生活保護を受給している方を担当する機会もあるかと思います。
生活保護とは、病気やケガ、さまざまな理由で、働けなくなり、生活に必要な収入を維持できない方を守るセーフティーネットとなる制度です。
この記事では、知っていればお得に生活!などと制度活用を推進したり、利用のコツをお伝えするわけではありません。
それでも、生活保護を受給している方を担当する際には、頭に入れておくと、介護サービス調整をはじめ、その他生活場面への支援に対して、スムーズに行えると思います。
目次(もくじ)
生活保護のお金の仕組み
ご本人の身体・生活状態、住む地域により、最低生活費が決まっています。
本人に、全く年金等の収入がない際には、最低生活費全額が、支給されます。
年金収入があるものの、最低生活費に足りない場合、その不足分について支給されます。
生活保護費として生活扶助費と住宅扶助費これらの合計額が現金または口座に支給されるわけです。
生活保護費の支給日
毎月1~5日頃と言われています。福祉事務所によってまちまち。
支給日が休日であった際の対応も、前日の場所もあれば、休み明けに支給するところもあります。
生活保護のお金の種類
ケアマネージャーが主に担当する高齢者への支給についてお話します。
生活保護の支給の仕方には『金銭給付(お金で支給)』『現物給付(医療や介護など現物=サービスで支給)』の2種類があります。
生活扶助
生活扶助は1類と2類にわかれます。
- 生活扶助1類(食費や衣類をまかなう費用)
- 生活扶助2類(光熱費や日用品費のための費用)
要するに、生活費。基本的には、この支給で1か月の生活を行います。
住宅扶助
家賃代として必要な費用の支給。住所地に応じて基準額と上限が決まっています。
例えば上限が4万3千円の地域で住む場合
- 4万円の家に住んでも3千円はお小遣いになりません。
- 4万5千円の家に住んだ場合、2千円は自身で生活費から支払う必要があります。
外出能力が低下した際など、気づかないうちに滞納になる恐れもあるので注意。
直接大家さんへ福祉事務所から入金することも可能。
(ただし、家賃全額を保護費で足りる場合や、自身の年金所得等がない場合などの一部制限有。)
滞納になりそうな場合、ケースワーカーへ支払い方法を相談しましょう。
医療扶助
病気やケガをした際の治療・手術薬代に関する費用。
この金額は、ご本人に支給されることはなく、『現物支給です』
原則、受診する前に、生活保護ケースワーカーから医療券を発行してもらい、その医療券と、自身の生活保護受給者証を医療機関に提示することで、お金の支払いなく、診察や薬の処方を受けることができます。
診療内容は、国保に準ずるとされているので、針やあんま、マッサージ等についても利用はかのうになりますが、こちらは医師より必要である旨の意見が必要。
公共交通機関等、受診に伴う交通費が発生する場合、電車賃やタクシー代などの最低交通費用を支給してもらえます。
大学病院での検査を促されても、遠いからお金がかかると受診を嫌がる方もいますが、適切に受診が行えるように助言してあげましょう。
介護扶助
主に介護保険制度に関する費用は、ここから支給されます。
通常1割~3割がサービス事業所への自己負担分として支払いますが、この自己負担分が介護扶助費として支給されます。
ただし、こちらも現物支給です。
本人にお金を渡し、サービス事業所に支払うのではなく、本人を介さずサービス事業所に支払われます。
昼食と軽食等、自費分で700円~1000円が1回あたりにかかると思いますが、生活扶助として支給される生活費から自身で支払うことになります。
回数によっては金額も増えるので注意しましょう。
限度額超過した際には、ご本人の生活扶助の中から支払うようになります。
その他の扶助
- 教育扶助・・・子供の教育(義務教育)にかかる費用
- 出産扶助・・・病院等で出産の際にかかる費用
- 生業扶助・・・高校の授業料、就職の支度費、技能習得費用
- 葬祭扶助・・・葬式、火葬、埋葬の費用
これら4つを合わせて8つの扶助に分かれています。
高齢者分野で使用する場面は少ないと思われますので、ここでは省略します。
ケアマネージャーが知っていると役立つもの
上記で挙げた8つの扶助の他に、高齢者生活を支えるうえで、知っていて欲しいものがこちら。
家具什器・エアコン
保護開始時に必要な家電・家具等がない際、購入費用の申請が可能。
H30年7月 エアコン費用も支給可になりました。ただし、やや条件が厳しく、既に生活保護を長く受けている人は不可。保護を初めて受け、その後最初の夏を迎えるまでが支給要件なので注意です。
アパート更新の際の費用
住宅扶助により、家賃が出ますが新たに入居する際や更新時などの敷金・礼金・更新に伴う費用についても支給されます。
共益費については、支給されないことも注意点。
移送費
受診の際の、交通費支給もですが、遠方での親族の葬儀など特定の外出にかかる費用についても支給されます。
医療機関から受診の必要性などの意見が必要になりますが、この処理はワーカーさんが行ってくれます。
住宅維持費
水道、電気配線等故障の際の修理費用
トイレが壊れて使えない・・・なんて時には要相談です。
オムツ
常時使用する方など、買っていると金額も結構な額になるオムツ。
赤ちゃん用ではなく、あくまで大人用のもの。
医師より『常時失禁状態にある』等の診断が必要ですが、オムツ代として、申請することが可能です。(上限有)
高齢者事業などで、オムツ支給などの横出し支援を既に受けている場合は、『受けているけど枚数が足りずに出費が大きいなど』要相談です。
ケースワーカーとケアマネージャーの連携
既に、生活保護の方を担当しているケアマネージャーさん。
ケースワーカーとの連携は、取れているでしょうか?
介護券出してもらうために、提供票を持っていけば良いと思っていませんか?
普段から状況伝え、現状を分かってもらっていると、いざ生活場面に問題が起きた時、支給を相談したい時や、在宅生活が限界となり施設入所を検討したい時など、お金の面で相談を行うことがスムーズになります。
こんな時、何かお金出してもらう手段ありませんか?
と気軽に聞ける関係性でいることが大切。(なんでもかんでも聞くのではなく、必要性はケアマネさんでしっかり見極めて!)
生活保護ワーカーも訪問することも業務にあるようですが、地域によりまめなワーカーもいれば、そもそも自宅訪問なんてしたこともなく、担当になってから会ったこともありません。なんてワーカーさんがいることも、耳にします。
つまり、ワーカー側もケアマネからのご本人についての連絡は貴重な情報収集源になるから喜ぶのではないかな。と私は勝手に思っています( ̄ー ̄)v