全6日間の現任者講習、すべて受講完了しました!
心理系の職種ではなく、介護分野からの参加だったので、もう、体力・精神力共に、とても大変でしたよ。
適当に、授業を聞き流して、講習クリア!なんて甘い気持ちではいけません。
現任者講習に参加するうえで、どんな講習なのか、参加には何に注意したら良いのかをまとめました。
現任者講習とは
公認心理師の受験には、受験資格を得るために8種類のルートがあります。
そのうちの一つ『Gルート』については、実務経験5年を満たす方については、『現任者講習』を受講することで、受験資格を得られるというもの。
心理系学校の卒業や、臨床心理士等の資格をもっていない、介護分野のみで過ごした社会福祉士も対象になるわけですね。
ただし、法施行後の5年間に限る、経過措置によるもの。このルートがあるのは、一時的なものということです。
現任者講習の対象者
5年間の限定と、されているものの結構、幅広い領域の方が対象に挙がっています。
日常的に心理関連を扱うカウンセラーばかりではなく、指定機関の中には、下記のような施設(一部抜粋記載)が挙げられています。
- 病院または診療所
- 介護老人保健施設
- 地域包括支援センター
- 保健センター
- 老人福祉施設
- 社会福祉協議会
- 発達障害者支援センター 等
その他、児童領域や障害者領域で対象となっている施設があります。
私の所属する『地域包括支援センター』はもちろん、老人保健施設・老人福祉施設などなど、高齢者福祉領域の施設も対象です。
基礎資格や学校でなく、勤務場所が大きく影響するので、介護職のヘルパー達にも可能性がでてきます。
ただし、ここで働いていても、
- 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること。
- 心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導,その他の援助を行うこと。
- 心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
こういった業務に、従事している必要があります。
申込書に記載すべき内容は、働いた機関・施設・事業所等のみなので、業務内の心理系依存度は、施設側の受け止め方次第かもしれません。
講習の指定教材
2019年版をもちろん私は購入しましたが、その後も発売されています。
適宜追加された箇所があるようですが、追加した以上、それを試験にだすんだよね?となんて思います。
今年度の現任者講習は終了していますが、参考や試験対策に購入するのは良し。
開催地
- 札幌
- 東京
- 大阪
- 名古屋
- 広島
- 福岡
日本全域で開催されますが、かなり限られます。
場合によっては、宿泊が必要なケースもでるかもしれませんね。
私は利用しませんでしたが、幼児(生後6か月~未就学児)の出張保育サービスを実施している会場もあります。
子供の預け先で、受講の一歩が出ない方は考えてみてはどうでしょう?
金額
開催団体により、若干のばらつきがありますが、6万5千円~7万円が相場でしょうか。
えぇ。安くはないですね。
仮に、試験に失敗しても、講習を再受講する必要はないようです。
Gルート受験のためには1度の受講が必須になりますね。
また、開催地が限られているため、遠方からの参加者には、交通費であったり、宿泊費であったり、講習の受講料以外の出費が合算されます。
来年度以降、開催地が増えればいいのですが・・・
現任者講習の中身を解説
さて、ここからが本題です。実際の講習の中身ですね。
時間
90分1講義として、計30時間です
一日当たりの授業時間によって、4日間~6日間に分かれますが、開催団体により、日程は異なるので注意ですが必要。
私は、土日開催のみで済むものを受けました。
1日上がりの授業時間が長く、短期間で終わるものから、土日祝日に少しずつ実施するものまで、研修の委託先により、さまざまです。
講習の流れと内容
- 公認心理師の職責
- 心理的アセスメント
- 心理支援
- 精神医学を含む医学に関する知識
- 保健医療に関する制度、課題、事例検討
- 福祉に関する制度、課題、事例検討
- 教育に関する制度、課題、事例検討
- 司法、犯罪に関する制度、課題、事例検討
- 産業、労働に関する制度、課題、事例検討
科目としては、こんなところでしょうか。現任者講習のテキストの見出しに沿って組まれています。
事例検討と書かれていない、心理アセスメントや支援といった科目であっても、講義内容では、事例検討が混ざって行われました。
半分は、事例検討がありますので、ただただ座学を聞いていれば済むという訳ではありません。
受講してみた感想と注意点
極力、有休を使わないように、土日開催の場所を選んだため、土日がつぶれ通常勤務と合わせて3週間休みの無い環境が出来上がってしまいました。
スケジュールに余裕をもって組める方については、通常の勤務と合わせて調整できると良いと思います。
研修内容も、事例検討としてグループワークが多くを占めていました。
先にも書きましたが、適当に受講して受験資格だけ得られればいいや。なんて方は、いくら5日間程度でも辛いと思います。
主催者の方が言うには『事例検討などで何度も討論を重ねることで、仲良しになり、講習終了後には打ち上げに行かれるグループも多くありましたよ』なんて話もしていました。
講習は、分野ごとに『制度等の説明が90分、その分野に対する事例検討90分』と2コマの授業が1セットとなり複数回行われていきます。
よほどのベテラン心理職であっても、児童も高齢も、産業も、司法も、すべての領域を経験している方は少ないのでないでしょうか?
