『地域包括さんは、認知症サポーター養成講座を沢山開いてくださいね!』などと、市・県から言われ始めて数年。
今度は、認知症サポーター養成講座を受講した方を対象に、
『フォローアップ講座(スキルアップ講座)などといった、その次のステップとなる認知症講座を開いてください!』と言われるようになってきましたね。
通常の認知症サポーター講座では、話すべき内容や講座時間などに決まりがありましたが、
フォローアップ講座になると、特段の指定がなくなり、場所によっては自治体内の開催ルールがある程度で、概ね自由に講座構成を決めることができると思います。どうせ開くのなら、開催の狙いをしっかり立てて、意味のある講座を開きましょう。
そのための講座内容と開催の狙いを書いてみました。
目次(もくじ)
講座構成の前提は、狙いの明確化と、差別化
フォローアップ講座の狙い
フォローアップ講座・スキルアップ講座は、通常の養成講座を受講した方を対象に行うわけですが、認知症に関するより深い知識を伝え、理解してもらうことは、もちろん大切です。
フォローアップ・スキルアップは、そもそも知識の定着や向上狙うものですが、理解を高めることばかりでなく、地域包括が主催する際には、その先の発展、サポーターの活躍にも目を向けてみてはどうでしょうか?
- 認知症の理解をさらに深めてもらいたい。
- 地域のサロンやオレンジカフェのボランティアとして活動してもらいたい
- 地域の見守り活動を行ってもらいたい。
地域づくりの一環でもある、地域包括支援センタ活動としての開催、地域の福祉力を高めるだけでなく、地域での活躍も狙ってみると良いと思います。
認知症サポーター養成講座との差別化
過去に、どこで認知症サポーター養成講座を受けた場合であっても、基本的な内容構成はどこも同じはずです。
フォローアップ・スキルアップと銘打つわけですから、より深い・より広い内容にしていかなければ、参加者の期待からは逸れてしまいます。
通常をテキストやパワーポイントでのみ行っている際には、ロールプレイやグループワークの取入れや
実際に認知症介護をされている施設職員や、介護経験者のゲストとして呼び、体験談の講話を取り入れるなど、通常と異なる工夫が必要です。
フォローアップ講座の構成
講座の構成
大きく、3本に分けて実施します
- 認知症サポーター養成講座の復習
- 認知症介護現場の声や介護体験談
- ロールプレイ・グループワーク
認知症サポーター養成講座の復習
認知症サポーター養成講座を受講してからしばらく経っている方もいるでしょう。
脳の仕組みや、認知症の症状など基本的な部分から復習を行います。
下記に書いてあるような、グループワークを行う場合、伏線として、認知症症状について、詳しく触れておくと、グループワークの発言が活発に行えると思います。
認知症介護現場の声・体験談
職員だけでなく、実際に認知症介護に携わっている方からの生のお話を聞く機会を持つことも良いと思います。
元介護職員といった、地域包括職員もいるかと思いますが、そこは説得力とリアルな話を得るために、実際に現在介護現場にいる方を調整することが良いと思います。
当事者の声:案
・グループホームや認知症デイ等で実際に認知症介護を主に行っている方
・認知症介護を行う家族(現在進行形でも・介護卒業者でも)
どんな話をしてもらうか、打ち合わせはしっかりと行いましょう。
特に、介護家族を呼ぶ場合、こういった場で話す経験のない方がほとんどでしょうから、内容や発表時間、大体の原稿を事前に見せてもらうなど、内容に確認を行うようにしましょう。
ロールプレイまたはグループワーク
両方行う必要はないと思います。時間的にも両方は難しいでしょう。まずは、ロールプレイの場合から説明していきます。
認知症対応における、ロールプレイ編
今まで、場面設定したうえでの、対応方法の説明や、中には寸劇を行う養成講座を開いた方もいるかと思います。
その場面を実際に、やってもらい、対応方法・話し方などを身をもって経験してもらうことが趣旨です。
「ご飯は、まだ?」と言った定番の事例を通し、対応法を実践してもらったり、「地域で認知症の方を見かけた時」の声の掛け方などを、実践してもらう。
その前後に、プチ寸劇として、良い例・悪い例などを地域包括から実践してみてください。
ロールプレイの詳しくは、こちらの記事にまとめてあります。参考にどうぞ。
【講師向】認知症演習ロールプレイの進行手順どうやるの?寸劇事例テーマは?認知症対応について、グループワーク編
グループワークは、『認知症と診断を受けた方が身近にいる際の関わり方』なんてテーマはどうでしょう?
場面想定としては、対象者に合わせて考えましょう。自治会の会合や、サークル活動、学校の保護者会など人が多く集まる場面を想定すると良いと思います。
そこに参加している方の一人が認知症になってしまった場合の関わり方ですね。
想定される返答として、
- 時間を間違える
- 作業を失敗する
- 悪口を言われた、財布を盗られた(被害妄想) などなど。
参加者の一人が認知症になってしまった場合、どんなトラブルが想定されるかを考えてもらいます。
認知症の方に、どんな症状が現れるかは、認知症サポーター養成講座や、当日前半の講義で行っているでしょうから、それをヒントに、実際の生活場面に置き換えて考えてもらいます。
そこから派生して、次の検討です。
認知症の方を、疎外せず受け入れていくために、あらかじめ想定されるトラブルから、解決や未然に防ぐ方法を考えてもらうわけですね。
事例検討開催のポイントとして、
この検討テーマ①・②をA4用紙にテーマ名のみを記入したものを個人や、各グループに配布し、記入式にしましょう。
書き込みながら考えられますし、用紙を回収にすれば、グループの意見交換の内容把握にもつながります。
認知症サポーター養成講座だけでなく、既にサークルやサロン活動を運営されている方々が集まっているような場で、認知症テーマの講座を開く際にも、このネタを行うと、その活動の認知症対応力を高めることができます。
今回のようなスキルアップ・フォローアップでの使用の際には、最初にお伝えした、開催する際の狙いから考ます。
- 見守り活動に活かせるのは、ロールプレイ
- サロンやサークル活動に活かせるのは、グループワーク
こんな形で選んでも良いかもしれませんね。
フォローアップ講座の時間配分
行うとしたら、通常通りの90分か少し増やした120分程度が良いと思います。
こんな割り振りではどうでしょう?
後半部分はどうしても、固定で時間を設けた方が良いと思います。
前半に行う、認知症サポーター養成講座の復習の場面で、開催時間に差をつけ、グループワークやロールプレイの進行に合わせて終了時間を調整します。
終了予定時間より、延長してしまう場面は極力控えましょう
フォローアップ・スキルアップまとめ
フォローアップ・スキルアップは決められた講座構成がないため、自身の地域にどんな役割として活躍してもらいたいか、地域にどんな部分が足りないのかといったところから、逆算して講座の構成を考えられることができます。
行政側から言われる、ノルマ的な開催で終わらさせず、どうせ行うなら、自身の担当地域にとって何が足りないか、どう活かせるかを考え実のある講座を開催できたらと思います。