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居宅介護アセスメントシート:様式の選定から書き方、実地指導の対策

定期的に訪れる、実地指導におびえて過ごす居宅介護支援事業所は、うちだけではないはず!

そうだよね?

その際には、ケアプランだけでなく、アセスメントシートや経過記録、会議録などの書類も見られると思いますので、それぞれ記載内容について確認をしておく必要があります。

日付の整合性の確認やケアプランの内容ばかりに、注意しがちですが、基本的なアセスメントシートについて指摘されないように見直しておきましょう。

独自様式のアセスメントシートのPDF例が中盤に載せてあります。

アセスメントシート基準項目の記入例・文例はこちらから

居宅介護支援アセスメントシート項目別の記入例・文例:ケアマネ業務

課題分析標準項目とは?

アセスメントシートの書式については、指定はありません。各々の居宅介護支援事業所で作成した独自書式で問題はありません。

ですが、最低限この23項目が網羅されている書式を用意する必要があります。

  1. 基本情報
  2. 生活状況
  3. 利用者の被保険者情報
  4. 現在利用しているサービスの状況
  5. 日常生活自立度
  6. 認知症日常生活自立度
  7. 主訴
  8. 認定情報
  9. 課題分析理由
  10. 健康状態
  11. ADL
  12. IADL
  13. 認知
  14. コミュニケーション能力
  15. 社会とのかかわり
  16. 排尿・排便
  17. 褥瘡・皮膚の問題
  18. 口腔衛生
  19. 食事摂取
  20. 問題行動(行動・心理症状)
  21. 介護力
  22. 居住環境
  23. 特別な状況

まず、自社で使用しているシートに漏れがないかを確認しましょう。

この項目があることが前提であり、そしてこれらの記入が埋まっていることが必要です。記載する特段の内容が無い場合も、空欄にしておくのではなく、『該当なし』や『問題なし』等の記載があると良いです。

アセスメントシートはどんなものを使うか

MDS-HC方式やケアマネジメント実践記録方式など、さまざまな様式のアセスメントシートが存在します。介護支援専門員協会のHPでもダウンロードできますし、使用している介護ソフトにも書式は入っていますよね。

ですが、規定の物よりも、自身の居宅支援事業所独自の書式を自作で作ってしまった方が、書きやすいです(書きやすいように作る)。文章で書くばかりのものよりも、選択肢にチェックをつける部分で済ませることもできます。

独自書式作成の、注意点としては、基準項目すべてが記載できるようになっていること。これらに加えて、

  • 支援に必要な情報
  • 見やすさ
  • 書きやすさ

課題分析のためのシートですが、ケアマネ業務を行う上で「確認しておくべき情報支援が円滑になる情報」などは記載できる項目を準備しておいた方が、聞き漏らすことがなくなります。

何度も見ることになるシートなので「見やすさ」は大切ですが、同時に「書きやすさ」も大切。立派なシートがあっても、それを埋めるために莫大な労力を掛けてしまうと、他の業務に支障が出てしまいますからね。

