『熱中症』暑いシーズン定番の予防講座ネタですね。
熱中症の話題でお話しして、なんて依頼がきた際だけでなく、予防活動の一環として、講座前の挨拶に絡めて一言触れておいた方が良いネタです。
真夏でなくとも5月も熱中症に気を付けるべき時期です。
熱中症の救急搬送などで、包括の仕事を増やさないように地域に向けてしっかり発信していきましょう。
目次(もくじ)
熱中症講座の構成
大事なポイントは、予防と、疑わしい時の対策。ここが皆守れると、救急搬送はグッと減るわけです。
なので、構成としてはシンプル。
- 熱中症とは
- 熱中症の予防
- 熱中症を疑った時の対策
一言で簡単に済ませれば、『熱中症に気を付けて水分とってエアコン付けましょう』と、あいさつで触れるだけでも十分なテーマ
下記には、一通りの情報を詳しく書いています。持ち時間と相談しながら、使える部分をピックアップして活用してください。
熱中症とは
熱中症は、真夏だけ気を付けるべきものではありません。
- 5月に来る夏日(それまでの気温差が大きい)
- 6月の晴れ間(梅雨で湿度が高い中、高温になるダブルパンチ)
この2つの時期も要注意。5月の熱中症搬送も十分ありえます。
熱中症の症状
- めまい、立ちくらみ
- ふらつく、まっすぐ歩けない
- 嘔吐
- 身体のだるさ
- 筋肉のけいれん
- 汗が以上に出る、全く出ない
こういったところでしょうか。
高齢者には、一時的に脱水により認知症のような症状を発症する方もいます。
今までそういった気配がないのに、最近おかしいと思った際、認知症の発症や脳疾患を疑うと同時に、脱水の可能性についても疑うことが必要ですね。
日射病・熱射病・熱中症の違い
『熱中症』
暑い時、人の身体は、汗をかくなどして体温のコントロールをしていきますが、それが出来なくなり、熱が体内にこもった状態。これを熱中症といいますが、こういった高温の場所で起こる、熱による傷害の総称を熱中症といいます。
その原因が、強い直射日光によるものであれば、『日射病』。閉め切った部屋や車の中など、高温でおこれば『熱射病』と分かれていきます。
熱中症になりやすい要件
- 気温湿度が高い。風が弱い。(密閉空間は注意)
- 高齢者や乳幼児高リスク。加えて、二日酔いや栄養不良の状態でも増
- 長時間の屋外作業、水分の摂れない状況、
気温や湿度などの環境にばかり目が向きがちですが、高齢者は体内の水分量が若い方よりも減少しています。栄養状態や慢性疾患の有無でもリスクは高まります。
熱中症の予防・対策
予防・対策は、深く言うと時間も多く使いますし、伝えたい情報がぶれます。ここに書き出したことを全て伝えるのでなく、相手に合わせた情報をピックアップして活用してください。
身体の対策①水分
こまめな水分補給。なんといってもコレ。
高齢者は、体内の水分量が少なく、脱水を起こしやすい状態にあります。喉の渇きを感じる前に飲み足すことが大切。喉が渇いてから飲むよりも、時間を決めて飲むようにすることもポイントですね。
入浴後や、寝る前などは、特に習慣的に飲むようにしていくよう伝えるのも良いです。
スポーツドリンクも、熱中症対策には効果的ですが、激しい運動や大汗をかいていなければ積極的に飲む必要は薄く、麦茶などで十分です。
糖尿病を患う方には、おすすめしにくい飲み物であり、万人に良い物ばかりではありません。マイナス面についてもしっかりと伝えておきましょう。
飲み物の温度は、冷たすぎる必要はありません。理想は8~15℃程度
- 水よりも麦茶のようなミネラル含むものが良し
- 冷やしすぎると、お腹壊します。常温でも可
- スポーツ飲料は、糖分注意。
- カフェインは利尿作用を持つので、控える
飲み物に限らず、キュウリやナスなど水分を多く含む食材を食事に混ぜることや、ゼリーなどの形態で摂取するなど飲みやすさ・食べやすさも意識しながら伝えて行きます。
身体の対策②塩分
合わせて摂りたい塩分です。
水分だけを摂取しても、血中の塩分・ミネラルとのバランスが崩れて、熱中症となる危険もあります。
