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居宅介護支援事業所の独立開業:法人設立から事業所開設までの流れと時期

指定申請も済み、無事にR2年4月から居宅介護支援事業所の開設を行うことができました。

『動き始めたのは10月』およそ半年前からの始動開始ですね。

指定申請と会社運営について、思っていたよりもやることはたくさんあります。振り返りながら開設までに行った過程をここでまとめてみます。

私の会社では、居宅だけでなく別の事業も想定していますが、居宅開設までの流れは同じです。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で独立居宅運営を考えている方は、参考にしてみてください。

4月1日の開設を狙う場合の参考例です。

法人を作る

開始:10月後半~

居宅介護支援事業所を開設するにあたり、仮に自分一人のケアマネ事務所であっても『法人格』が必要です。

法人格とは?
株式会社、合同会社、NPO法人・・・など

私は、居宅以外にも事業予定があるので株式会社を設立しました。合同会社でもNPOでも居宅は開設できます。

必要書類を集めて、法務局に申請ですね。

司法書士に依頼をしましたが、法人設立費用を含めて、およそ30万円かかります。

11月中旬には、株式会社が立ち上がりました。

居宅介護支援事業所の開設:株式会社【法人設立の準備と手順】

会社ができた段階で、事業が始まっていなくとも、税務署へ法人設立の届出、地方税に関して県税・市税の届出、を行います。

実際に事業しているわけではないので忘れがちです。注意!

融資相談

時期:12月後半に電話連絡、1月書類送付・面接

この部分は、自宅で開業したり個人で行う場合や、自分の蓄えがある程度ある際は、融資など無くとも十分やっていけると思います。

事務所を構えたり、開設当初から複数のケアマネを雇う場合などは、運転資金として融資を受けることが必要となるかもしれません。

開設当初は、担当プラン件数も少ないですし、入金も2か月後ですからね。

私は、特定事業所加算も視野に入れているため、開設当初から3名配置にしています。特定事業所加算は、事業所の収入を格段に向上させます。

そのためプラン件数が挙がってくるまでは、雇う介護支援専門員の給料が痛手となるんですね。

今回は、日本政策公庫の新創業融資を活用しています。

参考 新創業融資制度日本政策金融公庫

法人口座を作る

時期:1月(融資通過のタイミングに作成しました)

居宅介護支援事業所の指定申請において、法人口座の開設は必須要件であありません。後回しでも問題はないです。運営に伴い、上記の融資を受ける際には必要になりますね。

居宅介護支援事業所の開設に向けて必要となる法人設立。

法人ができたあとには、法人の銀行口座、法人口座を作る必要があります。私はココで苦戦しました。

最近は、ペーパーカンパニーの口座開設を防ぐため要件が難しいです。

比較的、開設が通りやすい信用金庫でも運営実態の確認(直接事務所に銀行員が確認に訪れます)があります。

介護保険の認定調査のようですね。

この『運営実態の確認』で、私はつまづいたのです。

事務所開設前の準備段階で、準備の時期に開設行っているので、運営実態なんて何もないのですよね。

運営実態がない状態で、運営する旨を示すためには、

  • 居宅指定申請の決定通知
  • 日本政策金融公庫等、融資決定の通知

などの公機関が事業運営を認めた証などとして、活用できます。

私は、日本政策金融公庫の通知を活用しました。が、判断は金融機関により異なりますので直接確認してください。融資を受けるために法人口座が必要になるのですが、融資決定から入金の間までに口座ができれば問題ありません。

