地域包括の配属となり、地域包括業務につぶれてしまい、早々に去って行く方は多くいます。
当サイトのお問い合わせにも、新人教育についての相談や、新人の方からの『もう潰れそうです』相談は大変多いです。
以前、新人教育についての記事も書かせていただきましたが、新人職員自身が自ら考えて行動できるよう、どんなペースで業務に当たったら良いのかをまとめてみました。
今、『地域包括業務が自身に合わないのではないか?』と悩んでいる方の多くが、法人や上司の新人教育の至らなさが原因のようにも感じますが、
『会社や上司が悪い!』だけでなく、自分自身でも業務内容を覚えるペース配分をしながら、仕事に慣れていく気持ちも大切。
こんな感じで徐々に覚えていけば良いんじゃないかな?と思う所をまとめてみました。
目次(もくじ)
『地域包括支援センター』を知る
『地域包括支援センター』が何をする機関か理解したうえで入職をしていますか?
実際、介護保険制度に長く関わっているケアマネージャーでさえ、地域包括支援センターの業務内容を知らない方が多いです。
地域包括に配属になった以上、まずは、自分の職場がどのような機能を果たす機関であるか知ることが重要。
一言でいえば、『高齢者のよろず相談所』と表現されますが、実際の業務内容は多岐にわたります。
この場面の多くは『座学』で学ぶことになりますが、書籍やリーフレットでは十分ではありません。
1年間を通して、どのようなことをしているのかを先輩職員に聞きながら参考にし、個々の業務内容を学んでください。
一般の方向けに『地域包括支援センターとは?』をまとめた記事がありますので、こちらを参考にしてください。
高齢者の相談窓口『地域包括支援センター』って何するところ?担当地域を知る
地域包括支援センターが、その地域にどのような役割を持つ機関であるかを学んだら、次は、担当する地域を覚えていきましょう。
センターが行う業務の多くは、主に担当する地域内に限るところになります(介護サービス事業所や医療機関は別)
地域包括に新人職員として入職したら、まずは地域を知ることから。介護保険制度を知る
高齢者への相談業務を行うにあたり、最も活用する制度は介護保険制度です。
『介護保険制度』の仕組みを理解していきましょう。
- 認定の取得方法と流れ
- 認定区分(要支援・要介護・事業対象者)の違い
- 介護サービスの種類
- 総合事業関するサービス
- 福祉用具の貸与と購入の違い
- 住宅改修のしくみ
- 利用料(区分限度額)の仕組み
- サービス負担割合、減免制度について
- 区分限度額の仕組み自治体ごとの高齢者事業サービス
ここでの参考資料は、自治体が独自で発行している『介護保険パンフレット』今後の相談業務でも、このパンフレットを通して説明する場面が多くなります。
書いてある内容や場所は暗記するくらい読み込んでください。
徐々に電話に出てみましょう。
電話に出る時期
これまでは、自身の知識を高めるための業務です。地域包括支援センターの本来の役割は果たしていません。
ですが、電話に出る時期も、基本的な業務が分かってからで良いと思っています。
地域包括支援センターにかかってくる電話が、どんな種類の電話であるのかがわかり、
初日から、『電話番ぐらいしなさい!』なんて言われる所もあるようですが、私は当面は電話に出なくて良いと思っています。
中途半端な状態で、電話に出てもらっても、場合によってはセンターの恥にもなりますからね。
電話応対と無縁な場所から来る職員さんも沢山いますので、そんな方は徐々に慣れていきましょう。
電話に出るとき
電話番として、電話に出るときには、最低限聞いておく内容は押さえておきましょう。
掛かってくる相手方の、種類は固定しています。
- 本人・家族から
- 介護サービス事業所から
- 病院から
- 地域住民から
- 市区町担当課から
最後の、市区町村担当課は、委託運営をしている地域包括ですかね。大体はこんなところ、どんな相手・どんな内容が多いかを整理しておきましょう。
直接、新人の方宛に電話が来ることはありません。新規相談以外は、別の担当職員に対して掛けてきています。
- 電話が来た時間
- 相手の名前
- 伝言の有無
- 折り返しの必要性の有無
この辺を聞き漏らさないように注意し、紙に残して伝えます。
センター事務所内に電話ノートや不在連絡票などの備品が準備されているとスムーズですね。
実際の相談場面
相談場面に入る時期
相談場面については、先輩の同席は初日からでも是非行うことが良いと思います。
これを慣れるには、場数が必要です。
同席していく中で、相談を受けてから、どのように実際の調整を展開をしていくのかを学んでください。
一人での相談対応は?
- 本人または家族
- 病院
- 地域住民から
大きく分けると、地域包括に訪れる相談は、この3か所からです。
相談をしてくる相手は、主に介護保険制度などには無知な方々、相談を受けるあなたをプロだと思って相談してきます。
当面は、相談を受ける様になっても、隣に先輩に付いている状況での相談を受けることが良いですよ?
