空き家だった場所が、いつのまにかデイサービスに?
なんて場面を目にすることも増えてきました。デイサービスなのに泊れる【お泊りデイ】小規模多機能のような介護サービスですが、もちろん別物。
施設により『通所介護』に加えて事業所独自で行う『付加サービス』の内容もさまざま。利用者のニーズと上手く合うと万能に利用できる『通所介護』になると思います。
そんな【お泊りデイ】の特徴とサービス調整の注意点をお話しします。
目次(もくじ)
お泊りデイの特徴
通所介護事業所ですので、基本はデイサービスです。
最近増えてきているのは、空き家になった住宅をリフォームして、お泊りデイを運営するケースですね。フランチャイズ化も盛んで、一から施設そのものを作り上げるよりも展開しやすいことがメリット。
一般の住宅を利用しているため、小規模での運営、定員10名以下の事業所が多いです。
小規模運営ならではの、利用者の細かなニーズに対応できることはメリット。送迎時間の細かな変更や、外出や家庭菜園など独自の取り組みを行っている事業所も多く、臨機応変な調整が可能といったケースが多くあります。
サービス内容
通所介護事業所なので、『通い』が主となる事業所です。付加サービスとして、時間延長からそのまま宿泊し、夜間帯の介護を受けて翌日帰る場合もあれば、日中は、デイサービスで過ごし、そのまま宿泊を継続することも可能。
一日の流れとしては、
- 9:00利用スタート
送迎車に乗り、施設に到着です。
日中は、通常通りの通所介護。入浴・機能訓練、昼食を食べるなどして過ごします。
- 17:00帰宅、延長、宿泊
帰宅する場合には、送迎車に乗り自宅へ。延長して滞在時間を延ばす場合や宿泊する際は、そのまま施設に残ります。夕食を取り、宿泊室で過ごす。
(施設により宿泊用の居室がある場合と、デイサービスの活動スペースを利用する場合に分かれます。)
施設側も夜間対応に切り替わります。多くは夜間スタッフ1人
- 翌日7:00起床朝食を済ませ、他のデイサービス利用者の到着を待ちます。
- 翌9:00日中はデイサービス
前日同様、日中は通常の通所介護施設として利用します。
- 17:00帰宅または宿泊この日で帰宅する場合には、他利用者と共に送迎車に乗り帰宅。宿泊を継続する場合には、同様に利用延長+夜間対応にて施設に残る。
長期の宿泊の場合は、これを繰り返していきます。
『デイサービス利用』と延長した『夜間宿泊』を繰り返して過ごしていくスタイルです。
宿泊は、デイサービスの付加サービスであるため、デイサービスを利用せずに、泊ることを目的とする場合は対応不可としている施設が多いと思います。
その他の取り組みとして
『宿泊』以外の付加サービス、通常の通所介護サービスの活動内容として、少人数であることを活かした外出イベントや、住宅の庭を活かした家庭菜園などを取り組む施設もありますね。
送迎時間の調整などは、通常のデイサービスよりも融通が利きやすいことも大きなメリットです。
料金形態
- 通常の通所介護費(介護保険)
- 付加サービス費用(自費)
1.2の合計が最終的にかかる費用となります。
付加サービスには、3食の食事代(昼食はデイサービス利用時)の他、宿泊(夜間)代、洗濯代など、施設が行う付加サービスの種類の応じて変化します。
通所介護としての提供時間前後に行う外出支援や受診支援、宿泊は無くとも単純な時間延長などを設けているところもありますね。
連続で宿泊した場合、毎日通所介護を利用している状態となりますので、限度額の影響を受けます。超過後は、急激に料金が上がることとなるため、注意してください。(超過後の自費としての通所介護料金を別途設定している施設もあります)
また要支援者を受け入れている施設では、通所介護分が包括報酬となるため、要介護認定者と異なる自費料金を設定している施設もあります。お泊りデイを行う事業所の多くは、予防指定を受けていないことも多いですが、実施している場合には確認が必須となるところです。
- 食事代:1500~2000円(3食分)
- 延長代:200円/1時間
- 宿泊代:1500~2000円
- 外出支援:3000円/1時間
- 洗濯:200円/1回
うちの近隣事業所の大体の目安です。正確な料金は、利用を検討する事業所に問い合わせてください。
お泊りデイ利用検討のポイント
おすすめできる対象者
