介護保険制度を利用して、介護サービスを受けるためには
- 介護保険料を納めていること
- 介護認定を受けていること
この2点が前提となってきます。
ですが、介護認定は、申請してから認定されるまで、原則30日。私の自治体では1カ月半~2カ月かかります。
今すぐ必要と申請しても、認定はすぐ下りるわけではありません。今すぐ介護サービスを利用したい場合には、どうしたら良いのでしょうか?
認定が下りる前でも、介護サービスを利用する手段はあるので安心してください。
目次(もくじ)
認定前からサービスを使うためには
介護認定の効力の仕組み
介護保険制度での認定等級は、結果が1カ月先に降りたとしても、申請日に遡って、有効期間が設定されます。
- 令和3年5月15日に介護認定を申請。
- 令和3年6月20日に【要介護1】の介護認定が1年間の期間で下りた。
この場合、届いた【要介護1】の認定期間は、令和3年5月15日~令和3年5月31日となります。
申請日である5月15日にさかのぼって【要介護1】の判定。という結果が到着するわけです。
認定期間内の介護サービス利用については、介護保険制度の給付対象となりますので、申請さえ済んでいれば介護保険制度を利用できる状態になっています。
介護サービスの利用方法
認定前であっても介護サービスを利用するためには、【ケアプラン】という書類の作成を立ててもらう必要があります。
相談・依頼先は、
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所
本来、この2ヶ所は、介護等級によって担当先が分かれる期間ですが、等級が未定なのでどちらでも相談可能。
認定前のケアプランについては、【暫定ケアプラン】などと呼ばれますが、言葉は意識せず『すぐに介護サービスを利用したい』と相談するだけで大丈夫です。
認定前に介護サービスを利用するリスク
認定が下りる前である以上、等級が決まっておりません。そのためこのようなリスクがあります。
- 非該当がでる恐れ
- 状態が急変し、亡くなってしまう恐れ
- 使いすぎてしまい、区分超過となる恐れ
- 等級によって利用できないサービスもある
1.非該当が出た場合
『非該当』とは、つまりまだまだ元気。と判断されたということ。非該当の方は、介護サービスの給付対象にはなりません。
何かしらの認定が下りると思い、早いうちから介護サービスを使ってしまうと、こんな危険があります。
本当に介護サービスが必要な状況であれば『非該当』が下りることは、ほぼ無いと思いますが、暫定ケアプランでのサービス利用する際の注意点ですね。
2.ご本人が、亡くなってしまった場合
介護等級を決めるためには、『医師の意見書の作成』と『認定調査を受けること』が必要です。
主治医の意見書は、普段受診さえしていれば記載できるものですが、認定調査は、ご本人が亡くなってしまうと実施できません。
体調が不安定で、そのような危険がある時には、申請時にその可能性も伝えておくと、調査予定日を早めてくれる場合もあるので相談してみてください。
暫定ケアプランでのサービスを利用するタイミングも『認定調査の実施後』をひとつの目安として、利用を検討すると良いと思います。
3.使い過ぎによる超過
介護サービスで利用できる量については、区分が重くなるにつれて広がっていきます。
介護3が下りると思って、介護3相当の量の介護サービスを受けてしまった場合、介護1が下りてしまうと、使いすぎてしまった分は保険適応されません(つまり自費)
全く使わず、結果が出るのを待つ必要もありませんが、必要最低限や、軽い区分が下りることも想定してサービス利用を行うべきです。
この区分超過の目安は、ケアマネージャーや地域包括支援センターの担当者がある程度見極めてくれるので、よく相談しながら、受けるサービスを組み立てて行きましょう。
利用できない等級が下りた場合
多くの介護サービスは、認定等級に関わらず、利用は可能です。
但し、介護ベッドや車いすの貸与に関しては『要介護2以上』などと、利用に制限がついている介護サービスが一部あります。
介護2ぐらいの等級が下りると思って、利用を始めていて、実際には軽い等級となってしまった場合、本来利用できない介護サービスですから、介護保険制度の対象とならず、全額自己負担10割の請求額となってしまいます。
認定前の介護サービス費用は
介護サービスの利用料は、介護保険を利用することで、かかった費用の1割~3割が自己負担となります。
ですが、認定等級が決まる前に利用する場合、一旦は、原則全額10割を自己負担するとなっています。
認定が下りれば、対象となるものについては、保険対象となる金額が返金されますが、一時的とはいえ、全額自己負担となるのは、金銭的には厳しいものですよね。
サービス事業所によっては、介護サービス利用料の支払いについても、認定が下りた時点で利用開始に遡り、保険適用後の利用額請求を行ってもらえる場合もあります。
もちろん、早急に必要となっている場面であれば、一時的な金銭負担もやむを得ないこともあると思いますが、相談してみることも良いと思います。
まとめ
介護認定が下りる前の介護サービス利用については、申請手続きさえ行えば、暫定ケアプランとして依頼することで利用することは可能です。
ですが、同時に上記で挙げたようにいくつも利用におけるリスクがあります。
いざその場面になって、慌てて調整をするよりも、高齢者となると急にサービスが必要となる場面もあることを想定し、早めの介護認定申請も考えていけたらと思います。
もちろん、元気なうちに申請しても『非該当』といった認定になってしまいますから、日々の身体状況の確認が定期的に行っていければ良いと思いますよ。