事業対象者や要支援1・2の方の介護予防サービス利用に必要なケアプランは、少し複雑です。
地域包括の方は、日々作り慣れている書式ですが、ケアマネジャーが作り慣れている要介護のケアプランとは、大きく変わり書くことも増えているため、
委託を断る理由に、『予防のケアプランはわからないから』なんて返答を受けることもあります。
予防プランでも介護プランでも、考え方は同じです。
目標に対して、現状⇒課題⇒サービス調整
書式が異なれど、考え方は同じなのですから、書き方さえ理解すれば作成することは容易ですよ。
ここではA3の用紙に落とした予防プランを使用しています。
A4を複数枚1セットで印刷する介護ソフトの場合は書式が若干異なりますが、記載する内容は変わりません。
目次(もくじ)
予防プランの立て方 ①-1アセスメント領域
要支援の方に対しては、アセスメント用紙の作成を求めない市町村も多いと思います。そのためか、プラン書式の左側①と書かれる部分に、アセスメント情報を細かく記載します。
理想としては、初めて会うサービス事業所の方が、この左側を読んで本人の全体的な様子が分かるようにすることです。
- 運動・移動について
- 日常生活について
- 社会参加・コミュニケーション
- 健康管理について
アセスメント領域は、この4つに分かれています。4つの分類がケアマネージャーさんが日常的に利用するアセスメントシートと異なるので、分かりにくいかもしれません。
アセスメントを取る内容は変わりませんので、どこに何を書くかを理解しておけば大丈夫です。
運動・移動について
主に、身体的な分野について書く場所ですね。
行きたい場所どのような手段で移動できるかを記載
- 自宅内、屋外の移動をどのように行うか(杖なし・杖あり・歩行器)
- 公共交通機関の使用はできるか(電車・バス・タクシー)
- 麻痺・拘縮の有無
移動範囲や可能動作については、具体的な時間や距離で記載すると、目標としての設定、生活場面の把握に活かしやすいですね。
(記入例)
・玄関25cmの上がり框は、困難である。
・自宅周辺400mの散歩が日課である。等
目標設定では、『25cmの昇降を行えるようにしたい。』『500m先のクリニックに歩いて行きたい。』など具体的な目標につなげていけます。
日常生活について
日常生活での家事(掃除・調理・買い物)に関する内容について書く場所です。
掃除・調理・買い物などの家事をどのようにして行うか、できない場合はどのように対応しているか
一部を家族等の支援を受ける場合、できること、できないことを記載し、改善点やニーズに繋げます。
例)必要な食材を家族に伝え、家族に買い物を頼む。家族帰宅までの間に調理を行い、夕食準備はご本人が担う。
直接の家事だけでなく、生活における収支の把握(年金等の金額、光熱費や新聞、買い物支払い)預貯金の出し入れ動作などについてもここに記載します。
また、植物やペットの世話など趣味につながる場面、生活観についてもこの日常生活の場面に記載します。
社会参加・対人関係・コミュニケーション
家族・親類・友人との交流状況
サークルや老人クラブ等、地域行事への参加状況。
家族や近隣地域における役割
例)長男が週末に訪れ、買い物等に連れて行ってくれる。週1回近所の自治会館で行われる囲碁サークルに通う。
健康管理について
清潔、整容、口腔ケアが自身で行えているか。
入浴や排泄の状況については、頻度や介助の必要性も記載します。疾患の状況だけでなく、管理状況や、予防に向けての取り組み・意識なども書かれていると良いです。
あまり書いていませんが、飲酒(缶や合の単位で)・喫煙(1日○本)の状況、身長・体重も記載されておくと、用具選定や体重の増減等、後々役に立ちます。
予防プランのアセスメントシート
訪問時に、白紙のケアプランを持って行き、聞き取りながら、埋めていく方もいるようです。
4つの分野だけ書かれていても詳細を聞き逃すことが多い私はこちらを利用しています。
【まったり地域包括】聞き逃さないアセスメントシートPDFデータ
そのまま使ってもらって構いませんが、
適宜修正し、自身のオリジナルの物を作成した方が、スムーズに聞き取ることができるはずですよ。
自由に作り直して、活用してください。
予防プランの立て方①-2 本人家族の意向
ここは、現状に対して、どのように受け止め、どのような要望を持っているかを記載するところです。
本人の意向
以前は、○○できたが、今はできなくて困っている。
○○は、これからも続けていきたい。
○○まではできる、△△を手伝ってもらい□□したい。
○○な状況にはなりたくない!
家族の意向
○○の状態に戻ってほしい。
○○なのは困ってしまう。
○○で維持してほしい。
家族でも○○行っている。
○○までは手伝うことができる。
○○なら、△△してもらえる。
このように、本人も家族も、聞き出した意向をそのまま記載します。
プラスの意見だけでなくマイナスな意見も書くことで、感じている心理状況を表せますね。
意向の違い、意向なし、否定的な意向
必ずしも前向きな意向が挙がることもなければ、本人・家族の意向が、合わないこともあります。
それぞれの、意向を聞きだし、その意向の理由についても確認します。
お互いの意向の着地点を導き、課題から改善目標の選定に活かします。
また、消極的・否定的な意向であった際にも、その理由・原因について確認。
課題や、目標の設定の際に、本人と共に考え、または提案し、解決に向けての具体策を目標に繋げられると良いでしょう。
予防プランの立て方①-3 領域における課題
各アセスメントの状況と、本人・家族の意向をもとに、基本情報や、主治医の意見書を加え、ご本人の習慣・価値観・物理的な生活環境・人的環境を交えて整理分析。
現在の課題、あるいは、その状況が継続することで予測される課題を記載。
課題の有無が選択できるため、当てはまれば「 有 」。
課題が、「 無 」の場合、チェックだけで未記入でも可ということもあるようですが、課題が無いなら、無いなりの理由を書くことが良いと思います。
総合的な課題以降
ここまでに解説したアセスメント領域の部分が作れれば、後は課題から目標、利用サービスの調整と普段のケアマネ業務のプランと変わりません。
予防プランの作成で最も面倒とされるところが、このアセスメント領域でした。
総合的な課題から目標選定までは、こちらの記事になります。合わせてご覧ください。
予防プランの書き方・作り方② 総合的な課題から目標