入院中は、介護保険(介護サービス)は利用できません。
ですが家族が入院した際、退院直後から介護サービスの利用が必要とされる場面もありますよね。
そんな時、介護保険の認定申請は入院中に行い、認定調査も病院内で受けることができます。
申請をして、結果が出るまで早くても1カ月。
退院まで待って、その後に申請しても、認定結果が下りずに空白が出てしまいますよね。そのため、退院に備えて早めに申請しておくことは大切です。
ただし、注意しなければならない点もあるので、ここではそのポイントを解説します。
目次(もくじ)
入院中に申請するメリット
退院時にスムーズな介護サービス導入
認定結果が下りるまでは、早くても1ヶ月です。退院後にこの申請をすると介護サービス導入までしばらく空白ができてしまいます。
入院中に申請しておくことで、早いうちに等級が確定し退院に備えて、地域包括支援センターやケアマネージャーが退院後の介護サービスの調整を進めていくことができます。
退院と同時に、介護ベッドなどの住環境を整える必要がある際には、入院中からの手配が必要となりますね。
退院と同時に施設入所も検討できる
退院後、自宅に戻るか・施設に入るか悩んでいる方もいると思います。介護施設によっては、認定結果が下りていないと入居相談が進められない施設もあります。
早いうちに認定結果の目安が付いていると、広い範囲で施設を探すことができますね。
- 特別養護老人ホーム(要介護3以上)
- 老人保健施設(要介護1以上)
- グループホーム(要支援2以上)
介護度が重くなりやすい
介護サービスは、認定等級の重さにより利用できる限度額が変わります。等級が重い方が、たくさんのサービスが利用できるようになります。
退院後に申請してしまうと、元気になってしまっている状態なので、軽い等級となってしまいがち。
それが入院期間であれば治療・リハビリの最中などで、改善前の状態で判定されます。施設入所を狙う際にも、軽い認定等級の場合は入所できない施設もあるので、その点も安心。
(※等級が重いと介護サービスの費用が上がってしまうデメリットも一部あります)
入院中に介護申請をする注意点
状態が安定していないと認定調査ができない
申請後に行われる認定調査は、状態が安定していることが条件。
入院中であっても、手術直後やリハビリを開始したばかりの時期などでは、状態が不安定であり今後大きく改善が見込まれるため調査の実施はおこなえません。
介護認定の申請手続きは行うことができますが、認定調査の実施日が保留となる恐れがあります。
普段のかかりつけ医に主治医意見書が頼めない
申請の際に必要となる『主治医の意見書』ですが、通常であれば長年関わっているかかりつけの先生に依頼するものです。それが入院中であると入院先の病院の医師が記入することとなります。
入院に至った病状や、入院中の経過は詳しくわかるものの、長い経過としての把握は難しいです。入院前の生活状況などを相談員や看護師を通して、伝えておくことが良いでしょう。
入院中の申請手順
申請の手続きの流れは、入院中でも自宅にいる際でも大きく変わりません。
- STEP.1申請相談病院に相談員がいる場合には、一度声を掛けておきましょう。
現状が認定調査を実施できる状態であるのかも含めて教えてもらえます。
病院によっては退院に備えて、既に介護申請の相談を地域包括支援センターに行っている場合もあります。
- STEP.2申請手続き市役所などの担当課の窓口にて申請手続きを行います。
遠方に住んでいる場合には、郵送での手続きであったり、病院相談員や地域包括支援センターに代行で行ってもらうこともできます。
- STEP.3主治医の意見書依頼申請をすると、主治医意見書を手渡されますので、それを入院先の病院に届けます。
※自治体によっては、直接病院に郵送してくれるところもあります。その場合には、ご家族は何もせず問題ありません。
- STEP.4認定調査申請の際に日時を伝えられるか、改めて電話等で調査日時が伝えられます。
調査員と病院で待ち合わせて認定調査を実施します。
病院の相談員や看護師が立ち会ってくれる場合もありますが、原則ご家族が立ち会いをすることが良いです。退院後に希望するサービスや、入院前の生活状況などについても直接伝えておきましょう。
- STEP.5結果待ち結果まではおよそ1ヶ月。退院後の相談機関
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所のケアマネージャー
退院に備えて、はっきりとした認定結果が下りる前から、事前に相談を進めていきましょう。
連絡先が分からない場合は、病院の相談員に窓口になってもらうと良いです。
区分変更や更新申請も可能です
既に介護認定を持っている方が入院した場合、入院前の状態とくらべて、大きく変わってしまった場合には、介護等級を見直してもらう区分変更申請を行うことができます。
申請手続きは、上記の手順と同様になりますが、入院前に介護サービスを利用していた際には、必ず担当のケアマネージャーまたは地域包括支援センターに相談してください。
既にサービスを利用していた方が、月途中に区分変更などを行う場合は、入院前に利用した介護サービスとの兼ね合いから弊害が出る恐れがあります。
更新申請についても同様に、入院中にも行うことができます。
こちらは、更新手続きをして問題がでることはありませんが、入院前に介護サービスを利用していた方は、担当のケアマネージャー等に連絡をしましょう。
まとめ
高齢者の場合、入院期間が長く続くことで、当初の入院に至った病気が完治しても、筋力低下による生活能力の低下や、認知症の発症リスクなどの新たな問題が現れることはとても多いです。
そのため、退院後に依然と同様の生活に戻れるには時間も多くかかります。
退院後、いざ介護サービスを使いたいと思っても、申請から認定決定までは時間もかかりますので、退院に備えた早めの行動が大切です。