介護サービスを使おうと思い、介護申請をした際に、まず行われるのが、主に行政機関に属する認定調査員による認定調査(ご本人の状況確認)です。
実際の生活場面を見るため、自宅に調査員が伺います(入院中は病院にですね。)
そんなとき、現状が上手に伝えられないと、『とても軽い等級になってしまい、必要なサービスが使えない!』なんてことになってしまいます。
一般の方は、なかなか経験することのない認定調査。気楽に受ければ大丈夫というわけでもありません。
今の現状が、調査員に正しく伝わり、正しい認定結果につながるよう、、今の現状を良く整理し、認定調査に臨みましょう!!
最初から、正しく伝えられるようにすることが大切です。
目次(もくじ)
認定調査で聞かれること
大きく分けて、5つの区分で聞き取りが行われます。そして、質問の多くは、3つの選択肢で分かれます。
1.できる
2.一部できる、または、できているが不適切に行われている。
3.できない
できないのに、『できる!』と答える高齢者は、結構いますよ。
初対面の認定調査員には、そのまま伝わってしまう恐れもあるので注意。
身体の状態
麻痺の有無の確認から、歩行や寝起きの動作、視力・聴力の確認
ここでは、実際に行ってもらう実技確認が多い項目です。
座ったまま、足がどれだけ上がるか、腕がどこまで上がるか等を実際に動いてもらってできる状況を確認しますので、痛いのに無理して挙げることまありません。現状の状態を伝えてください。
入浴行為や爪切りの手段についても確認が入ります。
1人暮らしなどの際には、必然的に自身で行っている場合もあるかと思いますが、一部『不適切行為』という特記があります。
実際は、自身で行っているけど、しっかりと出来ていない場合。
行っていると言えば、『できる』のチェックだけで済んでしまいますが、『行っている・・・けど・・・』と、現状を細かに説明することで、不適切行為に該当する場合もあります。状況は詳細に伝えましょう。
生活機能の状況
移動・排泄(排尿、排便)・衣類の着脱・外出状況など
上記の身体状況をもとに、生活場面での介助の必要性を確認します。
外出の際に、1人でも可能か、誰かが付き添って行うのかや、実際のその頻度。
例えば、排泄の失敗があった場合、それを本人が処理するのか・家族が処理するのか。失敗しても自身で処理している場合は、『できる』に含まれる場合が多いです。
衣類の着脱の際、ボタンなどの支援や、ズレの手直しなどを小さな解除を家族が行うか、1人ですべて行うかなど。
認知機能の状況
生年月日の認識や、季節場所の認識、意思伝達を行えるか、徘徊の有無
認知症などの記憶力、認識・判断力の確認です。
いくつかの物を覚えてもらい、別の質問を間にはさみ、その後、覚えているかどうかを改めて確認するといった記憶力の検査や、生年月日・年齢・季節・現在いる場所などの認識状況を確認していきます。
物忘れなど、認知症による症状から、日常生活に支障がある場合などは、事前にメモにまとめるなどして細かく伝えましょう。
ご本人の前では言いにくい内容も含まれるかと思います。調査後に別室や玄関外などで改めての補足でも問題ありません。
伝えないまま終わってしまった。という事を防ぎましょう。
精神的な行動の障害
被害妄想や、感情の不安定、収集癖、
精神的な症状の確認をする質問です。
上記の認知症の状況を伝える場合と同様に、本人の前では言いにくい場合も多くあると思います。別室や玄関外など、伝える場所を検討しましょう。
日常生活場面への適応
金銭管理や服薬管理、日常の意思決定。買い物、調理など
現状について、質問にそのまま答えれば問題ない項目です。
調理の有無については、実際の状況よりも、能力の有無を見られる場合があります。
実際には、調理をしておらず、家族が支援している場合であっても、やろうとすればできる状況の場合、「ごはんを炊いたり、レンジで温めたり」そういったことが行える場合。調理についても介助に該当せず、自立と判定される場合があります。
その他医療行為についての確認
人工透析や、在宅酸素、ストマ(人工肛門)など医療的な管理が要するかどうか
認定調査の結果で何が変わる?
認定調査の結果と、主治医の意見書の2点を合わせて、審査会という判定会を通し、認定結果が決まります。
等級によって、利用できる介護サービス内容に大きく変化は出ません。(一部等級に応じて利用できるサービス有)
ただし、利用できるサービス量に変化がでます。
リハビリには、週に3回ぐらい行きたいけど・・・
多くは、要支援の方は、週1・週2回までです。などと言われる場合が多いです。
認定調査を受けるときの注意点
見栄を張らない。
これは、高齢者の方全般に多い傾向です。
調査員に、『できますか?』と聞かれると、できてなくても『大丈夫だよ。できてるよ。』なんて言ってしまいます。
調査員は、その方とは初対面です。
そう言われたら、疑うことなく、『できてる』とされ、何のチェックも付きません。
出来ない部分を人に伝えることは、抵抗があるかもしれませんが、できないこと・困っていることは正直に伝えましょう。
必ず家族が立会いをする。
上に、『見栄を張らない』と言う注意を書きましたが、どれだけ念を押しても、元気を装う高齢者は多いです。
そんな時に、傍で訂正する方が必要です。
『こんな風に言っているが、実際は●●なんです。』など、事実と反している発言があれば訂正ができるようにしましょう。
また認定調査は、もちろん日中に行います。その場面では見れない状況(夜間帯)や、排泄場面・入浴場面などの確認ができない状況については、詳しく伝えましょう。
どうしても、ご家族が立ち会えない場合、普段の状況を知っている知人や、地域包括支援センター・ケアマネージャーなどに立会いを依頼しましょう。
もちろん、他者に依頼する場合、普段の状況を詳しく知っている方に限られます。
困っていることは、何でもありのままに伝える
調査項目にない事であっても、今現在困っていることがあれば遠慮なく伝えましょう。
決められた調査項目以外に、特記事項として、その他の内容を記載する欄が調査用紙にはついています。そういった部分に細かに記載されることで、認定等級を決める審査会での情報の1つとして活用されます。
主治医(意見書を書いてもらう医師)にも受けることを伝える。
認定調査の結果だけでなく、主治医の意見書も結果には影響します。
先生の中には、あまり状況を確認しないまま、記載をされてしまい、元気な方の様に書かれてしまうこともありますので、直前の受診などで、
・介護の申請をしたこと。
・現在どんなことで困っているのか。
・どんな介護サービスを使いたいのか。
などを、直接伝えておき、意見書に反映してもらいましょう。
調査日の調整について
介護申請をして、調査日の決定がされると、市町村によっては、1カ月近く申請から間が空くことも多くあります。
退院が迫って、すぐに介護サービスが必要な場合や、特にガンの末期診断を受けており、近日急変なども考えられる際などには、市役所職員から言われた調査日を鵜呑みにせず、背景を伝えたうえで、日程の交渉をすると、調査日を早めてくれる場合もあります。
最後に
適当に調査を済ませ、結果が出たあとに困ってしまうのは、ご本人・ご家族です。
軽い認定等級がでてしまっても、再度、認定区分の変更申請をすることもできますが、結果が出るのはさらに数カ月先です。
一度の調査で、現状が旨く伝えられるように、日々の困りごと・トラブルなどはしっかり整理し、日程の調整が大変かもしれませんが、誰かが立会をし、ご本人の言葉に補足できる状況を確保しましょう。