介護サービスも充実し、送迎付きで施設に通い入浴支援をしてくれるデイサービスや、自宅に介護ヘルパーさんが来てくれて入浴支援をしてくれる訪問介護サービスなど、対策はさまざま。

それを利用することは悪くありません。

ただし、そのような介護サービスが増えたことにより、まだまだ頑張れる身体状態の高齢者も、入浴支援の介護サービスに頼ってしまい、頑張れる身体がさらに低下し、悪化につながるケースも多々あります。

そのため、『入浴支援が受けたい』と言った相談・希望に対し、単に、支援目標を『安全にお風呂に入る』と立て、その目標に向かい、介護サービスをあてがい、支援達成。

見事なお世話方ケアプランの完成です。その目標は、本当に現状から見つけた課題に、見合った目標でしょうか?

ゴールを『介護サービスでの入浴』にしてはいけない場合

高齢者の身体状態・抱えている病気はさまざま。

既に寝たきり状態になっていたり、認知症の進行で、本人・家族側の頑張りでは、どうにも入浴の確保ができない場合は、介護サービスの利用で問題ありません。

けれども、大きな疾患がないものの、年と共に活動量が減少し、筋力低下が進んでしまった方=(廃用症候群・生活不活発症)については、サービスをあてがうだけの支援目標ではなく、

根本的な、考え方の見直しが必要です。

進行性疾患や認知症の方についても、現状の課題を見直すことで、改善ポイントは生まれます。『介護サービスを手配して入浴確保』では、一時的な対処にはなりますが、改善もなく、さらなる低下を待つだけになってしまいます。

前提になるのは・・・
介護サービスに頼り切るわけではなく、できる限りは、自身で。 足りない部分を介護サービスに。

そのためには、何が原因で、今の状態になっているのか。課題の整理が必要になります。

現状から課題分析

『現状は、入浴ができません。』

だからと言って、入浴を行える介護サービスを手配するだけが、支援ではないことをお話ししました。

まずは、一連の動作を分解します。 入浴行為ひとつでも、複数の場面がでてきます。

居室から浴室までの移動→衣類を脱ぐ→浴室に入る→身体を洗う→頭を洗う→浴槽をまだいで、湯船に浸かる→浴室から出る→身体を拭く→衣類を着る

それぞれで、行えるかどうかを確認します。

  • できる。
  • できるが不安定。
  • 支援があればできる。
  • できない。

そして、『できる』以外の選択肢の場合には、その原因・課題を整理です。

  • STEP.1
    本人の問題を整理
     身体機能として

    • 手や足の筋力低下が原因なのか
    • 関節可動域の制限(疾病によるものか否か)

    認知機能として

    • 認知症による理解不足か
    • 視力低下による認識不足か
    • 失行・遂行障害によるものか
    • うつ症状による、意欲そのものの減衰なのか

  • STEP.2
    家族側の問題を整理
    家族の解除が受けられず、全てを一人でする必要がある方

    本人が出来るにも関わらず、家族の過剰介護がみられる場合

  • STEP.3
    入浴環境の問題を整理
    物理的な要因として不自由な環境を整理

    • 浴室が狭い
    • 床がすべりやすい
    • 浴槽の高さ
    • 掴まれる手すりの有無

こういったところを整理したうえで、

  • それでも永続的に介護サービスが必要な場合
  • できるようになるまで、環境が整うまでと限定した期間に限る場合
  • 介護サービスに頼らず、環境調整や、家族の支援力で確保する場合

に、分類したうえで、サービス調整に入っていきます。

目標設定

最終的な目標設定ですが、整理した問題に対する改善ポイントを課題として掲げ、達成目標、その過程を支援計画に記します。

例)足が挙がらなくて、浴槽に入れない、段差があり浴室に入れないなどの問題について

  1. 課題:お風呂に入れない
  2. 目標:安全に入浴を行う
  3. 支援計画:デイサービスで週2回お風呂に入る。

やりがちな作り方ですが、これでは永遠にデイサービスでお風呂に入り続けない限り、目標が達成できません。

  1. 課題:お風呂に入れない
  2. 目標:自分で入浴行為ができる。
  3. 支援計画:デイサービスで下肢筋力の強化・入浴動作の訓練を行う。

具体策として、お風呂のまたぎや、浴室の段差の高さを目安とし『15cmの段差が昇降できるようになる』などと言った具体的な数値目標を入れると、達成状況を確認しやすくなります。

並行して、浴室の手すり取り付け、入浴補助用具の購入についても含めると良い場合もありますよね。

これで継続的な『お世話型介護計画』から、自立した生活へ向けた『自立支援型介護計画』にすることができますね。

まとめ

今回は、お風呂について挙げた一つの例ですが、こような視点を、介護のケアプランを作成するケアマネージャー達が持っていかないと、介護保険料の増加につながります。

 実際に、介護保険料については、制度開始時よりおよそ2倍 に増加しています。

本人・家族からは、サービスをずっと使っていければ十分。と言われてしまうこともあるかもしれません。

この意識作りは、介護サービス導入初期から、お世話でなく、自立支援が目的だと言うことを刷り込んでいかないと途中で変えることは困難です。

そのためには、まず地域包括やケアマネージャー自身の意識を『自立支援』に変えていく必要がありますね。