あなたの地域は、サロンの立ち上げ支援を地域包括が行うことはありますか?
従来、地域サロンは社協が担う部分が多くありましたが、最近は介護予防の観点から高齢者の住民主体となった運動サークルの立ち上げ支援を包括が行う場合も増えてきていますね。
高齢者のサロン活動をはじめ、地域でのグループ活動の場が増えていくことは、地域の福祉力を高めることになります。
・地域ケア会議・ネットワーク会議のテーマとしてサロンの立ち上げ・活性化に向けて行う際。
・立ち上げたいけど、何から手を付けたら良いのか分からない。という地域の相談。
なんて相談が来た際の参考になったらと思います。
新しいことを立ち上げる場合には、『5W2H』を軸に考えていくことがポイント
地域に向けて発信するときには、その中でも、『WHY』=なぜ、必要か?を伝えることが必要です。
地域の中で『立ち上げよう!』という意識を作るためには、どのように展開していけば良いか?
立ち上げようと思っていても、挫折してしまう勿体ないケースが多々あります。
これを減らしていくための、展開方法についてお話しします。
目次(もくじ)
『なぜ』高齢者サロンが必要か
高齢者サロンの立ち上げに向けて、一番大事なところは『WHY=なぜ』です!
『ただ、やりたい。』と思うのと、『意識を持ったうえでの、やりたい!』では結果(運営)に大きく影響します。
まずは、ここを理解してもらいましょう。
地域包括が主催するネットワーク会議で、このテーマを掲げるときは、この『なぜ必要か』への意識作りが最も大切です。
- 閉じこもりの予防
- 活動内容により、運動機会や介護予防の意識や情報が手に入る
- 相談相手の確保
- 異変への早期発見
サロンの必要な理由を、ざっくり挙げるとこのようなところでしょうか。
近年、地域・自治会からの疎遠をはじめ、高齢者の孤立化が叫ばれています。地域の高齢化率であったり、認知症患者の人数を織り込むと、意識作りに活きてきます。
しかし日本全体の高齢化対策への背景ばかりを説明しても、実際の生活とスケールが離れすぎてしまい、真剣に聞くことができません。
自身の地域の現状について事前に包括でも調査をし、地域サロン・地域内でのグループ活動の場が必要であることを伝えます。
最初は『いつ・どこで・何を』
進まない原因・立ち消えになってしまう例として多く挙がることとして、
- やる人(運営者)がいない。
- お金がかかる。
- 方法がわからない。
などが言われますが、実際には『いつ・どこで・何を』が決まらないと、
どれくらいの運営者の人手が必要で、その内容にいくらかかるのか、どうやっていったら良いか。というものはわかりません。
いきなりの挫折を防ぐ前に、まず、『いつ・どこで・何を』やりたいのかを考えてもらいましょう。
『取りあえず、地域で何かサロンをやってみたい!』
なんていう、漠然とした相談が、地域包括にも寄せられることもあると思います。それは立ち上げのチャンスです。『いつ・どこで・何を』を整理しながら実現に向けて考えを広げていきましょう。
サロン立ち上げに向けての『いつ』
開催頻度について、考えてもらいます。
月1回なのか、2か月に1回なのか、毎週開催なのか。地域からの期待と、運営者側の体力で変化してきます。
希望があるからと言って、頻繁な開催を考えると、運営者側が息切れしますし、余力を持って間隔を広げると、地域の参加者が離れてしまいます。
新しく立ち上げる場合には、いきなり開催回数を考えるよりも、とりあえず単発開催を勧めてみることがオススメ。
単発開催を行うことで、運営側の負担や手間を体験することができます。
単発開催は、運営側のお試し開催になるわけです。
一度、開催してみて、その際に参加者に希望する内容などを確認し、参加者の声を集める機会とするのも良いと思います。
サロン開催に向けての『どこで』
多くのサロンは、地域の自治会館や公民館等の公共機関を利用しているケースが多いです。
それでも、場所が無いなんて声が上がった場合の案として・・・
- 自宅
- 空き家・空き店舗