疾患による症状からの見立ては、どの領域でも重なるものはあるかと思いますが、制度や連携先については、その分野で働いていないと分からない領域かと思います。
心理系で長く働いていた方も、さまざまな領域・制度についても講習の中に入ってくるので、初めて聞く話も多くあると思いますよ。
この辺が、公認心理師が、幅広い領域の中で、ジェネラリストとしての存在意義が必要とされるための布石なんですかね。
福祉職の方は事例検討が鬼門
まさに私がこれでした。
参加者の多くは、発達障害をはじめ児童分野であったり、精神疾患に関わっている相談員や看護師などが多かった印象です。
中でも私のグループワークには、日ごろから、発達障害であったり、精神疾患に関わっている方々ばかり。
そこに、心理分野と言っても、せいぜい高齢者の鬱(うつ)程度の地域包括支援センター出身の私は、そもそも事例検討の際に、症状などにイメージが湧きません。
事例検討の際に多いのが、『この事例を読んで、まず見立てを行ってください』というもの。
共通言語も備わっていないので、事例検討で飛び交う言葉が理解できず、症状から診断・対応の見立てなんて、とてもとても・・・( ノД`)
福祉分野として、高齢者分野の『認知症の症状』とか『地域包括支援センターとは』なんてものは良いのですが、かなり限られた時間です。
介護施設からの受講の場合は、症状からの診断の見立てや、心理系職の共通言語の理解に苦戦すると思います。
トイレ問題
私が参加した講習は150人程度の参加者。男女比は、2:8とか3:7くらいですかね。女性がかなり多い印象です。
そのため休憩時間に、トイレが長蛇の列となるのは必至。
だからと言って、我慢しろとは無理な話ですが、覚悟は必要です。
受講ルール
全日程の参加が必須。遅刻・早退は認められません。遠方からの参加であったので、寝坊や電車遅れが怖かったです。
中には、講師の先生が『10分余ったので、早めに休憩にしましょうか~』なんて言ってくださる場面もありましたが、主催者側から『規定が厳しく、しっかりと90分行ってください!』と指導されてしまい、もちろん短縮もさせてもらえず、結局時間通りの講義。
開催時間とそれを受講されるルールは厳しいようです。
さいごに
現任者講習は、試験対策講座ではないと言われているようです。実際に参加した印象も、試験対策とは違う感じがします。
試験のためと言うよりは、
- 公認心理師が、どのような立ち位置で、どんなことを期待されている職種であるか
- 心理職として活躍していくうえで、最低限の知識や事例から見立てを導き出す考え方の基礎
こんなことを学ぶための研修かと感じます。
こんなことを学んだ気がします。
私も、福祉職からの参加で、心理系の見立てなどの経験は薄い中での関わりでしたが、事例検討を多く積んだため、それで基礎が完成という訳ではないにせよ、
どんな点から、見立てにつなげるか、どんな場合にどこに繋ぐかなど体験することはできたと思います。
試験勉強は、これから、別の試験対策テキストに沿ってモリモリ取り組んでいきますが、今回の講習は、受験資格を得るためだけでなく、今後に活かせることができると思いますよ。