最終的には、そのすべての欄を埋めて完成です。

シンプルなアセスメントシートとしては、こういった物を目にしたこともあるのではないでしょうか。

別紙として、基本情報等を記載したシートが必要になりますが、課題分析に必要な身体・生活状況等を項目に従って羅列しただけのシート。

シンプルですが、必要な項目は満たしており使用している事業所も意外と多いと思います。

また、参考例として私の事業所のアセスメントシートはこんな形です。

計3枚になっています。選択肢のチェック部分も多いので、記載量は削減。かなり切り詰めて最低限にしたつもりですが、3枚が限界。

対象者の支援に必要な情報がこの3枚に凝縮されていますので、ある程度の事はこのシート見るだけで答えられるように整理されているかと思います。

A4の両面1枚で済む程度にしたかったです・・・




項目ごとの記載のポイント

基本情報

住所や電話番号は、当然の様に記載すると思いますが、ケアマネジメント業務を行う上で必要な情報については記載欄を増やしていった方が役立ちます。

家族側の情報としても電話番号のみを把握するのではなく、

  • 家族に連絡する際の繋がりやすい時間帯
  • 就労状況
  • 対象者宅に訪れる頻度、曜日
  • その家族の過程状況

この辺の確認は日常的にされていると思いますが、アセスメントシートそのものに記載する欄があると聞き漏らしを防ぐことができます。

サービス利用に関わる金銭負担も考慮するため、所得(年金の種類・できれば月収)なんかも記載できると良いと思いますし、生活保護受給者の場合には、受給者番号だけでなく担当のケースワーカーの名前を記載できる欄があると良いと思います。

生活保護のケースワーカーさん、1年程度で変わってしまうことも多いのですがね・・・

生活状況

起床・就寝・基本的な生活リズムはもちろん、日中の過ごし方、外出状況等にも目を向けられると良いと思います。

1日の流れだけでなく、曜日別の把握あると良いと思いますし、要するにケアプラン3表です。本人だけでなく、家族の生活リズムもですね。

趣味・嗜好品などの確認も合わせて行えると良いです。酒・タバコなどの嗜好品は、1日の飲量・本数まで掘り下げることができると尚良し。

現在利用しているサービスの状況

『通所介護2回/週・訪問介護3回/週』など介護保険で利用しているサービスを記載するケースが多い部分。

もちろんそれは必要ですが、自治体の行う高齢者事業(配食サービス・寝具乾燥等)や、障害サービスなどといった他法・他制度についても利用していれば触れておいた方が良いと思います。

昨今、社会資源・インフォーマルサービスのケアプラン記載を強く言われてきていますので、ここにも記載できると良いと思いますよ。

主訴

本人の主訴だけでなく、家族側の考える主訴についても触れて行く必要があります。

家族側の生活状況や健康、願望なども把握したうえで、課題分析を行いケアプランに結び付けていくわけですから、家族側のアセスメントも必要になると思います。

双方の主訴が、ズレてしまう場合は悩んでしまうところですが、本人・家族の主訴が合わないことは多くあります。『本人の主訴』『家族の主訴』と双方の主訴を記載する欄を設けて、視覚化し、折衷案を考えていきましょう。

KPが友人というケースも増えてきていますから、その場合には友人のアセスメントを実施できると良いですね。

課題分析理由

なぜ課題分析をしたのかを文章で書くのではなく、新規・更新・変更等の場面を選択肢として準備し、チェックをつけるだけで良いのだと思います。

作成日と合わせて記載できる欄が準備されていると分かりやすいです。

健康状態

記載する内容としては、

  • 既往
  • 医療機関
  • 服薬状況
  • 特別な医療処置

医療情報に記載するのは、主治医だけでなく、複数の受診先の把握、服薬情報。眼科や皮膚科の受診歴や処方薬について見落とすケースが多いので注意が必要。『褥瘡・皮膚の問題』については基準項目にもあるの合わせて記載します。

主治医の意見書に書かれた内容などを反映できる記入欄があると良いと思います。

身体状況についても合わせて記載。『身長・体重・BMI』の記載があると栄養面や福祉用具選定の相談場面で役立ちます。

ADL・IADL

現状を単純に記載するだけではなく、項目ごとの状況・手順についても具体的に触れて行く必要があります。

(誤)入浴:一部介助
(正)入浴:足先・背中などは家族が洗身を行う。

一部介助』で済ませるのではなく、どういった部分に対してどのような一部介助で実施しているのかまで掘り下げて記載できると良いと思います。

食事摂取』や『排尿・排便』といった基準項目についてもここで整理しておくと良いと思います。

コミュニケーション能力

認知症などの疾患に対する、コミュニケーション能力の有無に限るものではありません。気管切開や難聴による、意思疎通の困難さについても触れる必要があります。

発声・発話の状況、コミュニケーション手段(筆談・ジェスチャー等)について記載してあると良いです。

社会とのかかわり

  • これまではどうだったか
  • 現在はどうか
  • 今後どのような方向に向かっていくか

これらのうち1つが書かれていることはよくあると思いますが、それぞれについて記載してあると経過も含めて把握できますし、目標設定にも役立ちます。

食事摂取

食事行為の状況だけでなく、

  • 自助具
  • 摂取制限
  • 食事形態
  • 食事回数
  • 水分量

この辺の状況まで整理してあると、食事提供を行う通所系サービスの導入や、食事・栄養面での相談に役立つと思います。

認知・問題行動(行動・心理症状)