- サービス事業所等、施設の地域向け開放スペース
大人数でなく、友達同士のお茶のみ会延長で開催する場合は自宅でも可能です。
デメリットは、自宅持ち主の負担。空き家空き店舗は、地域の力が活かせる場合には、良い候補となります。
ただで、空き店舗を借りるなんて虫のいい話は、そうそうありませんよね。
地域の中に、そういった建物などを持っている方がいれば、貸してもらえるなんてこともあるでしょう。
穴場として、オススメなのは、介護サービス事業所
事前に地域内の施設について情報を集めておく必要と、施設側への打診が必要になりますが、
地域との関係づくりのために、活用してもらいたいと思っている施設も多くあります。
地域包括としては、その橋渡しとして、地域と介護施設を繋ぐことができれば、地域に福祉の意識を高めるきっかけになると思います。
サロン開催に向けての『なにを』
立ち上げ時点では、厳密に決まっていなくても良いと思います。
とりあえず、お茶飲み会から開始し、参加者の要望に合わせて内容を調整していくなどでも良いでしょう。
ただし、中身が決まっていないサロンは、集客活動の際に苦労することが欠点。
『中身が決まってないけど、参加して?』と、参加には躊躇されてしまいます。
まったりとおしゃべりがしたい方にとって、後に運動サークルのようになると、イメージと違ってしまいますから。
『まったりお茶会系』や『運動サークル系』など漠然としたテーマまでは、決めておいた方が良いと思います。
外身が決まったら『誰が・いくらで・手段は』を検討
『いつ・どこで・何を』が決まってくると、サロン場面のイメージが湧きやすいのではないでしょうか。
- 想定している会場には、何人ぐらいの参加者が見込まれるのか?
- その人数には、どれくらいの運営者の人数が必要なのか?
- 行おうとしている内容には、どれくらいのお金が掛かるのか?
こういった部分の考えがまとめやすくなります。
『運営者が集まらないから、サロンやりたくてもできない!』なんて意見もありますが、小規模で行うのなら多くの人手はいりません。
徐々に増やしていければ良いと思いますし、当面は『包括と共に行う』でも良いでしょう。
そして最後に、集客方法や運営の担当などの役割を考えていきましょう。リーダーであったり、経理担当も含めて後々役割分担が必要になってきます。
サロン運営に対する地域包括立ち位置
サロン運営の主催は、地域の方の中で、探すことが良いでしょう。
サロンは作りたいけど、リーダーが見つからない。だから、包括で主催して欲しい
なんて相談も、あります。
地域にサロンが必要だからと、迂闊にそれを了解してしまうことには注意が必要。
包括が主催で開き、運営スタッフとして地域の方の手伝いを頼むような形での開催を行う場合、
のちのち、主催者を地域に移していけるような働きかけができる見通しがあるのなら良いのですが、長期的に包括が中心となっていくと、地域内に複数箇所の運営が困難になります。
あくまで、サロン運営の主催は地域住民。そこに地域包括の協力といった立ち位置でいることが良いでしょう。
高齢者サロンとサービスB
総合事業が開催された今、サービスBという地域住民主体の通所型サービスが、自治体によっては広まってきていると思います。
サービスの受け皿を増やそうと、市町村担当者からもどんどん立ち上げる様に声が掛かっている包括も多いかと思いますが、
サロン立ち上げの話が挙がったことをチャンスとして、無理にサービスBの立ち上げに繋げないように注意してください。
自治体にもよりますが、サービスBとなると、開催頻度や内容に制約がつくケースがあります。
プラス面としては、運営費用に対して補助が出るケースがあること。
一般の高齢者サロンを運営する場合、社会福祉協議会などからも補助金が出るケースがありますが、少ない金額でしょう。
社会福祉協議会よりもサービスBに対しての給付の方が多い印象です。
サービスB運営に伴う制約と、行う団体の負担を考慮し、一概に勧めることは控え、せっかく、地域でサロンを立ち上げようと思い立った、気持ちが潰えてしまうことがないように。