- 通所が主だが、いざという時に泊まれる環境があると良い方
- ロング宿泊を希望する方
- 気分の波や、生活リズムが不安定な方
- 少人数・アットホームを希望する方
メリットとして大きいのは、『延長』と『宿泊』です。
延長と食事のサポートを併用し、朝早くに送迎してもらい朝食を施設で食べる場合や、帰りを遅く送迎してもらい夕食を施設で食べるといった、ご本人だけでなく家族の生活に合わせた利用時間の設定も可能。
施設の多くは、一般の住宅を改修した小規模の建物です。集団生活に馴染めない方や、家庭の延長のようなアットホームな環境下で日中の介護を受けたい際には、良いところです。
おすすめしにくい対象者
- 自立度が高い方
- 大人数で過ごしたい方
- 認知症や医療依存度、ADLの重い方
多くの施設は、18人以下の地域密着型通所介護となっており、実際の定員は10人以下に設定している施設も多くあります。利用者も要介護認定者の割合も多く、自立度の高い方や大人数で過ごしたい方には合わない施設になってくるかもしれません。
また、通常時間帯の利用であれば、認知症にももちろん対応は可能だと思います。ですが、宿泊を利用する際には、職員の手薄さや宿泊環境から、緊急時のリスクが高い方は控えるべきです。
医療依存度の高い方についても同様ですが、夜間の手薄さだけでなく日中時間帯でも看護師を常勤で置いているところは少ないです。
施設の多くは、一般住宅を改修したものです。そのような場合には、通常のトイレ・浴室・玄関となるので、ADLによっては対応できない場合もありますので、事前に確認した上での調整が必要になります。
概算の料金をしっかり伝える
介護保険請求分については一定であっても、付加サービスの組み合わせ次第で大きく料金が変動します。
幅広いニーズに対応ができる反面、多くは介護保険外の自費サービスとなりますので、後になって『こんなに掛かると思わなかった』と言われないように、付加サービス部分の料金も含めて伝えて行きましょう。
事前に集めて整理しておく情報
付加サービスの内容・料金
通所介護に加え、宿泊に該当する夜間帯サービス、朝昼夜の食事程度は一般的です。
宿泊が続く際の洗濯や、送迎の対応時間(例:早い時間に送迎し、施設で朝食を食べて利用スタートという通所利用など)、自費介助サービスなどについてですね。
それぞれの付加サービスとなる自費部分についての料金形態についても確認しておくと良いでしょう。
家族から挙がる多くの質問は、『それでいくらかかるのか?』です。自費部分は事業所ごとにさまざまな設定をしています。料金表などが準備できると良いと思います。
夜間対応の人員・方法
多くのお泊りデイでは、夜間帯職員1人であることがほとんどだと思います。職員だけでなく、宿泊する部屋や対応内容などは確認しておきましょう。
宿泊部屋を用意して、介護ベッドが準備しいる施設もあれば、デイサービスの活動スペースを片付けて簡易ベッドを設置する施設など、さまざまあります。
簡易ベッドでの対応では、難しい高齢者も多くいますので、宿泊を検討する際には、寝具状況も確認しておくと良いです。
要支援者の利用
お泊りデイとして運営しているデイサービスでは、そもそも予防指定を受けていない事業所も多くあります。
ショートステイと違い、限度額に影響せずに泊まれるからと、安易に調整してしまうと、日中利用の自費分で多くの金額が掛かってしまうかもしれません。
予防指定を受けていても、通所介護部分では包括報酬となるため、独自の自費料金設定をしている事業所も多くあります。
料金設定の情報は、上記の料金表に合わせて確認が必要。
お泊りデイ調整のまとめ
あくまで主は、通所介護:デイサービスです。
地域包括時代には、通常のショートステイよりも、緊急避難先として重宝される場面が多くありました。
認知症で準備が不十分であった方や、うつ傾向が強い方に、1日に複数回迎えに行ってくれなんとか連れ出してくれたケースもあります。
小規模であることを活かし、利用者本人に合わせた対応が密にできることは大きなメリットです。
小規模で重度化した方が多く利用するイメージでもありますが、利用方法と事業所との連携次第では、幅広いニーズに対応できる事業所だと思います。
通常のデイサービスとしても、緊急時の対応策としても、情報を集めておくと助かる場面がくると思います。