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介護保険最新情報VOL.958の要点まとめと記載例:ケアプランの様式・記載内容が変更

2021年3月31日、年度の終わりにケアマネージャーに対し驚きの情報が排出されました。

介護保険最新情報Vol.958、内容は『「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正について(通知)』というものです。

これまで長年愛用してきたケアプランの様式変更や記載要領に変更がありますので、ケアマネージャーは早々に目を通し改定箇所を把握しておく必要があります。

本通知は、ページ数で50枚。

忙しいケアマネージャーのために、最低限知っておくべきポイントについてまとめてみました。

注意
記載例として挙げているものは、個人的な解釈で作成したものですので、参考程度まで。

1表:意向欄の記載内容について

まずは、ケアプラン1表の意向についてが変更になっています。

利用者及び家族に対する意向を踏まえた課題分析の結果

利用者及びその家族が、どのような内容の介護サービスをどの程度の頻度で利用しながら、どのような生活をしたいと考えているのかについて意向を踏まえた課題分析の結果を記載する。その際、課題分析の結果として、「自立支援」に資するために解決しなければならない課題が把握できているか確認する。そのために、利用者の主訴や相談内容等を踏まえた利用者が持っている力や生活環境等の評価を含め利用者が抱える問題点を明らかにしていくこと。

引用:介護保険最新情報vol958

難しい言い回しで書いてありますが、これまで多くみられた『意向』をただ書くだけというのはダメ。

新しい様式も掲載されていますが、確かに変わっています。

意向を踏まえたうえで、自立支援に向けて何が必要が、何が問題点かなどを、利用者側がどれだけ把握しているかといった状況についても、記載するといった解釈で良いのでしょうか。

記載例①

本人:早く入院前の生活に戻りたい。
家族:入院前の様に自分の足で歩け、身の回りのことができるようになって欲しい。
入院による長期臥床により下肢筋力が低下しそれを自覚されている。機能向上と共に、現在の状態に合わせた住環境への見直しが必要

今まで同様に、意向を記載して、それに対する評価のような内容を追記する場合であれば、こんな感じですかね。

下線部が追記したところですが、『①ケアマネからの現状の見立て②支援に必要な点③課題』を簡単にまとめたものを足した感じです。

例文なのでシンプルな書き方で済んでいますが、実際のケアプランだと結構頭を悩ませる項目になるかもしれません。

記載例②

ご本人、ご家族共に、入院中に身体機能が低下が低下したことを自覚されながらも、入院前の身体・生活状況へ早期に戻られることを望まれています。低下した下肢筋力の回復と並行し、現在の身体状態に合わせた住環境の整備が必要と思われます。

今まで多く見られた、『本人:〇〇』『家族:〇〇』の記載方法をなくした形。意向・必要性・課題などをざっくりと並べて文章にしたものですね。

どうしても長い文章になってしまいます。

記載例①で挙げたような、今までの記載に一言付け足すといったスタイルの方が、私は書きやすい印象です。

介護ソフトがバージョンアップし、記載欄を直してくれないと書きようがないのですがね

2表:総合的な援助の方針の記載要領について

課題分析により抽出された、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」に対応して、当該居宅サービス計画を作成する介護支援専門員をはじめ各種のサービス担当者が、どのようなチームケアを行おうとするのか、利用者及び家族を含むケアチームが確認、検討の上、総合的な援助の方針を記載する。あらかじめ発生する可能性が高い緊急事態が想定されている場合には、対応機関やその連絡先、また、あらかじめケアチームにおいて、どのような場合を緊急事態と考えているかや、緊急時を想定した対応の方法等について記載することが望ましい。例えば、利用者の状態が急変した場合の連携等や、将来の予測やその際の多職種との連携を含む対応方法について記載する。

引用:介護保険最新情報vol.958

こちらの変更点(追加点)は3つ。

  • 総合的な援助の方針は、本人・家族、ケアチーム一緒になって考えましょう。
  • どのような緊急事態が想定されるかを書きましょう。
  • 緊急時の連絡先に加えて、対応方法も記載しましょう。

ということですが、大きく記載内容変える必要はないと思います。

あえて、ケアチーム全体で考えましょうと記載された『総合的な援助の方針』ですが、前提として以前からケアプランそのものがチーム全体の意見の集合体ですからね。

また『緊急連絡先』についても以前から記載していましたよね。緊急時に電話連絡を想定するからこそ、電話番号があるわけですから、対応方法とし有効なんじゃないかな?と。

文章を見る限り『想定された場合』や、『記載することが望ましい』と言った程度ですから、必須要件ではない部分であるとと、ズルく解釈。

記載すべき状況下としては、

  • ターミナルなどの状態の急変・緊急時が想定される場面
  • 認知症の周辺症状等で、突発的な行動・事態が想定される場面

などがあがるのだと思いますが、対応手順を細かく記載するには、欄が小さすぎます。

どちらにせよ担当者会議等では、緊急時の対応方法などにも触れると思います。支援記録や議事録に検討したことや、その方法が書かれていれば、あえてプランに落とし込むほどではないのかなと思います。



