ケアマネージャが行う介護サービスの調整の中で、通所介護(デイサービス)と並んで、調整機会の多いサービスですね。
使い勝手の良い万能サービスであるため相談も多く、調整する機会の多い訪問介護ですが、業務内容や提供時間などに細かな決まりのあるサービスでもあります。
家族の意向ばかりに目を向けていると、保険請求できない事態になってしまうこともあるので注意が必要。
どのようなポイントに注意して事業所に繋いでいくと良いのかをまとめてみました。
- 新人ケアマネージャーさん
- 過去に訪問介護の調整で失敗した人
バリバリのベテランケアマネージャさんには、不要な基本的なサービス調整についてまとめています。
目次(もくじ)
基本的な調整の流れと注意点
- 調整手順1アセスメントと意向確認確認するポイント
- 時間(何時頃)
- 頻度(週何回)
- 内容(ヘルパーができること?)
- 他の代替手段はないか(家族支援や保険外サービス)
『いつ・何を・どう』して欲しいのかニーズがあれば、その必要性についてを考えます。
必要と判断であれば、『ヘルパーのできることか』や『身体』か『生活』かでの分類が必要。医療寄りの内容であると、一概にできますとも言いにくいところです。
『身体』『生活』かで要介護者の場合には料金等も変わってきます。概算の料金を伝えるうえでは必要ですね。
また同居家族の有無で実施の可否が問われます。自治体によっては『生活介護』の場合、別途申請が必要な地域もあるので、確認しておきましょう。
訪問介護だけにとらわれず、民間サービスや、定期巡回等の別の代替え案も常に視野に入れておくと良いです。
- 調整手順2事業所の選定選定のポイント
- 事業所との距離
- サービス内容
- 提供時間、頻度
実施する場所や時間帯、ニーズに対応できる事業所を選定します。
早朝夜間帯は、対応できる事業所が少なく、通所系の送迎時間帯は、混み合っているため、見つけることが大変な場合もあります。ゴミ出しなども時間帯が限定されますが、ヘルパー以外でも対応が可能なもの。代替えサービスの検討も視野に入れながら行うことが良いでしょう。
対応できる事業所が見つかれば、依頼書等のやり取りを済ませるとともに、担当者会議の日程調整を行います。
- 調整手順3サービス担当者会議会議で確認するポイント
- サービス内容
- 実施曜日、時間
- 緊急時の対応、連絡先
本人の身体・生活状態の共有を行うとともに、『何を・どうするか』を詰めていきます。
場所の確認だけでなく、手段・方法についても共に確認ができると良いです。
サービス実施までに、本人・家族側で準備するものがあれば、抜けが無いように書面等に残して伝えておくことで、当日『実施できない』といったリスクを減らすことができます。
独居者の場合は、鍵の管理や買い物の際の金銭管理なども検討する必要がありますね。
緊急連絡先の共有は必須事項です。
- 調整手順4実施導入後間もない時期は、事業所や本人に、実施状況をまめに確認できると良いです。
導入直後には、ヘルパー側から、こちらの家族やケアマネの見落としていた生活状況が見えてくることも多くあります。
また、自立度の高い要支援認定者などには、出来る部分は自分で行う意識付けが必要。プランに『共に行う』など記載している際には、『共に』行えているかを見ていきましょう。
- 調整手順5サービス導入後確認するポイント
- 身体状態が改善し、サービスが不要ではないか?
- 状態が悪化し、通所系への切り替えが必要か
といった、身体状態の変化について確認。合わせて、生活環境の変化も確認します。(例)導入時、独居であった方が家族と同居になった等
『意向を聞いて、事業所調整して、サービス導入』この辺が、訪問介護導入の基本的な流れです。複雑に考える必要はありません。
- 利用意向の際の情報収集
- ニーズから対応の可否を分析
- 担当者会議時の詳細確認
- 実施中や実施後の状況確認
この辺を丁寧に行っていくことが大切ですね。
事前に集めておくべき事業所情報
依頼が来てから、事業所を1から探すのでなく、事前に訪問介護事業所の対応状況について情報を整理しておくとスムーズです。
すべてをしっかり分類する必要まではないですが、この辺を整理されていると事業所を探すときにやりやすいと思います。
対応可能エリア
この辺の住所地であれば、この事業所などと基本的な割り振り程度です。事業所が離れていても、その地域の登録ヘルパーが多く十分な対応ができるなんていう事業所もありますよね。
基本的には、住所地と事業所の所在地から目安はつけておきます。
休日、早朝夜間の対応状況
土日祝日の対応状況や、要支援や事業対象者など、軽度者の場合にはあまり利用することもない『早朝・夜間』の対応についてですね。早朝・夜間は実施している事業所も少なく、休日は、活動しているヘルパー数も限られます。
依頼があった際には、なぜその時間帯その曜日である必要があるかを吟味したうえで、調整しましょうね。
加算状況
一定の人員や運営体制を要件とし、事業所に与えられる『特定事業所加算』この加算を取っている事業所は、通常の利用料よりも割増しとなり、利用者の負担額が増してきます。
事前に確認をしておきましょう。
医療行為の対応状況
厚労省からの通知でも、一部医療行為もヘルパーでも行えることが通知されています。
ですが事業所により、対応している場所、していない場所さまざまです。事前に確認をするか、医療寄りの相談が来た際に少しづつ情報を集めていければ良いと思います。
自費ヘルパーの対応
介護保険だけでは対応できない部分も増えてきて、最近自費ヘルパーとしての料金体系を定め対応している事業所が増えてきています。
単純に10割分という場所から、自費プランとして1時間当たり2000円などと決めていたりとさまざま。料金や自費で対応できる内容についても確認しておくと良いでしょう。
後々、自費サービスの必要性もあがりそうな利用者には、両面から対応できる事業所を手配しておくのも良いと思います。
予防・総合事業の対応(委託時)
予防プランを委託で受けることになった際、これまでと同じ要介護認定者で利用していたサービス事業所が利用できない場合もあるので注意が必要。
訪問介護・通所介護が、総合事業に切り替わったタイミングで、総合事業の指定を受けていないためです。
依頼をきっかけに指定を取ると言ってもらえるケースと、そもそも軽度認定は受けないということもあります。軽度者の委託を考えている事業所は、事前に確認をしておいたほうが良いでしょう。
料金形態も、包括報酬の定額制となり、週の利用回数に制限もあるため、給付管理も間違えないように注意が必要になりますね。
その他にも細かな注意はまだまだ
ここで記載したのは基本的な流れと、最低限の注意点です。その他にも、覚えておくべき確認点としては、
- 介護タクシーなどの利用時の、通院等乗降
- 介助外出・受診付き添いの算定
- 同日サービスの間隔
などなど、細かなサービス調整はまだまだあります。利用頻度は少ないですが、徐々に覚えておく必要のあるサービス調整。改めて記事でまとめて行きます。