忙しいから、一人でやって!なんて言われても、是非付き添って貰ってください。
私も、新人職員の付き添いで、同席することは多くありましたが、最初のころはとても一人ではさせられないくらい新人皆さんボロボロですから!
ケアマネージャーや相談員上がりでもない限り、介護相談なんて一朝一夕にはできなくて当然(笑)
介護予防プラン
担当件数は、地域包括によりまちまちですが、どちらにせよ予防ケアマネジメントとして、プラン作りをしていくとおもいます。
ケアマネージャー経験があれば、こちらは問題なく行えると思いますが、畑違いの場所から地域包括の配属になるとこれが大変。
予防プランの作成方法は、こちらに詳しくまとめてあります。
面倒な予防プランの書き方、その後の記録、担会等の記事。簡単にまとめてみました。慣れてくるとプラン作成そのものには、それほど苦になりませんが、担当件数が増えるとプラン作成後の定期的にかかわるマネジメント業務が重くなりまる。
自分自身の自己キャパシティーをしっかり自覚し業務過多となりそうな際には、早めに上司に相談してください。
この自己管理が上手にできることが、長続きの秘訣です。
予防プラン=予防ケアマネジメントを担当する件数については、自治体によりさまざまです。5件程度の場所もあれば、上限無く50件以上持つところも。
介護予防講座・サロンの講師
時間配分
最初は、時間を指定されても、どれくらい話したら何分になるのかが分からないと思います。
アナウンサーが話すような聞き取りやすい速さは、1分間に300文字程度と言われています。
ですが、実際に慣れない状況で話すと必ず早口になってしまうもの。
予定した時間よりも早く終わってしまうことも想定し、時間が余ったら話す内容など余分な原稿を持っていきましょう。
慣れてきた際には、短い講座などであれば、原稿を用意せずに行えると良いですね。
講座・プレゼンの時間配分と話す速さの目安内容
介護・福祉を扱う地域包括支援センターに依頼の来る講座開催内容は限られているので、ある程度の種類を覚えていると、大体の講座依頼には対応できます。
- 地域包括支援センターの機能や介護保険制度を説明するための講座
- 介護予防に関する運動、栄養、口腔についての講座
- 熱中症や感染症の季節柄の講座
- 消費者被害や成年後見など権利擁護に関する講座
- 認知症に関する講座(認知症サポーター養成講座等)
一通り覚えても大した量にはなりませんが、センターによっては講座依頼がほとんどなく、なかなか練習する場面もないと思います。
依頼がきたら、それに合わせて資料を作り、地域包括支援センター内の資料財産を増やしていきましょう。
資料作り・講座構成に関する記事はこちら
介護予防教室・健康講座のテーマ『19種』地域包括ケアシステム・地域ケア会議
地域包括ケアシステムを知る
地域包括支援センターの業務量が、大きく増加したのは『地域包括ケアシステム』が強く言われるようになってからでしょうかね。
それだけ、センターの業務の多くを占めている『地域包括ケアシステム』が、まず何なのかを知ってください。
地域包括ケアシステムを簡単に解説。医療・介護・地域住民、皆に分かりやすく。一般の向けの記事なので、専門用語が飛び交う地域包括マニュアルよりはわかりやすいです。
地域ケア会議とは?
地域包括ケアシステムの実現に向けて繰り返し開催される、『地域ケア会議』ケア会議の名称は自治体によりさまざまとなりますが、多くは3つの会議に分かれています。
- 個別ケース会議
- 担当地域・圏域規模でのケース会議
- 自治体規模での地域包括ケア会議
後々は、この会議の開催・進行を行う立場になっていきますから、それぞれの会議が、どのような会議であるのかを知ることは大切です。
地域ケア会議の種類、担当者会議との違いって何?専門職の専門性を活かす場面
これまでに、大体の業務内容について触れてきましたが、最後は、それぞれ専門職ごとの専門性を磨いていくことが大切です。
特に3職種が各1名のみの配置となっているセンターでは、先輩と入れ替わりでの配属となり、相談相手がいない環境になりがちです。
社会福祉士のように、権利擁護先般を担う専門職として配属し、先輩もいない環境になると、成年後見制度や虐待に関する相談について、全て専門職として担当せざるを得ない状況になります。
先輩もいない以上、専門性については自身で学んでいくしかなくなってしまうので、書籍であったり、研修を通しての自己研鑽は随時必要になってきます。
新人フローチャートまとめ
これまでに書いてきたことを、ざーっとわかってくると、新人卒業です。
今後は、会議の司会進行や、講座の独り立ち。自治体によっては、サロンや家族会の運営も依頼されることもあると思います。
介護保険制度一つとっても、細かな制度が沢山あり、総合相談窓口と言うだけあって、さまざまな領域・種類の相談が包括にはやってきます。
地域包括支援センターで働いていくうえで、覚えていくことはたくさんありますが、これまでの私自身が経験した内容については、このサイトに記していきます。
色々記事を読んでいただき、参考になればと思います。