過度に取る必要はありませんが、日常の食事の中で塩分を摂っていけるように心掛けましょう。特に庭作業などをして大汗をかいた時には、梅干しや塩飴など積極的に摂ることも良いですね。
ただ、水が必要・塩が必要と淡々と話すよりも、日常生活に置き換えて伝えると印象にも残りやすいです。
うちの看護師がこんな振り方してました。なかなか参加者の反応は良さそうです。
夏場のそうめんに合う食材として、
- 梅干し
- めんつゆ
- 塩こんぶ(商品名:塩こん部長)
- キュウリ
食事の中で、塩分を摂ると言うのはこういったところからです。
住環境の対策:室温・湿度
室温計・湿度計が家にある方は?なんて聞くと、室温計はあっても湿度計がない方は多かったりしますね。
室温に気を配ることも大切ですが、湿度も大切。
室温は28℃以下、湿度50%を目安。
6月の梅雨の時期は、室温は20℃前半でも、湿度は80%近く。こんな状況でも、熱中症のリスクは高まります。
エアコンの利用を嫌がる高齢者も多くいて、扇風機があれば大丈夫なんて言っていますが、地域によっては命に関わる気温になります。(筆者は:埼玉県人)積極的にエアコンを勧めています。
衣類にも気を配る
おすすめする衣類は、麻や綿などの通気性の良い物が良いです。
下着なども、今は吸水や速乾性にすぐれた素材の物が衣料品店で出回っていますので、そういったものを活用してみるのも良いでしょう。
こんな服がおすすめなどと、麻生地のシャツを1枚持参すると良いかもしれません。
熱中症予防レシピ紹介
レシピ紹介は、どの回でも好評です。講座の中で触れなくとも、お土産にレシピを渡すだけでも喜ばれます。A5程度の紙にWordでざっと文章を打つだけのレシピでOKです。
複雑な料理レシピよりも、高齢者が手軽にできる簡単レシピにしていくことが大切
基本の経口補水液
- 水1リットル
- 塩3グラム
- 砂糖30グラム
- レモン適量
レシピと言うほどではありませんが、一応。
緊急時に最適な、塩水は1リットルに1~2グラムの食塩を入れるだけ十分です。ですが、飲みやすさを重視し夏場の常備飲料として飲むなら、この飲み方が最適。
甘酒スムージー
- 甘酒150mL
- 凍らせた甘酒150ml
- キウイフルーツ1個
- レモン汁少々
キウイはビニール袋に入れて潰します。軟らかめの物が良し。
あとは全てをグラスに入れて混ぜるだけ。凍った甘酒が溶け出し、徐々にスムージーになります。
製氷皿などを使用し、小ぶりな甘酒氷を作っておくと溶け出しもスムーズですね。150mlを一塊にしてしまうとなかなか解けません。
もしかしたら熱中症かも?な時の対応
- 涼しい場所への移動
- 衣類を脱がし、体温を下げる
- 水分補給
- 医療機関への受診や・救急搬送
意識が無かったり、動くことができなかったり、水分が摂れなかったり、そんなときはすぐ救急要請。救急車到着までに、上記の対応を行いながら待ちます。
この時の水分補給では、上で記載した、『水+食塩』が良いでしょう。水だけを摂取すると、血中の塩分濃度が下がり、熱けいれんなどを引き起こします。
- 保冷剤などで冷やす際には首・わきの下・足の付け根などを冷やすと効果的
- 汗をかいていない時などは、身体を一度水で濡らしてから扇風機やうちわで扇ぐと冷やすことができますね。
熱中症予防講座まとめ
熱中症に関する啓発リーフレットはさまざまな機関から発行されています。いちから考えなくとも、リーフレットを配ってそれに沿って説明していくだけでも十分です。
欠点は、一般のリーフレットでは文字が小さく高齢者には読みにくいデザインが多いこと。
地域包括としては、ただ熱中症の予防を啓発するだけでなく、対象は個人だけでなく地域に向けて、お互いに見守りの目を持ってもらう視点についても話せたら良いのではないでしょうか。
『室外機が回ってなかったら声を掛ける』などですかね。
監視されているみたいで嫌なんて思われないよな地域づくりに向けた展開ができると良いと思います。