慣れない介護に、身体的にも精神的にも大きく負担のかかる在宅介護。ニオイに悩まされた中では、余計につらい介護生活になってしまいます。
介護の仕方・環境を変えてみるだけでも、緩和されることもあります。なぜ、介護場面では『ニオイ』問題の声が多く挙がるのか、高齢者のニオイの原因を考えながら、解決策を考えてみましょう。
介護場面で発生するニオイに対する解決策についてお話しします。
目次(もくじ)
高齢者の介護場面は、なぜ臭い?
歳による加齢臭だけが原因ではありません。
- 尿臭や便臭
- 皮脂、汗の臭い
- 湿布などの医療系のニオイ
こういったものが加齢臭に混ざり、「複合的」な臭いとなって介護者の頭を悩ませます。
原因1:尿臭・便臭
オムツやポータブルトイレを利用している場合には、尿・便が室内に置かれる時間が長くなるので、臭いも篭もりやすくなります。
排せつ物を処理したからといってもリセットにはならず、室内にある時間が長くなるほど、衣類やシーツ壁紙など布には臭いは染み込み尿臭等が室内に残ってしまいます。
自身でトイレを使用する高齢者であっても、衣類について汚してしまっても気づかないでそのまま生活をしていることも多くあります。乾いてしまうと周囲は気づきにくいですが、乾いた後もニオイは残ってしまいます。
便器の周囲にこぼしてしまったり、そのまま他の部屋まで動いてしまって、臭いが広がる原因にもなってしまいますね。
原因2:身体・口腔
寝たきりの時間が長くなったり、入浴の頻度が落ちたりすると、衣類・寝具に臭いは増えていきます。
麻痺や拘縮で動かせなくなっている部分には汗・皮脂も貯まりやすいですね。ギュッと固まってしまっている部位が身体にある時に、細かなところまで洗うことは、なかなか大変。
口腔内も、唾液の分泌が減り虫歯や歯周病など環境も悪化しがち。歯磨きや入れ歯洗浄も十分に行えていない場合は臭いもきつくなります。
高齢者介護ニオイの対策
ポイントは、『ご本人の衛生管理』と『居室環境の改善』。
入浴してくれないや入浴の介護が大変な場合
入浴機会の減少も、ニオイの大きな原因になります。
日中の介護負担軽減と合わせて利用が出来る公的介護サービスにデイサービスの利用があります。
定期的な入浴機会を組むには、比較的導入のしやすい介護サービスです。
日中(主に9時~16時)の時間帯を預かってもらうことができ、その間入浴介助も施設で受けてくることができます。
介護負担軽減と合わせて利用できるのが大きなメリット。
家から出ることが難しい場合には、『訪問入浴』といったサービスであったり、ご家族でもできる部分では身体を拭いたり、ベッド上で頭を洗えたりするグッズもあります。
排せつ場面のニオイケア
排せつ面の失敗は、臭いのもとです。失敗しない環境づくりも大切トイレまでスムーズに行けるように動線を整理したり、失敗を予防するためリハビリパンツの利用も効果的です。
排せつの失敗は、本人の自尊心を傷つける原因にもなりやすいです。過度に注意して、より失敗を隠すようになってしまうという悪循環になってしまいます。
失敗することを前提とし、失敗しても大丈夫な環境を準備して行くことが双方にとっても良い方向に働くのだと思います。
ポータブルトイレやオムツを利用している際には、使用してから片づけるまでの時間を短縮して行くことが大切。ご本人から、使用したら声を掛けてもらえるとスムーズになります。
ポータブルトイレ用の消臭剤も販売されています。事前に入れておくと、消臭効果は高まりますね。
口臭
高齢者にとって口腔ケアは負担になってきます。食べ物のカスが口の中に残っていたり、それが長く続き、不衛生な環境であればニオイは強くなってしまいます。
本人に、食後のうがいを促すことが出来たり、入れ歯の洗浄などに支援ができると良いと思います。
歯科受診で口腔環境をチェックしてもらったり、定期的な洗浄ができると維持もしやすくなります。
定期的な歯科受診が難しい場合には、訪問歯科といった在宅に歯科医に来てもらう歯科の訪問診療を検討してみるのも良いかもしれません。
かかりつけの歯科が行っている場合もありますし、訪問メインの歯科も増えてきています。
居室の換気・消臭
色々なニオイが複合し、それが部屋の中に閉じこもってしまうため、『独特な高齢者のニオイ』が出来上がってしまいます。
『食事の時以外は、部屋に閉じこもりっきり』なんて高齢者の方も多いです。
閉じこもっている部屋の戸も窓も閉め切っていることが多いですよね。それだと臭いは中に篭もってしまいます。
本人が臭いからと、部屋の戸を閉め切っておくことも逆効果。余計に臭いが閉じ込められてしまいます。
『定期的な空気の換気』を行うことでかなり防ぐことができます。
- 消臭剤
- 空気清浄機
こういったアイテムに頼ることも消臭効果は高まります。
介護負担は増えてしまうかもしれませんが、寝具や衣類の洗濯をマメにしていくこともニオイ改善には効果的です。
在宅介護が限界になったらまず相談
介護に関する相談先は大きく2つ
- 担当するケアマネージャー
- 地域包括支援センター
公的介護サービスを利用している際には、担当のケアマネージャーがいるはずです。介護サービスが未利用であれば、高齢者の相談機関である地域包括支援センターが対象です。
介護の悩みに対して、アドバイスをくれるだけでなく、介護サービスを利用した介護ストレスの回避手段を提案してくれます。
介護が限界に感じたら、まずは一息おける環境を作ること。そんな時には、一度距離を置くことも大切。
万が一、担当のケアマネージャーに対して、信頼が持てない場合・・・担当を変えることもできます。介護の悩みを話すには信頼できる相手が良いですよね。
【介護の悩み】担当のケアマネージャーは変更できます。その方法を解説宿泊系のサービスの検討
在宅介護サービスの中にも、『ショートステイ(短期入所)』というサービスが位置付けられています。
最短で1泊から最長で30日、一時的に施設にて生活をし、期間が終われば在宅に帰ってくるサービス。
- 息抜きに旅行がしたい
- 一度、介護生活から距離をおきたい
- 施設入所のお試しとして利用したい
24時間気が抜けない介護生活。旅行に行ったり、ゆっくり食事がしたい!そんな悩み解決にもつながる介護サービスです。
いきなり、介護施設の入居は本人の抵抗も強く表れハードルが高くなると思います。介護者が介護生活から一度離れ、リフレッシュすると同時に、施設入所に向けた体験をしてもらうのはどうでしょう?
こちらの利用についても、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターが窓口になるので、まずは相談です。
施設入所の検討
『すぐに入居したい』『いつかは入居して欲しい』どちらにしても、情報を集めておくことは大切です。特別養護老人ホームは、介護認定の制限や待機待ちも多く、すぐの入居は難しいのが現状。
自宅の近所にどんな介護施設があるのか、どういったサービスが受けられるのか。今はインターネットを利用し簡単に情報が取り寄せられる時代になりました。
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