生活援助中心型の算定理由の記載要領について

事情の内容については、例えば、
・ 家族が高齢で筋力が低下していて、行うのが難しい家事がある場合
・ 家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまう恐れがある場合
・ 家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合などがある。(「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」(平成 21 年 12 月 25 日老振発 1224 第1号)参照)

引用:介護保険最新情報vol.958

今までの部分に、上記が丸ごと追記されたものですが、実務上、何の変更もありません。

該当する事情についての例示が要領内に追記されただけです。

これまで通り、利用の必要があれば、その理由を記載するだけですね。もちろん今回挙げた例示以外であっても、正当な理由として認められるものであれば、同様に記載するだけです。

2表:生活全般の解決すべき課題(ニーズ)について

具体的には、利用者の生活全般の解決すべき課題(ニーズ)の中で、解決していかなければならない課題の優先順位を見立て、そこから目標を立て、
・ 利用者自身の力で取り組めること
・ 家族や地域の協力でできること
・ ケアチームが支援すること
で、できるようになることなどを整理し、具体的な方法や手段をわかりやすく記載する。
目標に対する援助内容では、「いつまでに、誰が、何を行い、どのようになるのか」という目標達成に向けた取り組みの内容やサービスの種別・頻度や期間を設定する。

引用:介護保険最新情報vol.958

今までの部分に、上記が丸ごと追記されました。

こちらも、例示が実施要領に追加されただけですので、日頃からケアプランをしっかり作っている方にとっては、何の変更もない部分です。

あえて追記された以上、ここに記載されているように

  • 利用者自身の力
  • インフォーマルの力

と言った視点に対して、「しっかり着目して作りなさい!」と念を押されたということ。

最近、インフォーマルサービスに対する意識作りが強い傾向にありますから、実地指導での指摘も増えていきそうですね。

2表:サービス内容の記載要領について

「短期目標」の達成に必要であって最適なサービスの内容とその方針を明らかにし、適切・簡潔に記載する。
この際、できるだけ家族による援助や必要に応じて保険給付対象外サービスも明記し、また、当該居宅サービス計画作成時において既に行われているサービスについても、そのサービスがニーズに反せず、利用者及びその家族に定着している場合には、これも記載する。
なお、生活援助中心型の訪問介護を必要とする場合には、その旨を記載する。なお、居宅サービス計画に厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護を位置付ける場合にあっては、その利用の妥当性を検討し、当該居宅サービス計画に訪問介護が必要な理由を記載する必要があるが、その理由を当該欄に記載しても差し支えない。

引用:介護保険最新情報vol.958

ここでもニーズと同様に『インフォーマルサービスに着目!』の傾向が現れてます。

できるだけ~記載する。』の『できるだけ』が消されていますので、要するに『書け!』ってことですね。家族の援助だけでなく、保険給付対象外サービスについても記載するよう触れられています。

また、厚労省が定める回数以上の訪問介護については、1ヶ月間の生活援助の利用回数のことですね。

  • 介護1:27回/月
  • 介護2:34回/月
  • 介護3:43回/月
  • 介護4:38回/月
  • 介護5:31回/月

これを超える際には根拠理由をサービス内容に記載しても良いですよ。というところです。『記載しろ』という訳ではないです。

削られた場所としては、生活援助中心型についてです。サービス内容に記載しなくても良くなりました。



3表:週間サービス計画表について

第2表「居宅サービス計画書(2)」の「援助内容」で記載したサービスを保険給付内外を問わず、記載する。なお、その際、「援助内容」の頻度と合っているか留意する。

引用:介護保険最新情報vol.958

まず、これが書いてあります。プランに落としたサービス内容(保険内外問わず)を週間サービス計画に記載します。加えて、記載すべき内容に対し、例示が足されています。

①「主な日常生活上の活動」
利用者の起床や就寝、食事、排泄などの平均的な一日の過ごし方について記載する。例えば、食事については、朝食・昼食・夕食を記載し、その他の例として、入浴、清拭、洗面、口腔清掃、整容、更衣、水分補給、体位変換、家族の来訪や支援など、家族の支援や利用者のセルフケアなどを含む生活全体の流れが見えるように記載する。
なお、当該様式については、時間軸、曜日軸の縦横をどちらにとってもかまわない。
②「週単位以外のサービス」
各月に利用する短期入所等、福祉用具、住宅改修、医療機関等への受診状況や通院状況、その他の外出や「多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービス」などを記載する。

引用:介護保険最新情報vol.958

普段から完璧に作っている人は、問題ないところです。

ですが、日常生活も、だいたいの人は『起床・就寝』『朝食・昼食・夕食』程度しか記載していないのではないでしょうか。

むしろこれさえ書かずに、サービス内容のみという人もいるかもしれません。

例示された項目
  • 朝食・昼食・夕食
  • 入浴(清拭)
  • 洗面
  • 口腔ケア
  • 整容
  • 更衣
  • 水分補給
  • 体位変換
  • 家族の来訪や支援内容
  • 本人、家族のセルフケア

