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地域包括支援センターでの社会福祉士実習・看護実習の中身と実習目標の例

実習日数は、大きく異なりますが、社会福祉士の卵も看護師の卵も地域包括支援センターへ実習に来る場合もあります。

近隣の大学・養成校などと付き合いのあり、毎年のように実習を受け入れをしているセンターも多いはず。そんなセンターの職員からすれば、『またこの時期が来たね~今度はどんな子かね~』と実習慣れしています。

資格取得の前提条件になる実習だからと、ゼミ担当の教員から言われるがままに行き先選定をすると、苦痛な実習期間を過ごすことになります。

行き先を選ぶことができる場合には、自分の好き嫌い、資格取得後に活かせる、実習機関を選びましょう。

ちなみに私の社会福祉士実習は、児童相談所でした。当時は児童領域専攻でしたね。

地域包括支援センター実習の概要

前提!地域包括支援センターの概要を知っておく

実習に来る以上、しっかり勉強してこい!とまでは言いませんが、最低限どんな機関なのかは知ってきて欲しいです。

その最低限のポイントとは

  • 主に「高齢者」を対象にした相談機関だよ
  • 社会福祉士、保健師(看護師)、主任介護支援専門員の3職種配置されてるよ
  • 高齢者にとって住みやすい、地域づくりをするよ
  • 介護保険制度を利用したケアマネジメントもやるよ

逆に、ざっくり『このあたりを行う機関』ってことくらい分かっていれば十分です。

もちろん、実習開始直後の頃にオリエンテーションのような形で、『地域包括支援センターとは?』みたいな座学を入れることが多いと思います(うちでは入れてた)ので、細かい部分はそこで教えてもらいます。

そうであっても、『そもそも何をする機関か知らない』と『詳しく分からないけど、高齢者の相談機関という認識』この差は大きいです。

実習中で、同行訪問をするような場面は、介護保険を利用した要支援等への予防ケアマネジメント業務となることが多くあります。

介護保険のこと、ケアマネジメントのことは、嫌でも触れる機会は多く出てくるので、制度の予習なんて不要です。

実習の中身

社会福祉士だと1ヶ月程度、看護師だと数日程度になるので、実習の深さが大きく異なりますが、やることは変わらないです。

内容に影響がでるのは、直営委託か。

地域包括支援センターの主体は、市区町村ですが、自前で運営している自治体と、社会福祉法人や医療法人に運営を委託している自治体とにわかれます。

さらに委託の場合では、単体で建物を構えているところと、老人ホームやデイサービスなどの介護施設内に併設して作られているところとに分かれますね。

市区町村役場や単体センターでは、主に地域包括支援センターで行う業務に同行していくスタイルになりますが、併設するデイサービスや老人ホームがある場合には『関連施設の業務見学・体験』などの名目で、介護現場に出ることもあります。

もちろん直接的な身体介護は行いません(たぶん・・・)が、レクレーションの手伝いや、シーツ交換、食事の下膳配膳等の間接業務は行うことにもなるかもしれません。

現場は絶対イヤ!』と思う方は、単体センターか直営の地域包括支援センターを選ぶ必要がありますね。

地域包括支援センターの基本的な営業時間は、9時~17時程度。実習だと若干短い場合もありますが概ね同様です。

センターに来所して介護相談などを受けるケースは、比較的稀であり、ほとんどは高齢者宅に訪問しての相談業務です。施設の車や自転車などで、あちこち高齢者宅への訪問に同行していくことが実習の多くを占めるはずです。

その他は、さまざまな会議の同席や、介護サービスを受けている場面、提供している施設の見学などが挙がります。

多くの場面で『見学』となるはずですが、訪問先の高齢者の中には、若い実習生が来るとウキウキワクワクしちゃう方も多いです。そんな際には、いろいろ質問攻めにあってしまうこともあるのですが、高齢者とのコミュニケーションをとる機会として、覚悟してください(笑)

また、高齢者サロンなどに地域包括が招かれる際には、レクレーション要員として実際に行ってもらう場面もありますね。

実習の内容
  • オリエンテーション+講義(座学)
  • 相談場面の同席
  • 居宅訪問の同行
  • 利用者の話し相手
  • 各会議の参加(見学)
  • 高齢者サロンの参加(見学)
  • レクレーションの実施
  • 介護サービス提供場面の見学
  • 介護施設の見学

地域包括ケアシステムついて大きな夢をもたない

学校の講義では、地域包括ケアシステムについて重点的に触れたり、地域包括支援センターこそ地域ケアシステムを学ぶ最適な機関だ!などと聞かされて夢をもって実習に来る方は多いです。

そればかりを期待されて、実習に来られても、十分な経験ができないで終わってしまう場合があります。

地域ケアシステムに対する力の入れ具合は、自治体の方針にかなり影響されます。名前ばかりで、動いていない・システムに至っていない、といった地域もあると思います。

特に地域ケア会議などは、定期で行っている自治体などでないと、なかなか見学する機会もないと言うのも現状。特にコロナ禍であり、会議そのものが縮小傾向ですからね。

地域包括ケアシステムについて学びたい!』とピンポイントに考えていくよりも、『地域包括支援センターについて学びたい』という広いスタンスが、現実的。

実習記録書く時にも、ピンポイントで目標設定するよりも、広い視野で見ていた方が書きやすいと思います。(先生に具体性がないとか怒られるのかな?)