日本政策金融公庫には、予定の口座を伝えておき、金融機関にも事前に話は通しておきながら、通知が届き次第口座開設に改めて伺う旨を伝えておきました。

指定申請の書類を確認

時期:12月後半に電話確認、1月下旬に申請書類提出。

居宅介護支援事業所の指定申請の事務が、都道府県から市へ下りました。

市役所内の介護保険課等の担当課が窓口になります。

ホームページなどで、指定申請の手順や書類を公開していない自治体も多くあります。直接担当課に連絡して手順を確認することが良いでしょう。

申請の締め切りが、自治体によって異なります。この締め切りを過ぎてしまうと、予定している月に開設ができなくなるので、要注意。

ホームページに記載されていない自治体も多くあるので、直接電話確認は必須です。

居宅介護支援事業所の指定申請:必要な準備と手順を紹介

介護ソフトの選定

時期:2~3か月前に費用見積もり含めて

すでに使いたいソフトの候補が決まっている場合もっと後で大丈夫かもしれません。

大手として良く耳にするのは

  • ワイズマン
  • ほのぼの
  • カイポケ

こんなところでしょうか。私の事業所では、『カイポケ』を選定しました。3名のスタッフのうち、1人も使ったことはなく、無謀な挑戦ともいえる選定かもしれません。

今回開設した事業所では、在宅ワークを主にしたく、自宅からの訪問、直帰ができることが必要。

スマホやタブレット、自宅のパソコンからもログインできることので、自宅でも訪問先でも、介護ソフトにアクセスできたことが選定理由。

単純に費用が安い事と、介護ソフト導入前から、開設までの開業支援も受けれることもメリットでしたね。

無料でお試し利用もできるので、一度使いやすさを見てみるのも良いですよ

居宅介護支援の独立におすすめな介護ソフトはカイポケ:コスパも機能も充実

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指定申請前に、事務所の準備

時期:1月上旬までに準備、1月下旬に申請

指定申請の厄介なところは、『すぐ開業できる状態』に設備が整った時点で、申請要件を満たすこと。

4月1日開始のつもりで申請するためには、2月までに最低設備を準備する必要があるわけですね。

1月、2月、3月については、事務所や駐車場の賃貸料や電話回線の契約費が、どうしても無駄なコストとしてでてしまいます。

事務所内の設備等の準備が早くから行えると、ポジティブに捉えて乗りきりましょう。

居宅支援事業所の独立:開設に向けて必要な備品準備。指定に必須のアイテムも

指定申請結果後

時期:指定受理後、3月上旬位まで

私の申請した自治体は、ものすごく結果が早かったです。申請から1週間で指定受理の結果が届きました。

2月上旬には、受理結果が届いています。

ここまでくれば、じっいの開業に向けて、本格的に開設準備です。申請要件のためには、不要であっても事業を行う上で必要な物はたくさんあります。そういったものの準備を始めていきます。

融資を受けていない場合は、指定受理の結果を持ち、法人口座を作っておくと良いでしょう。

情報公表

県の介護サービス情報公表に載せる内容をまとめて市役所の指定申請を行った課へ提出します。

実際の提出は、事業開始時で良いので準備だけですね。記載する内容は難しいものはないのですが、量が多いので時間があるうちに終わらせておきましょう。

国保連への通知

請求業務は、主に介護ソフトを利用し伝送で送る事業所が多いと思います。

国保連へ『新規事業所立ち上げ』の書類を郵送します。プラン代の入金先として法人口座の記入が必要になります。

送った後は、こちらも国保連からの受理決定の通知待ちです。

法人用クレジットカード(重要)

  • ライフカード
  • 楽天カード(ビジネス)

居宅介護支援業務のお金の流れは、シンプルです。

ですが運営する上では、消耗品を買ったり、ガソリン代や光熱費を払ったり、それらを支払う際にはカード払いができると楽ですよね。

個人のクレジットカードを利用して立て替え扱いで行うと、経理も面倒。ビジネス用クレジットカードがあるとかなり便利になります。

ここでも、運営実態や過去の決算内容が重視されます。そんな中『ライフカード』や『楽天ビジネスカード』は限度額は低いものの審査には通りやすいおススメカードです。

必要備品・消耗品の購入

指定申請に必須である備品以外の細かなもの(文房具・事務用品が主)を購入していきます。

購入時、上記の法人クレジットカードがあると支払いが便利です。

居宅介護支援事業所の開設:立ち上げまでに掛かった費用をまとめました

事業開始後

時期:開設後からのんびりと

4月1日を迎え、いよいよ事業スタートしました。地域包括や医療機関への営業活動をはじめていきます。

営業活動

特養や老健などでは、開設準備室などを作り、事前に入居相談などの営業活動を行っていきますが、居宅の新規開設の場合はあまり聞きません。

開始直後は、プラン数も少ないでしょうから、空いた時間(暇な時間)を活用し、営業活動に回すことができます。

ある程度の範囲には、ファクスで一斉に開設の案内を送付。関係性の深い場所や近隣医療機関などには直接出向き挨拶を行います。

事務所内の環境整備

並行して、事務所内の備品や環境整備を行う必要がありますね。

これまでも備品を買うタイミングは多くあったかと思いますが、事業がいざ始まってみないと、必要な物足りないも浮かびにくい物です。

準備万端!と思って開設しましたが、最初の一週間でいくつも不足備品が見つかりました。

細かい物が多くでてくると思います。カウネット・アスクルなど、事務用品通販を上手く活用して揃えていきます。

ただし、当面の入金はありませんので、自己資金と相談し、最低限必要な物以外は保留にしたり、100均でそろえるなど節約していきましょう。

各種届出・手続き

従業員を雇って複数名で運営していく際には、社長としての各機関への届出・手続き業務があります。

  • 年金事務所
  • 労働基準監督署
  • ハローワーク
  • 住民税担当課

慣れない手続きとなりますので、各機関に問い合わせて手順を調べておきます。

社会保険労務士に頼む手もありますが、私は自身で行っています。

居宅介護支援:開設後1週間の準備・手続き・営業活動

資格取り立てケアマネは、どこかで経験を!

これを読んでいる方で、介護職から初めてケアマネージャーを取得し、さあ独立!

と考えている方がいたら、この記事を参考にする前に、どこかの居宅介護支援事業所で経験を積んでから立ち上げは考えましょう。

居宅介護支援事業所の開設要件から、主任介護支援専門員必須というものが猶予されましたが、取得後すぐに独立できるほど甘い物ではないです。

『介護士としての経験が5年あっても、ケアマネとしては実務経験ゼロ』

これでは、周囲からも不安に感じられてしまいます。

ケアマネとして所属することで、ケアマネとしての仕事だけでなく、運営するうえでのノウハウも合わせて学ぶことができます。