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居宅介護支援事業所の経理:税理士を頼まず運営に必要な最低限の仕分け作業

居宅介護支援を単体独立で行うなら、税理士さんに頼むほど複雑なものではありません。事業開始間際の、収入が乏しい時期は自分でやってみるのも良いと思います。

手書きの帳簿やエクセルを使用したものは難しいかもしれませんが、会計ソフトの入力で仕訳帳さえ作成が出来上がっていれば、決算書などは、会計ソフトが自動で作成してくれます。

この仕分けの仕組みさえ覚えてしまえば専門的な知識が薄くともなんとかなるんです。

うちでは、カイポケを利用しているので、合わせて使えるマネーフォワード会計ソフトを使用していました。

居宅介護支援の独立におすすめな介護ソフトはカイポケ:コスパも機能も充実

収入面の仕分け

居宅介護支援は、実際の提供月と入金される月が異なるため、基本的に『売掛け』という扱いになります。

加えて、居宅介護支援費だけでなく、調査委託料や住宅改修理由書作成料など、自治体などからの収入が想定されます。その他の収入も

含めてこれらの収入は、「売掛金」でひとくくりにせず、

・介護報酬未収金

・予防委託未収金

・認定調査未収金

など、「売掛け」の中に補助科目を増やして会計ソフトに登録しておくと良いです。基本的な収入面ではこの3種程度で済むのではないでしょうか。

例)6月分の居宅介護支援費が8月に入金された場合

・6月末時点での記載

借方 貸方 金額 摘要
6月30日 介護報酬未収金 売上高 1.000.000 居宅介護支援費
6月30日 予防委託未収金 売上高 100.000 A市予防委託費
6月30日 認定調査未収金 売上高 40.000 A市認定調査費

上記は、6月末に

・実際に入金された日(25日頃)の記載

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 普通預金 介護報酬未収金 1.000.000 居宅介護支援費

もちろん合算されて入金されるわけではないので、入金場面に合わせて記載していきます。通帳と照らし合わせながらが良いです。

返戻あると管理が面倒なので、間違えないように請求業務を行いましょう。

・他県の委託などで、入金時に振込手数料を引かれてくる場合の記載

県内の委託は、受領委任払いになりますが、他県の委託だと振込手数料が引かれて入金されるケースがありますよね。

借方 貸方 金額 摘要
6月30日 諸口 予防委託未収金 4.500  C市 予防委託費
6月30日 普通預金 諸口 4.400  C市 予防委託費
6月30日 支払手数料 諸口 100 振込手数料

諸口=内訳みたいな意味で使用します。合計額を記載し、その中身を別段で記載します。

支出の仕分け(毎月でるもの)

給与

給与は、確定した際(締め日)と実際に支払った日(支給日)で分けて記載します。

例)月末締め、翌月10日払いの場合

・締め日の記載(月末:7月31日とした場合)

借方 貸方 金額 摘要
7月31日 役員報酬 諸口 400.000 7月分 役員報酬
7月31日 給与手当 諸口 300.000 7月分 給与
7月31日 諸口 預り金 30.000 社会保険料預り金
7月31日 諸口 預り金 300 雇用保険料預り金
7月31日 諸口 預り金 30.000 源泉所得税
7月31日 諸口 預り金 30.000 住民税預り金
7月31日 諸口 未払費用 350.000 7月分 役員報酬
7月31日 諸口 未払費用 250.000 7月分 給与

代表取締役等の役員報酬と従業員の給与は、分けて記載。さらに社会保険料等の金額を別途記載する必要があるので複雑です。

従業員が複数いる場合には、合計額で記載して大丈夫です。

こちらも金額の内訳を記載するため、「諸口」を使用します。

続いて実際に支給した日の記載

借方 貸方 金額 摘要
8月10日 未払費用 普通預金 350.000 7月分 役員報酬
8月10日 未払費用 普通預金 250.000 7月分 給与

一般的に手取り額といわれる金額を記載します。

社会保険料

月末に引き落としとなる社会保険料の記載。

預り金から出る従業員負担分と会社負担分の金額に差が出るので注意です。

借方 貸方 金額 摘要
8月31日 諸口 普通預金 500.000 社会保険料
8月31日 預り金 諸口 247.500 社会保険料 従業員負担分
8月31日 法定福利費 諸口 252.500 社会保険料 会社負担分