加えて、週単位以外のサービスの欄への追加項目として

例示された項目
  • 短期入所
  • 福祉用具
  • 住宅改修
  • 医療機関への受診状況
  • 通院状況
  • その他の外出

今後は、サービス内容だけでなく、その利用者の生活面全般について3表にモリモリ記載しないといけなくなります。

日頃、最低限で3表を済ませていた私としては、面倒な変更点ですね。

また小さな変更ですが、様式においても、左側の時間軸の記載が変更になっています。0時~24時の記載になりましたね。(以前は、4時~4時)

4表:担当者会議の要点(会議録)について

会議出席者

⑨「会議出席者」
当該会議の出席者の「所属(職種)」及び「氏名」を記載する。本人又はその家族が出席した場合には、その旨についても記入する。記載方法については、「会議出席者」の欄に記載、もしくは、「所属(職種)」の欄を活用して差し支えない。また、当該会議に出席できないサービス担当者がいる場合には、その者の「所属(職種)」及び「氏名」を記載するとともに、当該会議に出席できない理由についても記入する。

引用:介護保険最新情報vol.958

追記された点は、赤字の部分。これだけ見ると、ん?って内容ですが、様式が変わっています。

今まで本人や家族を、事業所の参加者を記載していた部分と同じ欄に記載していましたが、新しい様式では、本人・家族等の記載欄が別枠で設けられています。

大した変更ではないですが、新しい様式を確認しておきましょう。

検討内容

⑪「検討内容」
当該会議において検討した項目について、それぞれ検討内容を記載する。
その際、サービス内容だけでなく、サービスの提供方法、留意点、頻度、時間数、担当者等を具体的に記載する。
なお、⑩「検討した項目」及び⑪「検討内容」については、一つの欄に統合し、合わせて記載しても差し支えない。

引用:介護保険最新情報vol.958

要するに、詳しく書きましょう!ってことです。

『検討した項目』『検討内容』については、一つにまとめて記載しても良いですよ。とも言われています。

議事録全体に対して

なお、これらの項目の記載については、当該会議の要点を記載するものであることから、第三者が読んでも内容を把握、理解できるように記載する。

引用:介護保険最新情報vol.958

当たり前ですが、誰が見てもわかりやすく書きましょう!ってこと。議事録を求めてくる事業所もありますからね。

逆に、議事録は参加者に配ることは、ケアマネの義務ではないですからね?

5表:居宅介護支援経過(経過記録)について

モニタリングを通じて把握した、利用者やその家族の意向・満足度等、目標の達成度、事業者との調整内容、居宅サービス計画の変更の必要性等について記載する。
漫然と記載するのではなく、項目毎に整理して記載するように努める。
第5表「居宅介護支援経過」は、介護支援専門員等がケアマネジメントを推進する上での判断の根拠や介護報酬請求に係る内容等を記録するものであることから、介護支援専門員が日頃の活動を通じて把握したことや判断したこと、持ち越された課題などを、記録の日付や情報収集の手段(「訪問」(自宅や事業所等の訪問先を記載)、「電話」・「FAX」・「メール」(これらは発信(送信)・受信がわかるように記載)等)とその内容について、時系列で誰もが理解できるように記載する。
そのため、具体的には、
・ 日時(時間)、曜日、対応者、記載者(署名)
・ 利用者や家族の発言内容
・ サービス事業者等との調整、支援内容等
・ 居宅サービス計画の「軽微な変更」の場合の根拠や判断等の客観的な事実や判断の根拠を、簡潔かつ適切な表現で記載する。簡潔かつ適切な表現については、誰もが理解できるように、例えば、
・ 文章における主語と述語を明確にする、
・ 共通的でない略語や専門用語は用いない、
・ 曖昧な抽象的な表現を避ける、
・ 箇条書きを活用する、
等わかりやすく記載する。
なお、モニタリングを通じて把握した内容ついて、モニタリングシート等を活用している場合については、例えば、「モニタリングシート等(別紙)参照」等と記載して差し支えない。(重複記載は不要)
ただし、「(別紙)参照」については、多用することは避け、その場合、本表に概要をわかるように記載しておくことが望ましい。
※ モニタリングシート等を別途作成していない場合は本表への記載でも可。

引用:介護保険最新情報vol.958

いろいろ追記されていますが、新しい情報というのは特にありません。

  • わかりやすく書きなさい!
  • 別紙参照は多用しない!(せめて概要を書くように)
  • モニタリングシートが無かったら、支援経過に書いても良いよ

程度ですかね。

まとめ

つらつら書きましたが、面倒な変更点は『1表:意向』と『3表:週間計画』についてぐらいでしょうか。

その他は、大きな変更といったものはありません。

  • 社会資源・インフォーマルサービスをプランに入れなさい。
  • プランや記録等、わかりやすく書きなさい。

こういったことは、以前より言われていましたし、研修でも散々言われてきたと思いますから、今さら?と感じる人も多いと思います。

既に、『これらに沿って行っています!』という方は、素晴らしい!

ここにきて、改めて要領に記載されたと言うことは、実地指導する側に攻める根拠を与えてしまったと言うこと。今後の実地指導で失敗しないように気を付けていきましょう。