※実習結果として『うちの地域では地域包括ケアシステムはまだまだでした。』という評価というのもありかもしれません。




実習目標の例

上記に挙げた『地域包括支援センターの役割』がわかっていると、実習目標も考えやすいと思いますよ。実習担当職員もあまり目標は意識していない(私だけ?)と思うので、当たり障りのないこと書いておけば大丈夫です。

前日に、次の日の行動予定を確認したうえで、それに合わせた目標選定をしておくと良いと思います。

地域包括支援センターの役割

・地域に対する地域包括支援センターの役割を学ぶ

・地域包括支援センターでの社会福祉士の役割を学ぶ

・権利擁護について学ぶ

・地域包括支援センターでの看護師の役割を学ぶ

・地域医療の現場を学ぶ

・急性期から地域に戻る流れを学ぶ

・終末期の在宅ケアについて学ぶ

・地域包括支援センターでの3職種の役割を学ぶ

・地域包括支援センターの地域での役割を学ぶ

・地域包括支援センターがある地域の実状を知る

・地域包括支援センターをに来る利用者像を知る

・地域包括ケアシステムについて学ぶ

・地域包括ケアシステムの役割について学ぶ

・地域包括ケアシステムの展開について学ぶ

・〇〇市での地域包括ケアシステムについて学ぶ

・〇〇市での地域包括ケアシステムの実状について学ぶ

・〇〇市での社会資源の状況について学ぶ

・地域ケア会議について学ぶ

・地域ケア会議の役割について学ぶ

・地域ケア会議の活用について学ぶ

相談援助に関する内容

・高齢者に対する相談援助を学ぶ

・センター内での相談場面を学ぶ

・居宅での相談場面を学ぶ

・高齢者の特性・症状・状態に合わせた相談技術を学ぶ

・利用者の相談からのニーズを学ぶ

・相談からニーズの抽出を学ぶ

・相談からニーズの分析を学ぶ

・相談から支援までの過程を学ぶ

・認知症の方への支援について学ぶ

・1人暮らしの方への支援について学ぶ

・通称:ゴミ屋敷の対応方法について学ぶ

・介護保険制度の活用方法、活用場面を学ぶ

・関連する制度の活用方法、活用場面を学ぶ

・社会資源の活用方法、活用場面を学ぶ

個別ケースから学ぶ

・ケース記録から利用者像を知る

・ケース記録から支援の経過を学ぶ

・ケース記録の種類・内容を学ぶ

・〇〇(症状・状態)の方が、どんな支援(介護サービス)を必要とするのかを知る

・〇〇(症状・状態)の方に対する支援内容(方法)を知る

・高齢者(利用者)とコミュニケーションをとってみる

・認知症の方とコミュニケーションをとってみる

・高齢者の在宅生活場面を知る

・独居高齢者の在宅生活場面を知る

・在宅介護生活を送る家族の役割・気持ちを学ぶ

・訪問介護(ヘルパー)の行う支援について学ぶ

・通所介護(デイサービス)の行う支援について学ぶ

・通所リハビリ(デイケア)の行う支援について学ぶ

・訪問入浴の行う支援について学ぶ

・訪問看護の行う支援について学ぶ

その他

・実習に慣れる

・実習中の1日流れ(スケジュール)を理解する

・スタッフ(職員)の名前や職種を覚える

・遅刻しない

・時間を守る

・挨拶をしっかりする

・地域包括支援センターの業務が自分に合っているか知りたい




実習中の注意

寝ない

地域包括の実習は、会議の参加・見学という場面も多いです。眠くなるような中には固い会議も多いです。

実習生は発言するわけでもないし、難しい話に聞こえるだろうし、寝てしまう気持ちも分かるのですが、中には行政のお偉いさんも出るような会議などもあります。

実習指導として行う職員としては、怒るというよりも、寝てることが周囲に気付かれないかヒヤヒヤしてます。

汚い家(通称:ゴミ屋敷)も覚悟する

困難事例などと言われる、難しいケースへの訪問に実習生を連れていくことは少ないと思いますが、ゴミ屋敷などは社会経験?の一環として連れていかれてしまうかもしれません(私は連れていきます)

初見では『うわっ・・・』と思うこともあるでしょうが、実習として割り切ってください。

また、初回訪問などでセンター職員も会ったことのない相手への居宅訪問の場合は、状況がわかりません。尿・便などが散乱していて『靴下が・・・』という事も考えられます。

頑張って質問する

質問の量は、やる気の判断要素にもなります。(やる気があるかないか、外からじゃわからない。)

こんな質問しちゃって良いのかな?』と悩む前に聞いてしまいましょう。個人情報にシビアな機関ですので、返答の難しい内容もありますが、答えられる範囲では教えてもらえると思います。

教える側としては、全部教えるよりも、質問され、それに答えていく方が楽です

その日、訪問する人のケース記録などを事前に目を通しておくと、訪問先での情報整理にも役立ちますし、質問事項も浮かびやすいと思います。

社会福祉士を目指す方などは、配置必須としての機関にも関わらず、介護相談でもしない限り中を知る機会の少ない場所ですからね。

今後、就職先として考えるようであれば、業務のことに限らず、就職相談のつもりで聞いてしまうのも?

質問の例
  • 地域包括支援センターについて
  • 担当圏域(地域)について
  • 訪問した利用者について
  • 介護保険制度について
  • 仕事のしやすさ
  • 給料(笑)

さいごに

この記事にたどり着き、ここまで読んだと言うだけで、なんてやる気のある実習生だと思います。自分自身は、調べもせず適当にやって実習を済ませてましたからね。

他の機関の実習と言えば、私自身は児童相談所(一時保護所)の実習しか体感したことはありませんが、他の社会福祉士の話を聞くと地域包括支援センターの実習は、他と比べても過酷なものではないようです。

実習場面より実習記録の作成が大変。あまり緊張せずに、気楽にどうぞ。