私の事業所の書式では、認知症の程度と周辺症状を選択肢からチェックするスタイルになっています。

実際使ってみて、周辺症状が強い方に対しては、チェックだけでなく状況を詳しく書ける欄があると良かったとも思います。

医療情報を記載する欄の前後に認知症の状況を記載する欄が設けられると良いと思います。

介護力

主介護者や支援者の介護力、抱える疾患や就労状況など。

対象者の生活リズム(1日の流れ)を記載するだけでなく、介護力として主介護者や同居家族の生活リズムも把握しておくと良いと思います。

同居の場合には、出勤・帰宅の時間や、別居であってもどんな曜日で訪れてどのような支援を行える状況かといった部分。

どの時間帯でどのような支援が家族により提供されているのか』そういった部分は、アセスメントシートにはもちろん、ケアプラン3表にも記載していくことが推奨されています。

居住環境

自宅の見取り図を記載しているシートはよく見ますが、見取り図が大切なのではなく、段差等のリスクの高い箇所の把握。

自宅内に限らず、自宅回りや地域の状況(生活範囲)の状況まで整理できると良いと思います。

特別な状況

特別な状況に該当する例としては、

  • 虐待
  • 終末期、ターミナル
  • 成年後見人あり
  • 寝たきり独居

ケアマネージャーとしては遠慮したいと思ってしまうようなケースが挙げられますかね。




これらを踏まえた、課題分析結果の記載

アセスメントシートに必要な課題分析標準項目を埋めて、完成では不十分。

埋まっただけでは、ただの情報収集シートと言われてしまいます。その情報から導き出された課題分析結果を記載する必要があります。

私の事業所で使用している書式では、3枚目の一番下に『課題分析結果・その他特記事項』として記載する枠を設けています。

各項目に、状況を記載できる欄がありますが、それらを総合的に判断したうえでの分析結果。課題やニーズに繋げるべき部分の要点を記載しています。

書式によっては、ADL等の項目ごとに記載する書式もありますよね。

ADL 状態 課題分析結果
移動 杖、不安定 転倒リスク高。下肢筋力の向上、住環境整備が必要

こんな書式です。また、

ADL 状態 課題分析結果
排泄 常時オムツ 勝手に外してしまうこともある。家族負担増が懸念

ご本人の状況だけでなく、介護者側の負担などについても懸案事項です。

この様に、項目ごとに分析結果を記載した場合であっても、まとめとした分析結果を整理しておく必要があります。

担当者会議などで説明する際に、『ご本人は、こんな人です』と簡潔に整理された紹介ができると良いのではないでしょうか?

実際、一つ一つに分析結果を記載すると作成に大変時間も掛かりますから、全体のまとめとして分析結果を提示できれば欄を用意しておけば良いのではかなと思います。

まとめ

これだけの量の情報収集をし、それを整理、最後に分析結果まで導き出すのは、かなりの時間を要しますし、一度の聞き取りでは情報が揃わないことがほとんど。

一度に聞き出そうとすると、長時間になり、ご本人にも負担ですからね。

ですが、しっかり作成できれば、ケアプラン作成はもちろん、その後の調整さえもスムーズに活用できる資料になります。

引き継ぎなんかで、完璧なアセスメントシート貰えると感激しますよ。

実地指導対策だけでなく、日頃の業務効率UPのためにも、しっかりと完成させてしまうことが良いと思います。

アセスメントシート基準項目の記入例・文例はこちらから

居宅介護支援アセスメントシート項目別の記入例・文例:ケアマネ業務