借金返済

銀行から融資を受けている方の返済時の仕分け

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 諸口 普通預金 100.000 A銀行
8月25日 長期借入金 諸口 90.000 借入金返済
8月25日 支払利息 諸口 10.000 借入金利息

損金に充てられるのは、支払利息だけです。

家賃・駐車場

家賃も駐車場も「地代家賃」の科目になります。

例)8月25日に、家賃が通帳から引き落とされた場合。

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 諸口 普通預金 100.000
地代家賃 諸口 99.700 事務所家賃
支払手数料 諸口 300 支払手数料

単純に決められた家賃だけの引き落としが発生した場合には、借方:地代家賃、貸方:普通預金の1行で問題ありません。

引き落としの手数料などが、上乗せされて引かれている場合には上記のように支払手数料を追加します。

事務所と駐車場が同じ場所から、一度にひかれている場合には、上記をさらに、事務所家賃・駐車場と諸口で分けて記載します。

光熱費

電気、水道、ガス、すべて同じ科目になります。

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 水道光熱費 普通預金 10000 電気

何の費用であるかわからなくならないよう、摘要欄に内容を記載しておきます。

車関係

例)ABC自動車リース会社より、契約車の費用が引き落とされた場合。

リース車は、車両費ではなくリース料

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 リース料 普通預金 30.000 ABC自動車リース料

ガソリン代は、車両費です。

借方 貸方 金額 摘要
8月10日 車両費 現金 5.000 ガソリン

現金で支払った場合であればこのような形ですが、クレジットカードでの支払い場面の方が多いと思います。下記のクレジットカードを参照ください。

インターネット

A-com(仮名)よりインターネット使用料が引き落とされた場合

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 通信費 普通預金 10.000 A-com

電話・FAX・インターネットが、1社から合算して引かれる場合は、上記のように。

別々の事業者から引かれる場合は、別々になりますね。

カイポケソフト使用料+カイポケモバイルも合算で引かれるため、通信費でまとめて処理しています。

クレジットカード関係

例)8月25日にAクレジットカード会社より引き落としがあった場合

借方 貸方 金額 摘要
8月25日 諸口 普通預金 20.000 Aカード会社
車両費 諸口 5.000 Aカード会社:ガソリン
備品消耗品 諸口 5.000 Aカード会社:購入店名:コピー用紙
旅費交通費 諸口 10.000 Aカード会社:ETC利用料

買った時々に記載はせず、それぞれの日付も気にせずに、カード会社の発行する1ヶ月分の明細に沿って入力します。(購入時のレシート・領収書は別途保管が必要)

諸口欄の数が増えるほど、総額と差が出ないように気を付けてください。

その他の支出

その他細かな支出の仕分けについて。どの科目で仕分けるかは、摘要欄を参考ください。

借方 貸方 金額 摘要
8月10日 旅費交通費 現金 300 コインパーキング
8月10日 通信費 現金 840 切手
8月12日 通信費 現金 120 郵便
8月13日 広告宣伝費 現金 3.000 名刺・チラシ
8月16日 図書研修費 現金 1.000 図書・新聞
8月20日 諸会費 現金 2.500 A市ケアマネ協会会費

これくらいが1年間で出るであろう仕分け科目です。お金の流れがシンプルなので、比較的わかりやすいのではないでしょうか。

最後に

収入が上がってくると、税金計算も複雑になるので、税理士さんにお世話になる時期は来ると思います。

後々、税理士に頼むにしても、ある程度この流れがわかっていると話についていけます。全部丸投げというのも楽かもしれませんが、会社を動かすうえで大事な部分ですから自身でも把握したうえで行うのが良いと思いますよ。

うちでは、4期目から税理士さんに依頼しました。複雑な内容でないにせよ、余分な業務が手を離れてだいぶ楽になりました。(お財布は痛いです)