施設に通ってサービスを受ける点では、通所介護と同様に施設に通って受ける介護サービスですが、本人・家族は、リハビリを受けることを希望し、その目的に即した専門リハビリを狙うための調整となります。
リハビリ・運動をしたいから、『デイケアに行きたい』と希望する本人・家族は多いですが、希望する運動内容によっては、デイサービスでも十分に果たせる内容でもあったりします。
どのようなポイントに注意して事業所に繋いでいくと良いのかをまとめてみました。
- 新人ケアマネージャーさん
- 過去にデイケアの調整で失敗した人
新人さんに向けた基本的なサービス調整です。ベテランケアマネージャーさんは日常的に行っていることですよ。
基本的な流れと注意点
- 調整手順1意向・必要性の確認確認するポイント
- 希望するリハビリ内容
- デイケアでのリハビリが必要かどうか
デイケア選定の利用希望において、まず確認すべきはここです。
通所施設で行える運動内容を十分理解をしていない利用者からの希望の場合、デイサービスでできる運動・デイケアで行えるリハビリについて説明をする必要があります。
目的が異なるため、デイケアでは、通所介護と違いレク内容については充実度が減少します。専門的なリハビリが必要なく、逆にデイサービスの方が望ましいケースもあります。
サービス内容の違いの説明や、提案は行っておくべきです。
- 調整手順2意向の確認
必要性が感じられれば、事業所選定に必要な意向を集めていきます。
確認するポイント- 内容(レクの希望、入浴の希望)
- 一日型か半日(短時間)
- 曜日(回数)
- 事前見学等の希望
本人の希望から、デイケアの選定を行うための確認事項です。
特に、医療機関に付属するデイケアを希望される場合は、送迎の有無や利用時間、母体病院等への受診の必要性など独自の運営スタイルであることも多く、確認が必要です。
- 調整手順3主治医への確認
上記の手順1・2と並行して行うべき内容です。
デイケアは、通常の介護サービスと異なり、意向が挙がったと言ってもケアマネージャーのみの判断でサービス調整が行えません。
『主治医の指示』の確認が必要です。介護認定の際の、主治医の意見書に記載などが無い場合、改めて伺いを立てる必要があります。
利用の際には、診断書の提出も必要となるので、合わせて相談していきましょう。
- 調整手順4アセスメント・情報収集確認するポイント
- 移動能力
- 排泄能力
- 認知症程度
- 視力、聴力
- 医療的配慮
- 昼食薬の有無
- 食事形態アレルギー、禁止食材
- 送迎時の対応
こちらも通所介護同様に、事業所への依頼時や申込書の記入が必要になってくる部分です。
医療的配慮(ストマ・酸素・インスリン等)は、利用できる施設も限られる場合もあるので、該当する際の確認は必須です。
全てが必須と言うわけでもなく、半日型の短時間デイサービスでは省略される部分もでてきますが、アセスメントを取っていて困る物ではありません。
確認していない点があれば、調整を始める前に不足分を埋めておきましょう。
送迎時の対応は、特に家族不在の場合、送り出しのヘルパーの要否や鍵の管理など事前のデイサービス調整前の手配が必要となる物もあるので確認を忘れずに。
- 調整手順5担当者会議
スムーズにいけば、サービス担当者会議を経て導入となりますが、デイケアの場合、施設で事前に利用の可否を決める判定会を通過する必要があることも想定されます。
勇み足のサービス調整とならないよう、利用施設と連携を図ったうえで、調整をしてください。
確認するポイント- 送迎時間
- 持ち物
- 送迎時の対応、鍵管理
- 緊急連絡先
身体及び生活情報の共有から、利用に向けた細かな確認を行っていきます。目的がリハビリとなることから、経緯や目標については、より深く伝えて行く必要があります。
ある程度ケアマネからの伝達が済んだら、事業所側の相談員に不足している点の情報収集を促します。
この会議で出来上がったケアプランについては、主治医に送付する必要がありますので、手渡しでも郵送でも忘れないようにしましょう。
- 調整手順6サービス実施利用中の様子は1か月程度の間に一度施設へ見に行ってみるのも良いと思います。その場での表情なんかも見れますからね。ケアマネージャーが伺うと本人は喜びます。(事業所側はどうか知りません。)
- 調整手順サービス導入後確認するポイント
- 目的の達成状況
- 利用したことによる、身体・生活状況の変化
- 利用における不満
利用している事業所に対しての愚痴も出るかと思います。なんでも事業所に伝達するのではなく、改善を促す必要があるものか、愚痴として聞き手になるだけで良い内容かの判断が必要です。
この辺が、通所リハビリ(デイケア)調整の基本的な一連の流れになります。
『なぜ、デイケアである必要があるのか?』を見極めたうえでのサービス調整が大切になりますね。
事前に集めておくべき事業情報
パンフレットを揃える
相談のたびにもらうのではなく、近隣施設のパンフレットは事業所内にストックがあると良いです。候補に挙げる施設のパンフレットを相談の際に提示することで、目で見て貰えることはイメージもわきやすくなります。
ただしパンフレットは、綺麗に作成されています。完成度の高すぎるパンフレットを見てしまうと利用した後に、思っていたのと違う・・・なんてことも。
パンフレットの収集だけでなく、ケアマネージャー自身が直接、施設見学に行き、どんな機器があり、どのようなリハビリを行っているか見ておくことも大切です。
対応可能地域
どんなに良い施設であっても送迎範囲により利用に繋げることができません。公にしている範囲より実働範囲が狭いこともあるので、相談しながら情報を集めていければと思います。
土日祝日の営業
家族の負担軽減のため、土日にもあえて利用を希望する家族もいますよね。土曜日営業は増えてきていますが、日曜日の営業の施設は、かなり限られます。
祝日は、休みになる施設もあります。
月曜日利用を希望されている場合、重なりやすくなるので注意が必要。月額包括報酬である予防プランを受ける際には、振替利用の可否についても確認しておくと良いと思います。
事業所の体制・設備
- リハビリ専門職の配置状況
- リハビリ時間外の過ごし方
- 男女比
- 重度者、軽度者の割合
- 医療的なケアが、何をどこまできるか
- 個浴や機械浴リフト浴の有無
- 加算の取得状況
このあたりが、本人・家族から相談の挙がりやすい内容です。事前に整理されてあると、その都度確認する必要がなくなってスムーズです。
特にデイケアであっても、PT、OT、STの配置状況はさまざま。STが在籍する施設を探すのはなかなか大変です。調べておいて損となる情報ではありません。
デイケアは加算も複雑です。通所介護よりも料金も高くなるので、加算状況も事前に確認しておきましょう。
予防支援の受け入れ
総合事業の対象となる、事業対象者では、デイケアの利用は行えません。要支援認定以上が必要。
要支援認定者の受け入れ状況は、確認しておきましょう。利用人数に独自の枠を設けている施設もみられます。
介護の時はスムーズに利用に繋げたのに、『要支援者の枠はいっぱいです』なんて返事もあるので、受け入れ状況は探っておくと良いです。
デイケアの利用調整まとめ
デイケアは『医療系』の介護サービスとなるため、主治医の指示や、診断書の準備、主治医へのプラン送付など通常のデイサービスよりも調整は複雑です。
調整方法を覚えるだけでなく、その調整に繋がる『必要性の確認』が大切。
本人・家族側の希望するものを叶えるために、『デイケア』が本当に適切なサービスであるかを見極められるようにしてください。